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	<title>Japanese Classical Literature at Bedtime</title>
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		<title>Japanese Classical Literature at Bedtime</title>
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		<title>Night of the Milky Way Railway – 9 Giovanni’s Ticket (7)</title>
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		<pubDate>Sat, 14 Nov 2009 02:14:07 +0000</pubDate>
		<dc:creator>kaseumin</dc:creator>
				<category><![CDATA[Uncategorized]]></category>

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		<description><![CDATA[
download   09ｇ-gingatetsudo-rs
Music
Artist: Robin Stine
Album: Daydream 05-Daydream

This work is licenced under a Creative Commons Licence.
transcript
ジョバンニが見ている間その人はしきりに赤い旗（はた）をふっていましたが、にわかに赤旗（あかはた）をおろしてうしろにかくすようにし、青い旗（はた）を高く高くあげてまるでオーケストラの指揮者（しきしゃ）のようにはげしく振（ふ）りました。すると空中にざあっと雨のような音がして、何かまっくらなものが、いくかたまりもいくかたまりも鉄砲丸（てっぽうだま）のように川の向（む）こうの方へ飛（と）んで行くのでした。ジョバンニは思わず窓（まど）からからだを半分出して、そっちを見あげました。美（うつく）しい美（うつく）しい桔梗（ききょう）いろのがらんとした空の下を、実（じつ）に何万（なんまん）という小さな鳥どもが、幾組（いくくみ）も幾組（いくくみ）もめいめいせわしくせわしく鳴いて通って行くのでした。
「鳥が飛（と）んで行くな」ジョバンニが窓（まど）の外で言いました。
「どら」カムパネルラもそらを見ました。
そのときあのやぐらの上のゆるい服（ふく）の男はにわかに赤い旗（はた）をあげて狂気（きょうき）のようにふりうごかしました。するとぴたっと鳥の群（む）れは通らなくなり、それと同時にぴしゃあんというつぶれたような音が川下の方で起（お）こって、それからしばらくしいんとしました。と思ったらあの赤帽（あかぼう）の信号手（しんごうしゅ）がまた青い旗（はた）をふって叫（さけ）んでいたのです。
「いまこそわたれわたり鳥、いまこそわたれわたり鳥」その声もはっきり聞こえました。
それといっしょにまた幾万（いくまん）という鳥の群（む）れがそらをまっすぐにかけたのです。二人（ふたり）の顔を出しているまん中の窓（まど）からあの女の子が顔を出して美（うつく）しい頬（ほお）をかがやかせながらそらを仰（あお）ぎました。
「まあ、この鳥、たくさんですわねえ、あらまあそらのきれいなこと」女の子はジョバンニにはなしかけましたけれどもジョバンニは生意気（なまいき）な、いやだいと思いながら、だまって口をむすんでそらを見あげていました。女の子は小さくほっと息（いき）をして、だまって席（せき）へ戻（もど）りました。カムパネルラがきのどくそうに窓（まど）から顔を引っ込（こ）めて地図を見ていました。
「あの人鳥へ教えてるんでしょうか」女の子がそっとカムパネルラにたずねました。
「わたり鳥へ信号（しんごう）してるんです。きっとどこからかのろしがあがるためでしょう」
カムパネルラが少しおぼつかなそうに答えました。そして車の中はしいんとなりました。ジョバンニはもう頭を引っ込（こ）めたかったのですけれども明るいとこへ顔を出すのがつらかったので、だまってこらえてそのまま立って口笛（くちぶえ）を吹（ふ）いていました。
（どうして僕（ぼく）はこんなにかなしいのだろう。僕（ぼく）はもっとこころもちをきれいに大きくもたなければいけない。あすこの岸（きし）のずうっと向（む）こうにまるでけむりのような小さな青い火が見える。あれはほんとうにしずかでつめたい。僕（ぼく）はあれをよく見てこころもちをしずめるんだ）
ジョバンニは熱（ほて）って痛（いた）いあたまを両手（りょうて）で押（おさ）えるようにして、そっちの方を見ました。
（ああほんとうにどこまでもどこまでも僕（ぼく）といっしょに行くひとはないだろうか。カムパネルラだってあんな女の子とおもしろそうに談（はな）しているし僕（ぼく）はほんとうにつらいなあ）
ジョバンニの眼（め）はまた泪（なみだ）でいっぱいになり、天の川もまるで遠くへ行（い）ったようにぼんやり白く見えるだけでした。
Many thanks for the text :
Aozora-Bunko (http://www.aozora.gr.jp)
Original text here (http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/card43737.html )
Without music , Public Domain
to come


       <img alt="" border="0" src="http://stats.wordpress.com/b.gif?host=jclab.wordpress.com&blog=4872065&post=1041&subd=jclab&ref=&feed=1" />]]></description>
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<p><strong>Music</strong><br />
Artist: <a href="http://magnatune.com/artists/robin_stine">Robin Stine</a><br />
Album: <a href="http://magnatune.com/artists/albums/robinstine-daydream/">Daydream</a> 05-Daydream</p>
<p><a rel="license" href="http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/us/"><img style="border-width:0;" src="http://i.creativecommons.org/l/by-nc-nd/3.0/us/88x31.png" alt="Creative Commons License" /></a><br />
This work is licenced under a <a rel="license" href="http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/us/">Creative Commons Licence</a>.</p>
<p><em><strong>transcript</strong></em></p>
<p><em><strong><span id="more-1041"></span></strong></em>ジョバンニが見ている間その人はしきりに赤い旗（はた）をふっていましたが、にわかに赤旗（あかはた）をおろしてうしろにかくすようにし、青い旗（はた）を高く高くあげてまるでオーケストラの指揮者（しきしゃ）のようにはげしく振（ふ）りました。すると空中にざあっと雨のような音がして、何かまっくらなものが、いくかたまりもいくかたまりも鉄砲丸（てっぽうだま）のように川の向（む）こうの方へ飛（と）んで行くのでした。ジョバンニは思わず窓（まど）からからだを半分出して、そっちを見あげました。美（うつく）しい美（うつく）しい桔梗（ききょう）いろのがらんとした空の下を、実（じつ）に何万（なんまん）という小さな鳥どもが、幾組（いくくみ）も幾組（いくくみ）もめいめいせわしくせわしく鳴いて通って行くのでした。<br />
「鳥が飛（と）んで行くな」ジョバンニが窓（まど）の外で言いました。<br />
「どら」カムパネルラもそらを見ました。<br />
そのときあのやぐらの上のゆるい服（ふく）の男はにわかに赤い旗（はた）をあげて狂気（きょうき）のようにふりうごかしました。するとぴたっと鳥の群（む）れは通らなくなり、それと同時にぴしゃあんというつぶれたような音が川下の方で起（お）こって、それからしばらくしいんとしました。と思ったらあの赤帽（あかぼう）の信号手（しんごうしゅ）がまた青い旗（はた）をふって叫（さけ）んでいたのです。<br />
「いまこそわたれわたり鳥、いまこそわたれわたり鳥」その声もはっきり聞こえました。<br />
それといっしょにまた幾万（いくまん）という鳥の群（む）れがそらをまっすぐにかけたのです。二人（ふたり）の顔を出しているまん中の窓（まど）からあの女の子が顔を出して美（うつく）しい頬（ほお）をかがやかせながらそらを仰（あお）ぎました。<br />
「まあ、この鳥、たくさんですわねえ、あらまあそらのきれいなこと」女の子はジョバンニにはなしかけましたけれどもジョバンニは生意気（なまいき）な、いやだいと思いながら、だまって口をむすんでそらを見あげていました。女の子は小さくほっと息（いき）をして、だまって席（せき）へ戻（もど）りました。カムパネルラがきのどくそうに窓（まど）から顔を引っ込（こ）めて地図を見ていました。<br />
「あの人鳥へ教えてるんでしょうか」女の子がそっとカムパネルラにたずねました。<br />
「わたり鳥へ信号（しんごう）してるんです。きっとどこからかのろしがあがるためでしょう」<br />
カムパネルラが少しおぼつかなそうに答えました。そして車の中はしいんとなりました。ジョバンニはもう頭を引っ込（こ）めたかったのですけれども明るいとこへ顔を出すのがつらかったので、だまってこらえてそのまま立って口笛（くちぶえ）を吹（ふ）いていました。<br />
（どうして僕（ぼく）はこんなにかなしいのだろう。僕（ぼく）はもっとこころもちをきれいに大きくもたなければいけない。あすこの岸（きし）のずうっと向（む）こうにまるでけむりのような小さな青い火が見える。あれはほんとうにしずかでつめたい。僕（ぼく）はあれをよく見てこころもちをしずめるんだ）<br />
ジョバンニは熱（ほて）って痛（いた）いあたまを両手（りょうて）で押（おさ）えるようにして、そっちの方を見ました。<br />
（ああほんとうにどこまでもどこまでも僕（ぼく）といっしょに行くひとはないだろうか。カムパネルラだってあんな女の子とおもしろそうに談（はな）しているし僕（ぼく）はほんとうにつらいなあ）<br />
ジョバンニの眼（め）はまた泪（なみだ）でいっぱいになり、天の川もまるで遠くへ行（い）ったようにぼんやり白く見えるだけでした。</p>
<p><em>Many thanks for the text :<br />
<a href="http://www.aozora.gr.jp/">Aozora-Bunko</a> (http://www.aozora.gr.jp)<br />
Original text <a href="http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/card43737.html">here</a> (http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/card43737.html )</em></p>
<p><strong>Without music , Public Domain<br />
</strong>to come</p>
<p><strong><br />
</strong></p>
  <a rel="nofollow" href="http://feeds.wordpress.com/1.0/gocomments/jclab.wordpress.com/1041/"><img alt="" border="0" src="http://feeds.wordpress.com/1.0/comments/jclab.wordpress.com/1041/" /></a> <a rel="nofollow" href="http://feeds.wordpress.com/1.0/godelicious/jclab.wordpress.com/1041/"><img alt="" border="0" src="http://feeds.wordpress.com/1.0/delicious/jclab.wordpress.com/1041/" /></a> <a rel="nofollow" href="http://feeds.wordpress.com/1.0/gostumble/jclab.wordpress.com/1041/"><img alt="" border="0" src="http://feeds.wordpress.com/1.0/stumble/jclab.wordpress.com/1041/" /></a> <a rel="nofollow" href="http://feeds.wordpress.com/1.0/godigg/jclab.wordpress.com/1041/"><img alt="" border="0" src="http://feeds.wordpress.com/1.0/digg/jclab.wordpress.com/1041/" /></a> <a rel="nofollow" href="http://feeds.wordpress.com/1.0/goreddit/jclab.wordpress.com/1041/"><img alt="" border="0" src="http://feeds.wordpress.com/1.0/reddit/jclab.wordpress.com/1041/" /></a> <img alt="" border="0" src="http://stats.wordpress.com/b.gif?host=jclab.wordpress.com&blog=4872065&post=1041&subd=jclab&ref=&feed=1" /></div>]]></content:encoded>
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		<title>Night of the Milky Way Railway – 9 Giovanni’s Ticket (6)</title>
		<link>http://jclab.wordpress.com/2009/09/11/milky-way-railway-9f/</link>
		<comments>http://jclab.wordpress.com/2009/09/11/milky-way-railway-9f/#comments</comments>
		<pubDate>Fri, 11 Sep 2009 12:56:14 +0000</pubDate>
		<dc:creator>kaseumin</dc:creator>
				<category><![CDATA[Kenji MIYAZAWA 1896-1933]]></category>
		<category><![CDATA[with Music]]></category>

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		<description><![CDATA[
09f_gingatetsudo_an
Music
Artist: AlmaNova
Album: After Hours 09-Rain

This work is licenced under a Creative Commons Licence.
transcript

ところがそのときジョバンニは川下の遠くの方に不思議（ふしぎ）なものを見ました。それはたしかになにか黒いつるつるした細長（ほそなが）いもので、あの見えない天の川の水の上に飛（と）び出してちょっと弓（ゆみ）のようなかたちに進（すす）んで、また水の中にかくれたようでした。おかしいと思ってまたよく気をつけていましたら、こんどはずっと近くでまたそんなことがあったらしいのでした。そのうちもうあっちでもこっちでも、その黒いつるつるした変（へん）なものが水から飛（と）び出して、まるく飛（と）んでまた頭から水へくぐるのがたくさん見えてきました。みんな魚のように川上へのぼるらしいのでした。
「まあ、なんでしょう。たあちゃん。ごらんなさい。まあたくさんだわね。なんでしょうあれ」
睡（ねむ）そうに眼（め）をこすっていた男の子はびっくりしたように立ちあがりました。
「なんだろう」青年も立ちあがりました。
「まあ、おかしな魚だわ、なんでしょうあれ」
「海豚（いるか）です」カムパネルラがそっちを見ながら答えました。
「海豚（いるか）だなんてあたしはじめてだわ。けどここ海じゃないんでしょう」
「いるかは海にいるときまっていない」あの不思議（ふしぎ）な低（ひく）い声がまたどこからかしました。
ほんとうにそのいるかのかたちのおかしいことは、二つのひれをちょうど両手（りょうて）をさげて不動（ふどう）の姿勢（しせい）をとったようなふうにして水の中から飛（と）び出して来て、うやうやしく頭を下にして不動（ふどう）の姿勢（しせい）のまままた水の中へくぐって行くのでした。見えない天の川の水もそのときはゆらゆらと青い焔（ほのお）のように波（なみ）をあげるのでした。
「いるかお魚でしょうか」女の子がカムパネルラにはなしかけました。男の子はぐったりつかれたように席（せき）にもたれて睡（ねむ）っていました。
「いるか、魚じゃありません。くじらと同じようなけだものです」カムパネルラが答えました。
「あなたくじら見たことあって」
「僕（ぼく）あります。くじら、頭と黒いしっぽだけ見えます。潮（しお）を吹（ふ）くとちょうど本にあるようになります」
「くじらなら大きいわねえ」
「くじら大きいです。子供（こども）だっているかぐらいあります」
「そうよ、あたしアラビアンナイトで見たわ」姉（あね）は細（ほそ）い銀（ぎん）いろの指輪（ゆびわ）をいじりながらおもしろそうにはなししていました。
（カムパネルラ、僕（ぼく）もう行っちまうぞ。僕（ぼく）なんか鯨（くじら）だって見たことないや）
ジョバンニはまるでたまらないほどいらいらしながら、それでも堅（かた）く、唇（くちびる）を噛（か）んでこらえて窓（まど）の外を見ていました。その窓（まど）の外には海豚（いるか）のかたちももう見えなくなって川は二つにわかれました。そのまっくらな島（しま）のまん中に高い高いやぐらが一つ組まれて、その上に一人の寛（ゆる）い服（ふく）を着（き）て赤い帽子（ぼうし）をかぶった男が立っていました。そして両手（りょうて）に赤と青の旗（はた）をもってそらを見上げて信号（しんごう）しているのでした。
Many thanks for the text :
Aozora-Bunko (http://www.aozora.gr.jp)
Original text here (http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/card43737.html )
Without music , Public Domain

download 09f_gingatetsudo
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<p><strong>Music<br />
</strong>Artist: <a href="http://magnatune.com/artists/almanova">AlmaNova<br />
</a>Album: <a href="http://magnatune.com/artists/albums/almanova-afterhours/">After Hours</a> 09-Rain</p>
<p><a rel="license" href="http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/us/"><img style="border-width:0;" src="http://i.creativecommons.org/l/by-nc-nd/3.0/us/88x31.png" alt="Creative Commons License" /></a><br />
This work is licenced under a <a rel="license" href="http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/us/">Creative Commons Licence</a>.</p>
<p><strong><em>transcript</em></strong></p>
<p><span id="more-1020"></span></p>
<p>ところがそのときジョバンニは川下の遠くの方に不思議（ふしぎ）なものを見ました。それはたしかになにか黒いつるつるした細長（ほそなが）いもので、あの見えない天の川の水の上に飛（と）び出してちょっと弓（ゆみ）のようなかたちに進（すす）んで、また水の中にかくれたようでした。おかしいと思ってまたよく気をつけていましたら、こんどはずっと近くでまたそんなことがあったらしいのでした。そのうちもうあっちでもこっちでも、その黒いつるつるした変（へん）なものが水から飛（と）び出して、まるく飛（と）んでまた頭から水へくぐるのがたくさん見えてきました。みんな魚のように川上へのぼるらしいのでした。<br />
「まあ、なんでしょう。たあちゃん。ごらんなさい。まあたくさんだわね。なんでしょうあれ」<br />
睡（ねむ）そうに眼（め）をこすっていた男の子はびっくりしたように立ちあがりました。<br />
「なんだろう」青年も立ちあがりました。<br />
「まあ、おかしな魚だわ、なんでしょうあれ」<br />
「海豚（いるか）です」カムパネルラがそっちを見ながら答えました。<br />
「海豚（いるか）だなんてあたしはじめてだわ。けどここ海じゃないんでしょう」<br />
「いるかは海にいるときまっていない」あの不思議（ふしぎ）な低（ひく）い声がまたどこからかしました。<br />
ほんとうにそのいるかのかたちのおかしいことは、二つのひれをちょうど両手（りょうて）をさげて不動（ふどう）の姿勢（しせい）をとったようなふうにして水の中から飛（と）び出して来て、うやうやしく頭を下にして不動（ふどう）の姿勢（しせい）のまままた水の中へくぐって行くのでした。見えない天の川の水もそのときはゆらゆらと青い焔（ほのお）のように波（なみ）をあげるのでした。<br />
「いるかお魚でしょうか」女の子がカムパネルラにはなしかけました。男の子はぐったりつかれたように席（せき）にもたれて睡（ねむ）っていました。<br />
「いるか、魚じゃありません。くじらと同じようなけだものです」カムパネルラが答えました。<br />
「あなたくじら見たことあって」<br />
「僕（ぼく）あります。くじら、頭と黒いしっぽだけ見えます。潮（しお）を吹（ふ）くとちょうど本にあるようになります」<br />
「くじらなら大きいわねえ」<br />
「くじら大きいです。子供（こども）だっているかぐらいあります」<br />
「そうよ、あたしアラビアンナイトで見たわ」姉（あね）は細（ほそ）い銀（ぎん）いろの指輪（ゆびわ）をいじりながらおもしろそうにはなししていました。<br />
（カムパネルラ、僕（ぼく）もう行っちまうぞ。僕（ぼく）なんか鯨（くじら）だって見たことないや）<br />
ジョバンニはまるでたまらないほどいらいらしながら、それでも堅（かた）く、唇（くちびる）を噛（か）んでこらえて窓（まど）の外を見ていました。その窓（まど）の外には海豚（いるか）のかたちももう見えなくなって川は二つにわかれました。そのまっくらな島（しま）のまん中に高い高いやぐらが一つ組まれて、その上に一人の寛（ゆる）い服（ふく）を着（き）て赤い帽子（ぼうし）をかぶった男が立っていました。そして両手（りょうて）に赤と青の旗（はた）をもってそらを見上げて信号（しんごう）しているのでした。</p>
<p><em>Many thanks for the text :<br />
<a href="http://www.aozora.gr.jp/">Aozora-Bunko</a> (http://www.aozora.gr.jp)<br />
Original text <a href="http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/card43737.html">here</a> (http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/card43737.html )</em></p>
<p><strong>Without music , Public Domain</strong><br />
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		<title>Taro and Cities by Motojiro KAJII</title>
		<link>http://jclab.wordpress.com/2009/07/10/taro-and-cities-by-motojiro-kajii/</link>
		<comments>http://jclab.wordpress.com/2009/07/10/taro-and-cities-by-motojiro-kajii/#comments</comments>
		<pubDate>Fri, 10 Jul 2009 10:37:04 +0000</pubDate>
		<dc:creator>kaseumin</dc:creator>
				<category><![CDATA[Motojiro KAJII 1901-1932]]></category>

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		<description><![CDATA[
motojiro-tarotomachi-aa
Music
Artist: Andreas Almqvist
Album: Goldberg Variations (J.S. Bach)
01-Aria

This work is licenced under a Creative Commons Licence.
transcript
 太郎と街
梶井基次郎
秋は洗ひたての敷布（シーツ）の樣に快かつた。太郎は第一の街で夏服を質に入れ、第二の街で牛肉を食つた。微醉して街の上へ出ると正午のドンが鳴つた。
それを振り出しに第三第四の街を歩いた。飛行機が空を飛んでゐた。新鮮な八百屋があつた。魚屋があつた。花屋があつた。菊の匂ひは街へ溢れて來た。
呉服屋があつた。菓子屋があつた。和洋煙草屋があり、罐詰屋があつた。街は美しく、太郎の胸はわくわくした。眼は眼で樂しんだ。耳は耳で樂しんだ。鼻も敏捷な奴で、風が送つて來るものを捕へては貪り食つた。
太郎は巨大な眼を願望した。街は定まらない繪畫であつた。幻想的なといへば幻想的な、子供だましのポンチ繪には、土瓶が鉢卷をして泳いでゐたり、日の丸 の扇で踊つてゐたりするのがあるが、ブーブー唸つて走つてゐる自働車などを見れば吹き出したくなる位だ。菓子屋のドロツプやゼリビンズは點描派（ポアンチユリスト）の畫布の樣だし、洋酒瓶の竝んだ棚はバグダツドの祭の樣だ。
飛行機がまたやつて來て、あたりは樹木に埋つた公園であつた。太郎は十錢を拂つて動物園へ入つた。此所なんぞ入場料十圓也と觸れ出せば、紳士淑女は雜鬧 し、雜誌は動物園の詩で埋まるに違ひない。水族館まで見て來ると、太郎はたうとう熱い溜息を洩らした。そこを出ると知らない街へ入つた。華かな夕暮が來 て、空は緋の衣で埋まつた。それを目がけて太郎は歩いた。後ろから月が昇つたらまたその方へ歩く積りだ。いよいよ夜がやつて來て、先づ全市の電燈をつけ た。三日月があがつたと思つたら直ぐ沈んだ。星が出て來ては挨拶をし、出て來ては挨拶を交した。太郎も帽子が振りたくなつた。
洋館の三階の窓。そこからは何がみえるのだらう。若い男が思ひに沈んだハモニカを吹いてゐた。塗料の匂ひがする、醫療器具屋の前だ。女の兒が群れて輪に なり、歌を歌つては空へ手を伸した。子守娘が竝んでゆく。燒鳥屋は店を持ち出した。その下へはもう尨犬がやつて來てゐる。
太郎は巨大な脚を願望した。また思つた。凡そこの地球程面白い星はあるまい。鞠をかゞる青い絲や赤い絲の樣に、地球をぐるぐる歩いてゆき度い。廻轉して朝と晝と夜を見せて呉れ、航海しては春・夏・秋・冬を送つてくれる地球だ。圓い臺（うてな）の 上になり下になり、下になつても頭へ血が寄るといふことなく、大地を踏めばいつも健康だ。杳かな創世の日から勞働爭議の今日に至るまで、積みかさね積みか さねられたものがそこにある。偉大な精神は將星で、私はオノコロ島に産れて來た志願兵だ。オ一二、オ一二、太郎は歩いた。昂奮して。
廣告塔があつた。ドラツグがあつた。唐物屋があつた。本屋があつた。賑かな街で電車が通つた。キヤブが通つた。太郎は子供の時の乘物づくしを憶ひ出した。あの透視法を誇張した畫派を憶ひ出すことが、街と乘物づくしを一度に生かした。冬着新柄を見た。乾物屋を見た。玩具屋を見た。煙草店を見た。太郎の精神は頓に高揚して、妖術が使ひたくなる程だつた。
「やう、やう。」
「やう。」
これは太郎の友達だ。太郎は一錢玉を五つ持つてゐたぎりだつたので、友達の五十錢貨幣を、一錢で賣つて貰つて富を作つた。それでまぐろの壽司を食ふとまた歩き出した。
待合のある小路へ入つた。三味線がきこえて若い女の聲がはしやいだ。双肌脱ぎで化粧をしてゐる女があつた。嬋妍に漲つて歩いてゆく女があつた。そこを出ると暗い裏通りへ出た。柔術指南と骨つぎの看板をあげた道場から出た若い男は自動車屋へはい（ママ）つた。支那料理屋で蓄音器が鳴つてゐた。今度は靜かな切り通しになつてあたりは一時に祕まつた。
阪を登つて立ち小便をしながら街々を見おろした。蟲が鳴いて街には靄がおりてゐた。小便が汚なかつたから場所を變へて、眼を夜景のなかに吸ひこませた。 黒い森が寢てゐる。甍が寢てゐる。いくつもの窓は起きてゐた。遠くの窓に女が立つてゐる。電柱は紅玉の眼を持つてゐる。太郎は感に堪へた。
續く街は靜かであつた。ピアノも鳴つては來なかつた。あそこは宵の口で此所は深夜だ。さては緯度をとび越えたのか。時計を進めねばなるまい。頭が變だ。頭が。木戸を開くと喜ばしい思想共は押すな押すなでこぼれて來る。「よし！」と木戸を閉じ（ママ）太 郎はまたも歩き出した。秋だ。秋だ。覺えなかつた面白さだ。へたばるまで歩いて下宿へ歸り、歸つてからはこの思想共を一匹宛出して來て一匹宛演舌させてや らう。一晩かゝつてもきゝ切れないだらう。いゝ所で搖籃歌唄ひを出して來て其奴の歌で眠むつてゆかう。殘りの奴は扮裝して華麗な夢を見せて呉れ。
Many thanks for the text :
Aozora-Bunko (http://www.aozora.gr.jp)
Original text here (http://www.aozora.gr.jp/cards/000074/files/3201_7619.html)
Without music , Public Domain
motojiro-tarotomachi
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<p><strong>Music<br />
</strong>Artist: <a href="http://magnatune.com/artists/almqvist">Andreas Almqvist<br />
</a>Album:<a href="http://magnatune.com/artists/albums/almqvist-goldberg/"> Goldberg Variations (J.S. Bach)</a><br />
01-Aria</p>
<p><a rel="license" href="http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/us/"><img style="border-width:0;" src="http://i.creativecommons.org/l/by-nc-nd/3.0/us/88x31.png" alt="Creative Commons License" /></a><br />
This <span>work</span> is licenced under a <a rel="license" href="http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/us/">Creative Commons Licence</a>.</p>
<p><strong><em>transcript</em></strong></p>
<p><span id="more-1004"></span> 太郎と街<br />
梶井基次郎</p>
<p>秋は洗ひたての敷布（シーツ）の樣に快かつた。太郎は第一の街で夏服を質に入れ、第二の街で牛肉を食つた。微醉して街の上へ出ると正午のドンが鳴つた。<br />
それを振り出しに第三第四の街を歩いた。飛行機が空を飛んでゐた。新鮮な八百屋があつた。魚屋があつた。花屋があつた。菊の匂ひは街へ溢れて來た。<br />
呉服屋があつた。菓子屋があつた。和洋煙草屋があり、罐詰屋があつた。街は美しく、太郎の胸はわくわくした。眼は眼で樂しんだ。耳は耳で樂しんだ。鼻も敏捷な奴で、風が送つて來るものを捕へては貪り食つた。<br />
太郎は巨大な眼を願望した。街は定まらない繪畫であつた。幻想的なといへば幻想的な、子供だましのポンチ繪には、土瓶が鉢卷をして泳いでゐたり、日の丸 の扇で踊つてゐたりするのがあるが、ブーブー唸つて走つてゐる自働車などを見れば吹き出したくなる位だ。菓子屋のドロツプやゼリビンズは點描派（ポアンチユリスト）の畫布の樣だし、洋酒瓶の竝んだ棚はバグダツドの祭の樣だ。<br />
飛行機がまたやつて來て、あたりは樹木に埋つた公園であつた。太郎は十錢を拂つて動物園へ入つた。此所なんぞ入場料十圓也と觸れ出せば、紳士淑女は雜鬧 し、雜誌は動物園の詩で埋まるに違ひない。水族館まで見て來ると、太郎はたうとう熱い溜息を洩らした。そこを出ると知らない街へ入つた。華かな夕暮が來 て、空は緋の衣で埋まつた。それを目がけて太郎は歩いた。後ろから月が昇つたらまたその方へ歩く積りだ。いよいよ夜がやつて來て、先づ全市の電燈をつけ た。三日月があがつたと思つたら直ぐ沈んだ。星が出て來ては挨拶をし、出て來ては挨拶を交した。太郎も帽子が振りたくなつた。<br />
洋館の三階の窓。そこからは何がみえるのだらう。若い男が思ひに沈んだハモニカを吹いてゐた。塗料の匂ひがする、醫療器具屋の前だ。女の兒が群れて輪に なり、歌を歌つては空へ手を伸した。子守娘が竝んでゆく。燒鳥屋は店を持ち出した。その下へはもう尨犬がやつて來てゐる。<br />
太郎は巨大な脚を願望した。また思つた。凡そこの地球程面白い星はあるまい。鞠をかゞる青い絲や赤い絲の樣に、地球をぐるぐる歩いてゆき度い。廻轉して朝と晝と夜を見せて呉れ、航海しては春・夏・秋・冬を送つてくれる地球だ。圓い臺（うてな）の 上になり下になり、下になつても頭へ血が寄るといふことなく、大地を踏めばいつも健康だ。杳かな創世の日から勞働爭議の今日に至るまで、積みかさね積みか さねられたものがそこにある。偉大な精神は將星で、私はオノコロ島に産れて來た志願兵だ。オ一二、オ一二、太郎は歩いた。昂奮して。<br />
廣告塔があつた。ドラツグがあつた。唐物屋があつた。本屋があつた。賑かな街で電車が通つた。キヤブが通つた。太郎は子供の時の<strong>乘物づくし</strong>を憶ひ出した。あの透視法を誇張した畫派を憶ひ出すことが、街と<strong>乘物づくし</strong>を一度に生かした。冬着新柄を見た。乾物屋を見た。玩具屋を見た。煙草店を見た。太郎の精神は頓に高揚して、妖術が使ひたくなる程だつた。<br />
「やう、やう。」<br />
「やう。」<br />
これは太郎の友達だ。太郎は一錢玉を五つ持つてゐたぎりだつたので、友達の五十錢貨幣を、一錢で賣つて貰つて富を作つた。それでまぐろの壽司を食ふとまた歩き出した。<br />
待合のある小路へ入つた。三味線がきこえて若い女の聲がはしやいだ。双肌脱ぎで化粧をしてゐる女があつた。嬋妍に漲つて歩いてゆく女があつた。そこを出ると暗い裏通りへ出た。柔術指南と骨つぎの看板をあげた道場から出た若い男は自動車屋へはい（ママ）つた。支那料理屋で蓄音器が鳴つてゐた。今度は靜かな切り通しになつてあたりは一時に祕まつた。<br />
阪を登つて立ち小便をしながら街々を見おろした。蟲が鳴いて街には靄がおりてゐた。小便が汚なかつたから場所を變へて、眼を夜景のなかに吸ひこませた。 黒い森が寢てゐる。甍が寢てゐる。いくつもの窓は起きてゐた。遠くの窓に女が立つてゐる。電柱は紅玉の眼を持つてゐる。太郎は感に堪へた。<br />
續く街は靜かであつた。ピアノも鳴つては來なかつた。あそこは宵の口で此所は深夜だ。さては緯度をとび越えたのか。時計を進めねばなるまい。頭が變だ。頭が。木戸を開くと喜ばしい思想共は押すな押すなでこぼれて來る。「よし！」と木戸を閉じ（ママ）太 郎はまたも歩き出した。秋だ。秋だ。覺えなかつた面白さだ。へたばるまで歩いて下宿へ歸り、歸つてからはこの思想共を一匹宛出して來て一匹宛演舌させてや らう。一晩かゝつてもきゝ切れないだらう。いゝ所で搖籃歌唄ひを出して來て其奴の歌で眠むつてゆかう。殘りの奴は扮裝して華麗な夢を見せて呉れ。</p>
<p><em>Many thanks for the text :<br />
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<p><strong><em>Without music , Public Domain<br />
<a href="http://jclab.files.wordpress.com/2009/07/motojiro-tarotomachi.mp3">motojiro-tarotomachi</a></em></strong></p>
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	</item>
		<item>
		<title>Night of the Milky Way Railway – 9 Giovanni’s Ticket (5)</title>
		<link>http://jclab.wordpress.com/2009/05/22/milky-way-railway-9e/</link>
		<comments>http://jclab.wordpress.com/2009/05/22/milky-way-railway-9e/#comments</comments>
		<pubDate>Fri, 22 May 2009 12:05:15 +0000</pubDate>
		<dc:creator>kaseumin</dc:creator>
				<category><![CDATA[Kenji MIYAZAWA 1896-1933]]></category>
		<category><![CDATA[Public Domain]]></category>
		<category><![CDATA[with Music]]></category>

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		<description><![CDATA[
09e_gingatetsudo-vom
Music
Artist: Voices of Music
Album: An Evening With Bach
07-Prelude in C Minor (BWV 871)

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transcript
男の子はまるでパイをたべるように、もうそれをたべていました。またせっかくむいたそのきれいな皮（かわ）も、くるくるコルク抜（ぬ）きのような形になって床（ゆか）へ落（お）ちるまでの間にはすうっと、灰（はい）いろに光って蒸発（じょうはつ）してしまうのでした。
二人（ふたり）はりんごをたいせつにポケットにしまいました。
川下の向（む）こう岸（ぎし）に青く茂（しげ）った大きな林が見え、その枝（えだ）には熟（じゅく）してまっ赤に光るまるい実（み）がいっぱい、その林のまん中に高い高い三角標（さんかくひょう）が立って、森の中からはオーケストラベルやジロフォンにまじってなんとも言（い）えずきれいな音（ね）いろが、とけるように浸（し）みるように風につれて流（なが）れて来るのでした。
青年はぞくっとしてからだをふるうようにしました。
だまってその譜（ふ）を聞いていると、そこらにいちめん黄いろや、うすい緑（みどり）の明るい野原（のはら）か敷物（しきもの）かがひろがり、またまっ白な蝋（ろう）のような露（つゆ）が太陽（たいよう）の面（めん）をかすめて行くように思われました。
「まあ、あの烏（からす）」カムパネルラのとなりの、かおると呼（よ）ばれた女の子が叫（さけ）びました。
「からすでない。みんなかささぎだ」カムパネルラがまた何気なくしかるように叫（さけ）びましたので、ジョバンニはまた思わず笑（わら）い、女の子はきまり悪（わる）そうにしました。まったく河原（かわら）の青じろいあかりの上に、黒い鳥がたくさんたくさんいっぱいに列（れつ）になってとまってじっと川の微光（びこう）を受けているのでした。
「かささぎですねえ、頭のうしろのとこに毛がぴんと延（の）びてますから」青年はとりなすように言（い）いました。
向（む）こうの青い森の中の三角標（さんかくひょう）はすっかり汽車の正面（しょうめん）に来ました。そのとき汽車のずうっとうしろの方から、あの聞きなれた三〇六番の讃美歌（さんびか）のふしが聞こえてきました。よほどの人数で合唱（がっしょう）しているらしいのでした。青年はさっと顔いろが青ざめ、たって一ぺんそっちへ行きそうにしましたが思いかえしてまたすわりました。かおる子はハンケチを顔にあててしまいました。
ジョバンニまでなんだか鼻（はな）が変（へん）になりました。けれどもいつともなく誰（だれ）ともなくその歌は歌い出されだんだんはっきり強くなりました。思わずジョバンニもカムパネルラもいっしょにうたいだしたのです。
そして青い橄欖（かんらん）の森が、見えない天の川の向（む）こうにさめざめと光りながらだんだんうしろの方へ行ってしまい、そこから流（なが）れて来るあやしい楽器（がっき）の音も、もう汽車のひびきや風の音にすりへらされてずうっとかすかになりました。
「あ、孔雀（くじゃく）がいるよ。あ、孔雀（くじゃく）がいるよ」
「あの森琴（ライラ）の宿（やど）でしょう。あたしきっとあの森の中にむかしの大きなオーケストラの人たちが集（あつ）まっていらっしゃると思うわ、まわりには青い孔雀（くじゃく）やなんかたくさんいると思うわ」
「ええ、たくさんいたわ」女の子がこたえました。
ジョバンニはその小さく小さくなっていまはもう一つの緑（みどり）いろの貝（かい）ぼたんのように見える森の上にさっさっと青じろく時々光ってその孔雀（くじゃく）がはねをひろげたりとじたりする光の反射（はんしゃ）を見ました。
「そうだ、孔雀（くじゃく）の声だってさっき聞こえた」カムパネルラが女の子に言（い）いました。
「ええ、三十疋（ぴき）ぐらいはたしかにいたわ」女の子が答えました。
ジョバンニはにわかになんとも言（い）えずかなしい気がして思わず、
「カムパネルラ、ここからはねおりて遊（あそ）んで行こうよ」とこわい顔をして言（い）おうとしたくらいでした。
Many thanks for the text :
Aozora-Bunko (http://www.aozora.gr.jp)
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09e_gingatetsudo

This work is dedicated to the Public Domain.
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			<content:encoded><![CDATA[<div class='snap_preview'><br /><p><span style='text-align:left;display:block;'><p><object type='application/x-shockwave-flash' data='http://jclab.wordpress.com/wp-content/plugins/audio-player/player.swf' width='290' height='24' id='audioplayer1'><param name='movie' value='http://jclab.wordpress.com/wp-content/plugins/audio-player/player.swf' /><param name='FlashVars' value='&amp;bg=0xf8f8f8&amp;leftbg=0xeeeeee&amp;lefticon=0x666666&amp;rightbg=0xcccccc&amp;rightbghover=0x999999&amp;righticon=0x666666&amp;righticonhover=0xffffff&amp;text=0x666666&amp;slider=0x666666&amp;track=0xFFFFFF&amp;border=0x666666&amp;loader=0x9FFFB8&amp;soundFile=http%3A%2F%2Fjclab.files.wordpress.com%2F2009%2F05%2F09e_gingatetsudo-vom.mp3' /><param name='quality' value='high' /><param name='menu' value='false' /><param name='bgcolor' value='#FFFFFF' /></object></p></span></p>
<p><a href="http://jclab.files.wordpress.com/2009/05/09e_gingatetsudo-vom.mp3">09e_gingatetsudo-vom</a></p>
<p><strong>Music<br />
</strong>Artist: <a href="http://magnatune.com/artists/voicesofmusic">Voices of Music<br />
</a>Album: <a href="http://magnatune.com/artists/albums/voicesofmusic-bach/">An Evening With Bach</a><br />
07-Prelude in C Minor (BWV 871)</p>
<p><a rel="license" href="http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/us/"><img style="border-width:0;" src="http://i.creativecommons.org/l/by-nc-nd/3.0/us/88x31.png" alt="Creative Commons License" /></a><br />
This work is licenced under a <a rel="license" href="http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/us/">Creative Commons Licence</a>.</p>
<p><strong><em>transcript</em></strong></p>
<p><strong><em><span id="more-976"></span></em></strong>男の子はまるでパイをたべるように、もうそれをたべていました。またせっかくむいたそのきれいな皮（かわ）も、くるくるコルク抜（ぬ）きのような形になって床（ゆか）へ落（お）ちるまでの間にはすうっと、灰（はい）いろに光って蒸発（じょうはつ）してしまうのでした。<br />
二人（ふたり）はりんごをたいせつにポケットにしまいました。<br />
川下の向（む）こう岸（ぎし）に青く茂（しげ）った大きな林が見え、その枝（えだ）には熟（じゅく）してまっ赤に光るまるい実（み）がいっぱい、その林のまん中に高い高い三角標（さんかくひょう）が立って、森の中からはオーケストラベルやジロフォンにまじってなんとも言（い）えずきれいな音（ね）いろが、とけるように浸（し）みるように風につれて流（なが）れて来るのでした。<br />
青年はぞくっとしてからだをふるうようにしました。<br />
だまってその譜（ふ）を聞いていると、そこらにいちめん黄いろや、うすい緑（みどり）の明るい野原（のはら）か敷物（しきもの）かがひろがり、またまっ白な蝋（ろう）のような露（つゆ）が太陽（たいよう）の面（めん）をかすめて行くように思われました。<br />
「まあ、あの烏（からす）」カムパネルラのとなりの、かおると呼（よ）ばれた女の子が叫（さけ）びました。<br />
「からすでない。みんなかささぎだ」カムパネルラがまた何気なくしかるように叫（さけ）びましたので、ジョバンニはまた思わず笑（わら）い、女の子はきまり悪（わる）そうにしました。まったく河原（かわら）の青じろいあかりの上に、黒い鳥がたくさんたくさんいっぱいに列（れつ）になってとまってじっと川の微光（びこう）を受けているのでした。<br />
「かささぎですねえ、頭のうしろのとこに毛がぴんと延（の）びてますから」青年はとりなすように言（い）いました。<br />
向（む）こうの青い森の中の三角標（さんかくひょう）はすっかり汽車の正面（しょうめん）に来ました。そのとき汽車のずうっとうしろの方から、あの聞きなれた三〇六番の讃美歌（さんびか）のふしが聞こえてきました。よほどの人数で合唱（がっしょう）しているらしいのでした。青年はさっと顔いろが青ざめ、たって一ぺんそっちへ行きそうにしましたが思いかえしてまたすわりました。かおる子はハンケチを顔にあててしまいました。<br />
ジョバンニまでなんだか鼻（はな）が変（へん）になりました。けれどもいつともなく誰（だれ）ともなくその歌は歌い出されだんだんはっきり強くなりました。思わずジョバンニもカムパネルラもいっしょにうたいだしたのです。<br />
そして青い橄欖（かんらん）の森が、見えない天の川の向（む）こうにさめざめと光りながらだんだんうしろの方へ行ってしまい、そこから流（なが）れて来るあやしい楽器（がっき）の音も、もう汽車のひびきや風の音にすりへらされてずうっとかすかになりました。<br />
「あ、孔雀（くじゃく）がいるよ。あ、孔雀（くじゃく）がいるよ」<br />
「あの森琴（ライラ）の宿（やど）でしょう。あたしきっとあの森の中にむかしの大きなオーケストラの人たちが集（あつ）まっていらっしゃると思うわ、まわりには青い孔雀（くじゃく）やなんかたくさんいると思うわ」<br />
「ええ、たくさんいたわ」女の子がこたえました。<br />
ジョバンニはその小さく小さくなっていまはもう一つの緑（みどり）いろの貝（かい）ぼたんのように見える森の上にさっさっと青じろく時々光ってその孔雀（くじゃく）がはねをひろげたりとじたりする光の反射（はんしゃ）を見ました。<br />
「そうだ、孔雀（くじゃく）の声だってさっき聞こえた」カムパネルラが女の子に言（い）いました。<br />
「ええ、三十疋（ぴき）ぐらいはたしかにいたわ」女の子が答えました。<br />
ジョバンニはにわかになんとも言（い）えずかなしい気がして思わず、<br />
「カムパネルラ、ここからはねおりて遊（あそ）んで行こうよ」とこわい顔をして言（い）おうとしたくらいでした。<em></em></p>
<p><em>Many thanks for the text :<br />
<a href="http://www.aozora.gr.jp/">Aozora-Bunko</a> (http://www.aozora.gr.jp)<br />
Original text <a href="http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/card43737.html">here</a> (http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/card43737.html )</em></p>
<p><strong>Without music , Public Domain</strong><a href="http://jclab.files.wordpress.com/2009/05/09e_gingatetsudo.mp3"><br />
09e_gingatetsudo</a><br />
<a rel="license" href="http://creativecommons.org/licenses/publicdomain/"><img style="border-width:0;" src="http://i.creativecommons.org/l/publicdomain/88x31.png" alt="Creative Commons License" /></a><br />
This work is dedicated to the <a rel="license" href="http://creativecommons.org/licenses/publicdomain/">Public Domain</a>.</p>
  <a rel="nofollow" href="http://feeds.wordpress.com/1.0/gocomments/jclab.wordpress.com/976/"><img alt="" border="0" src="http://feeds.wordpress.com/1.0/comments/jclab.wordpress.com/976/" /></a> <a rel="nofollow" href="http://feeds.wordpress.com/1.0/godelicious/jclab.wordpress.com/976/"><img alt="" border="0" src="http://feeds.wordpress.com/1.0/delicious/jclab.wordpress.com/976/" /></a> <a rel="nofollow" href="http://feeds.wordpress.com/1.0/gostumble/jclab.wordpress.com/976/"><img alt="" border="0" src="http://feeds.wordpress.com/1.0/stumble/jclab.wordpress.com/976/" /></a> <a rel="nofollow" href="http://feeds.wordpress.com/1.0/godigg/jclab.wordpress.com/976/"><img alt="" border="0" src="http://feeds.wordpress.com/1.0/digg/jclab.wordpress.com/976/" /></a> <a rel="nofollow" href="http://feeds.wordpress.com/1.0/goreddit/jclab.wordpress.com/976/"><img alt="" border="0" src="http://feeds.wordpress.com/1.0/reddit/jclab.wordpress.com/976/" /></a> <img alt="" border="0" src="http://stats.wordpress.com/b.gif?host=jclab.wordpress.com&blog=4872065&post=976&subd=jclab&ref=&feed=1" /></div>]]></content:encoded>
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		<media:content url="http://i.creativecommons.org/l/by-nc-nd/3.0/us/88x31.png" medium="image">
			<media:title type="html">Creative Commons License</media:title>
		</media:content>

		<media:content url="http://i.creativecommons.org/l/publicdomain/88x31.png" medium="image">
			<media:title type="html">Creative Commons License</media:title>
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	</item>
		<item>
		<title>Pianos BALLERON Visited, Paris (バルロンピアノ修復工房訪問 &#8211; パリ)</title>
		<link>http://jclab.wordpress.com/2009/05/14/pianos-balleron-visited-paris/</link>
		<comments>http://jclab.wordpress.com/2009/05/14/pianos-balleron-visited-paris/#comments</comments>
		<pubDate>Thu, 14 May 2009 11:58:22 +0000</pubDate>
		<dc:creator>kaseumin</dc:creator>
				<category><![CDATA[What's New?]]></category>
		<category><![CDATA[with Music]]></category>

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		<description><![CDATA[

pianos-BALLERON-visited
Music
Artist (Accordeuse &#8211; Restauratrice): Akiko OKAYASU at Pianos Balleron
Blogs from Pianos BALLERON
パリ発 ピアノ修復通信 (Japanese)
Blog Piano (French)

transcript
Hello, I&#8217;m Kasumi Kobayashi. Thank you for listening Japanese Classical Literature at Bedtime.
During so-called “Golden week”, holidays in Japan, I visited Paris with my husband.My love of pianos partly made this short trip possible.
Here&#8217;s my impression of Pianos BALLERON, one [...]<img alt="" border="0" src="http://stats.wordpress.com/b.gif?host=jclab.wordpress.com&blog=4872065&post=922&subd=jclab&ref=&feed=1" />]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div class='snap_preview'><br /><p><!-- 		@page { margin: 2cm } 		P { margin-bottom: 0.21cm } --></p>
<p style="margin-bottom:0;" lang="ja-JP"><span style='text-align:left;display:block;'><p><object type='application/x-shockwave-flash' data='http://jclab.wordpress.com/wp-content/plugins/audio-player/player.swf' width='290' height='24' id='audioplayer1'><param name='movie' value='http://jclab.wordpress.com/wp-content/plugins/audio-player/player.swf' /><param name='FlashVars' value='&amp;bg=0xf8f8f8&amp;leftbg=0xeeeeee&amp;lefticon=0x666666&amp;rightbg=0xcccccc&amp;rightbghover=0x999999&amp;righticon=0x666666&amp;righticonhover=0xffffff&amp;text=0x666666&amp;slider=0x666666&amp;track=0xFFFFFF&amp;border=0x666666&amp;loader=0x9FFFB8&amp;soundFile=http%3A%2F%2Fjclab.files.wordpress.com%2F2009%2F05%2Fpianos-balleron-visited.mp3' /><param name='quality' value='high' /><param name='menu' value='false' /><param name='bgcolor' value='#FFFFFF' /></object></p></span></p>
<p style="margin-bottom:0;" lang="ja-JP"><a href="http://jclab.files.wordpress.com/2009/05/pianos-balleron-visited.mp3">pianos-BALLERON-visited</a></p>
<p><strong>Music<br />
</strong>Artist (Accordeuse &#8211; Restauratrice): <strong><a href="http://www.pianos.fr/">Akiko OKAYASU at Pianos Balleron</a></strong></p>
<p><strong>Blogs from Pianos BALLERON</strong><strong><a href="http://www.pianos.fr/"><br />
</a></strong><a href="http://blogs.yahoo.co.jp/achakiko">パリ発 ピアノ修復通信 (Japanese)</a><br />
<a href="http://blogpiano.wordpress.com/">Blog Piano (French)</a></p>
<p><img class="alignnone size-full wp-image-954" title="Pianos-BALLERON" src="http://jclab.files.wordpress.com/2009/05/pianos-balleron.jpg?w=400&#038;h=300" alt="Pianos-BALLERON" width="400" height="300" /></p>
<p style="margin-bottom:0;" lang="ja-JP"><em><strong>transcript</strong></em></p>
<p>Hello, I&#8217;m Kasumi Kobayashi. Thank you for listening Japanese Classical Literature at Bedtime.<br />
During so-called “Golden week”, holidays in Japan, I visited Paris with my husband.My love of pianos partly made this short trip possible.<br />
Here&#8217;s my impression of Pianos BALLERON, one of the great piano repair shops in France.<span id="more-922"></span></p>
<p style="margin-bottom:0;" lang="ja-JP"><span style="font-family:Times New Roman,serif;">5</span>月の連休期間中、パリに<span style="font-family:Times New Roman,serif;">1</span>週間ほど夫と滞在しました。（連休直前になって新型インフルエンザのニュースの報道が見られるようになっていて、やや不安ではありました。）<br />
パリ到着の翌日<span style="font-family:Times New Roman,serif;">4</span>月<span style="font-family:Times New Roman,serif;">29</span>日、<span style="font-family:Times New Roman,serif;">9</span>時頃にホテルを出て、メトロで９番線のラ・ミュエット駅まで行きました。駅から出てパッシー通りを歩くと、まるきり大人の格好をして颯爽とあるく少女とすれ違い、思わず振り返ってしまいました。行く人々を見ると、高級住宅街だけあって、みな洗練された格好をしています。</p>
<p style="margin-bottom:0;" lang="ja-JP">パッシープラザのすぐ斜め前に、バルロンピアノ修復工房へ続く道があります。<br />
特に看板も出ていないので、きょろきょろしながら入口を探していると、ドアが不意に開いて、なかから小柄な女性が出てきました。この工房でピアノの調律と修復をされている日本人の岡安さんです。<br />
フランス人と一緒に仕事をされているので、きびきびした方で忙しそうにされているかも知れないと、やや緊張していたのですが、気さくな感じで、穏やかに話されるので、ほっとしました。作業台に向かっていた、若いフランス人の女性も作業の手を止めてにこにこしながら迎えてくれました。</p>
<p style="margin-bottom:0;" lang="ja-JP">ドアを入ってすぐの場所が、色々な道具や素材が置かれている工房でした。天候の話などの挨拶のあと、修復の済んだピアノのある部屋へ案内してもらいました。簡単にそれらのピアノについて紹介してもらうと、次に地下にある修復待ちのピアノと、数台の修復済みのピアノを見せてもらいました。グランドピアノは脚を取り外してあって、縦に並べられていました。どれも、辛抱強く診療を待っている患者のようにじっとしています。<span style="font-family:Times New Roman,serif;"><br />
1</span>台、一見して取っ手のないタンスのようなものがありました。岡安さんが手品師のようにさっと手をかけると、箱からピアノの鍵盤とペダル、そしてプレイエルという文字が現れました。音は全く他のピアノと同様に響きます。よくあるピアノだそうですが、私たちにはめずらしく、数枚写真を撮りました。</p>
<p style="margin-bottom:0;" lang="ja-JP">その後もう一度、１階にあるピアノの展示室に戻りました。部屋の真ん中には、プレイエルとガボーのグランドピアノが置いてありました。ふたつとも小さめで、パリのアパートにも置けるサイズとの事でした。他に、<span style="font-family:Times New Roman,serif;">4</span>，<span style="font-family:Times New Roman,serif;">5</span>台アップライトも置かれています。<br />
普段は仕舞っておくこともできるアップライトの譜面立てを出してもらったり、ピアノの脚や燭台を覗き込んだり、寄木細工の模様の部分に感心したりしながら、また日本とパリの湿度について等、ひとしきり説明してもらうと、岡安さんにグランドピアノの<span style="font-family:Times New Roman,serif;">2</span>台と、アップライトも数台、それぞれ<span style="font-family:Times New Roman,serif;">1</span>曲づつ弾いてもらいました。</p>
<p style="margin-bottom:0;" lang="ja-JP">素晴らしく素敵な音でした！</p>
<p style="margin-bottom:0;" lang="ja-JP">どれも、ピアノに対して熱意と愛情を持ったピアノ職人によって修復、調整されていて、まるで私には「幸福が閉じ込められているような」（<span style="font-family:Times New Roman,serif;">T</span>・ゴーチエの言葉）、美しい和音を響かせる宝石のように見えました。わたしは『パリ左岸のピアノ工房』で、アトリエのピアノ全部を欲しくなってしまった著者と同じ心境でした。</p>
<p style="margin-bottom:0;" lang="ja-JP">パリには彼女たちの情熱とメチエがずっとあって欲しいと思います！</p>
<p style="margin-bottom:0;" lang="ja-JP"><strong><a href="http://www.pianos.fr/jap/home.html">バルロンピアノ修復工房</a></strong></p>
<p><strong> </strong>工房経営者でピアノ修復師・芸術職人の師匠（<span style="font-family:Times New Roman,serif;">Maître Artisan en Métier d&#8217;Art</span>）、<br />
<a href="http://blogpiano.wordpress.com/"><strong>フアノンさんのブログ（仏語）</strong></a></p>
<p style="margin-bottom:0;" lang="ja-JP">工房のピアノ調律師・修復師、<a href="http://blogs.yahoo.co.jp/achakiko"><strong>岡安さんのブログ</strong></a>と<strong><a href="http://sound.jp/pianoparis/index.html">ホームページ</a></strong></p>
<p style="margin-bottom:0;" lang="ja-JP">
  <a rel="nofollow" href="http://feeds.wordpress.com/1.0/gocomments/jclab.wordpress.com/922/"><img alt="" border="0" src="http://feeds.wordpress.com/1.0/comments/jclab.wordpress.com/922/" /></a> <a rel="nofollow" href="http://feeds.wordpress.com/1.0/godelicious/jclab.wordpress.com/922/"><img alt="" border="0" src="http://feeds.wordpress.com/1.0/delicious/jclab.wordpress.com/922/" /></a> <a rel="nofollow" href="http://feeds.wordpress.com/1.0/gostumble/jclab.wordpress.com/922/"><img alt="" border="0" src="http://feeds.wordpress.com/1.0/stumble/jclab.wordpress.com/922/" /></a> <a rel="nofollow" href="http://feeds.wordpress.com/1.0/godigg/jclab.wordpress.com/922/"><img alt="" border="0" src="http://feeds.wordpress.com/1.0/digg/jclab.wordpress.com/922/" /></a> <a rel="nofollow" href="http://feeds.wordpress.com/1.0/goreddit/jclab.wordpress.com/922/"><img alt="" border="0" src="http://feeds.wordpress.com/1.0/reddit/jclab.wordpress.com/922/" /></a> <img alt="" border="0" src="http://stats.wordpress.com/b.gif?host=jclab.wordpress.com&blog=4872065&post=922&subd=jclab&ref=&feed=1" /></div>]]></content:encoded>
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			<media:title type="html">kaseumin</media:title>
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		<media:content url="http://jclab.files.wordpress.com/2009/05/pianos-balleron.jpg" medium="image">
			<media:title type="html">Pianos-BALLERON</media:title>
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	</item>
		<item>
		<title>Night of the Milky Way Railway – 9 Giovanni’s Ticket (4)</title>
		<link>http://jclab.wordpress.com/2009/05/08/milky-way-railway-9d/</link>
		<comments>http://jclab.wordpress.com/2009/05/08/milky-way-railway-9d/#comments</comments>
		<pubDate>Fri, 08 May 2009 12:59:34 +0000</pubDate>
		<dc:creator>kaseumin</dc:creator>
				<category><![CDATA[Kenji MIYAZAWA 1896-1933]]></category>
		<category><![CDATA[Public Domain]]></category>
		<category><![CDATA[with Music]]></category>

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		<description><![CDATA[
download　09d_gingatetsudo-dbp
Music
Artist: Daniel-Ben Pienaar
Album: JS Bach &#8211; Book 1 CD1 Well-Tempered Clavie
17 &#8211; Prelude Fugue No. 9 In E Major, BWV 854: Praeludium

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transcript

「なにがしあわせかわからないです。ほんとうにどんなつらいことでもそれがただしいみちを進（すす）む中でのできごとなら、峠（とうげ）の上りも下りもみんなほんとうの幸福（こうふく）に近づく一あしずつですから」
燈台守（とうだいもり）がなぐさめていました。
「ああそうです。ただいちばんのさいわいに至（いた）るためにいろいろのかなしみもみんなおぼしめしです」
青年が祈（いの）るようにそう答えました。
そしてあの姉弟（きょうだい）はもうつかれてめいめいぐったり席（せき）によりかかって睡（ねむ）っていました。さっきのあのはだしだった足にはいつか白い柔（やわ）らかな靴（くつ）をはいていたのです。
ごとごとごとごと汽車はきらびやかな燐光（りんこう）の川の岸（きし）を進（すす）みました。向（む）こうの方の窓（まど）を見ると、野原はまるで幻燈（げんとう）のようでした。百も千もの大小さまざまの三角標（さんかくひょう）、その大きなものの上には赤い点々をうった測量旗（そくりょうき）も見え、野原（のはら）のはてはそれらがいちめん、たくさんたくさん集（あつ）まってぼおっと青白い霧（きり）のよう、そこからか、またはもっと向（む）こうからか、ときどきさまざまの形のぼんやりした狼煙（のろし）のようなものが、かわるがわるきれいな桔梗（ききょう）いろのそらにうちあげられるのでした。じつにそのすきとおった奇麗（きれい）な風は、ばらのにおいでいっぱいでした。
「いかがですか。こういう苹果（りんご）はおはじめてでしょう」向こうの席（せき）の燈台看守（とうだいかんしゅ）がいつか黄金と紅でうつくしくいろどられた大きな苹果（りんご）を落（お）とさないように両手（りょうて）で膝（ひざ）の上にかかえていました。
「おや、どっから来たのですか。立派（りっぱ）ですねえ。ここらではこんな苹果（りんご）ができるのですか」青年はほんとうにびっくりしたらしく、燈台看守（とうだいかんしゅ）の両手（りょうて）にかかえられた一もりの苹果（りんご）を、眼（め）を細（ほそ）くしたり首（くび）をまげたりしながら、われを忘（わす）れてながめていました。
「いや、まあおとりください。どうか、まあおとりください」
青年は一つとってジョバンニたちの方をちょっと見ました。
「さあ、向（む）こうの坊（ぼっ）ちゃんがた。いかがですか。おとりください」
ジョバンニは坊（ぼっ）ちゃんといわれたので、すこししゃくにさわってだまっていましたが、カムパネルラは、
「ありがとう」と言（い）いました。
すると青年は自分でとって一つずつ二人に送（おく）ってよこしましたので、ジョバンニも立って、ありがとうと言（い）いました。
燈台看守（とうだいかんしゅ）はやっと両腕（りょううで）があいたので、こんどは自分で一つずつ睡（ねむ）っている姉弟（きょうだい）の膝（ひざ）にそっと置（お）きました。
「どうもありがとう。どこでできるのですか。こんな立派（りっぱ）な苹果（りんご）は」
青年はつくづく見ながら言（い）いました。
「この辺（あたり）ではもちろん農業（のうぎょう）はいたしますけれどもたいていひとりでにいいものができるような約束（やくそく）になっております。農業（のうぎょう）だってそんなにほねはおれはしません。たいてい自分の望（のぞ）む種子（たね）さえ播（ま）けばひとりでにどんどんできます。米だってパシフィック辺（へん）のように殻（から）もないし十倍（ばい）も大きくてにおいもいいのです。けれどもあなたがたのいらっしゃる方なら農業（のうぎょう）はもうありません。苹果（りんご）だってお菓子（かし）だって、かすが少しもありませんから、みんなそのひとそのひとによってちがった、わずかのいいかおりになって毛あなからちらけてしまうのです」
にわかに男の子がばっちり眼（め）をあいて言（い）いました。
「ああぼくいまお母（っか）さんの夢（ゆめ）をみていたよ。お母（っか）さんがね、立派（りっぱ）な戸棚（とだな）や本のあるとこにいてね、ぼくの方を見て手をだしてにこにこにこにこわらったよ。ぼく、おっかさん。りんごをひろってきてあげましょうか、と言（い）ったら眼（め）がさめちゃった。ああここ、さっきの汽車のなかだねえ」
「その苹果（りんご）がそこにあります。このおじさんにいただいたのですよ」青年が言（い）いました。
「ありがとうおじさん。おや、かほるねえさんまだねてるねえ、ぼくおこしてやろう。ねえさん。ごらん、りんごをもらったよ。おきてごらん」
姉はわらって眼をさまし、まぶしそうに両手を眼にあてて、それから苹果（りんご）を見ました。
 
Many thanks for the text :
Aozora-Bunko (http://www.aozora.gr.jp)
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			<content:encoded><![CDATA[<div class='snap_preview'><br /><p><span style='text-align:left;display:block;'><p><object type='application/x-shockwave-flash' data='http://jclab.wordpress.com/wp-content/plugins/audio-player/player.swf' width='290' height='24' id='audioplayer1'><param name='movie' value='http://jclab.wordpress.com/wp-content/plugins/audio-player/player.swf' /><param name='FlashVars' value='&amp;bg=0xf8f8f8&amp;leftbg=0xeeeeee&amp;lefticon=0x666666&amp;rightbg=0xcccccc&amp;rightbghover=0x999999&amp;righticon=0x666666&amp;righticonhover=0xffffff&amp;text=0x666666&amp;slider=0x666666&amp;track=0xFFFFFF&amp;border=0x666666&amp;loader=0x9FFFB8&amp;soundFile=http%3A%2F%2Fjclab.files.wordpress.com%2F2009%2F05%2F09d_gingatetsudo-dbp.mp3' /><param name='quality' value='high' /><param name='menu' value='false' /><param name='bgcolor' value='#FFFFFF' /></object></p></span><br />
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<p><strong>Music<br />
</strong>Artist: <a href="http://magnatune.com/artists/pienaar">Daniel-Ben Pienaar<br />
</a>Album: <a href="http://magnatune.com/artists/albums/dbp-wtc1a/">JS Bach &#8211; Book 1 CD1 Well-Tempered Clavie<br />
</a>17 &#8211; Prelude Fugue No. 9 In E Major, BWV 854: Praeludium<br />
<a rel="license" href="http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/us/"><img style="border-width:0;" src="http://i.creativecommons.org/l/by-nc-nd/3.0/us/88x31.png" alt="Creative Commons License" /></a><br />
This work is licenced under a <a rel="license" href="http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/us/">Creative Commons Licence</a>.</p>
<p><strong><em>transcript</em></strong></p>
<p><span id="more-879"></span></p>
<p>「なにがしあわせかわからないです。ほんとうにどんなつらいことでもそれがただしいみちを進（すす）む中でのできごとなら、峠（とうげ）の上りも下りもみんなほんとうの幸福（こうふく）に近づく一あしずつですから」<br />
燈台守（とうだいもり）がなぐさめていました。<br />
「ああそうです。ただいちばんのさいわいに至（いた）るためにいろいろのかなしみもみんなおぼしめしです」<br />
青年が祈（いの）るようにそう答えました。<br />
そしてあの姉弟（きょうだい）はもうつかれてめいめいぐったり席（せき）によりかかって睡（ねむ）っていました。さっきのあのはだしだった足にはいつか白い柔（やわ）らかな靴（くつ）をはいていたのです。<br />
ごとごとごとごと汽車はきらびやかな燐光（りんこう）の川の岸（きし）を進（すす）みました。向（む）こうの方の窓（まど）を見ると、野原はまるで幻燈（げんとう）のようでした。百も千もの大小さまざまの三角標（さんかくひょう）、その大きなものの上には赤い点々をうった測量旗（そくりょうき）も見え、野原（のはら）のはてはそれらがいちめん、たくさんたくさん集（あつ）まってぼおっと青白い霧（きり）のよう、そこからか、またはもっと向（む）こうからか、ときどきさまざまの形のぼんやりした狼煙（のろし）のようなものが、かわるがわるきれいな桔梗（ききょう）いろのそらにうちあげられるのでした。じつにそのすきとおった奇麗（きれい）な風は、ばらのにおいでいっぱいでした。<br />
「いかがですか。こういう苹果（りんご）はおはじめてでしょう」向こうの席（せき）の燈台看守（とうだいかんしゅ）がいつか黄金と紅でうつくしくいろどられた大きな苹果（りんご）を落（お）とさないように両手（りょうて）で膝（ひざ）の上にかかえていました。<br />
「おや、どっから来たのですか。立派（りっぱ）ですねえ。ここらではこんな苹果（りんご）ができるのですか」青年はほんとうにびっくりしたらしく、燈台看守（とうだいかんしゅ）の両手（りょうて）にかかえられた一もりの苹果（りんご）を、眼（め）を細（ほそ）くしたり首（くび）をまげたりしながら、われを忘（わす）れてながめていました。<br />
「いや、まあおとりください。どうか、まあおとりください」<br />
青年は一つとってジョバンニたちの方をちょっと見ました。<br />
「さあ、向（む）こうの坊（ぼっ）ちゃんがた。いかがですか。おとりください」<br />
ジョバンニは坊（ぼっ）ちゃんといわれたので、すこししゃくにさわってだまっていましたが、カムパネルラは、<br />
「ありがとう」と言（い）いました。<br />
すると青年は自分でとって一つずつ二人に送（おく）ってよこしましたので、ジョバンニも立って、ありがとうと言（い）いました。<br />
燈台看守（とうだいかんしゅ）はやっと両腕（りょううで）があいたので、こんどは自分で一つずつ睡（ねむ）っている姉弟（きょうだい）の膝（ひざ）にそっと置（お）きました。<br />
「どうもありがとう。どこでできるのですか。こんな立派（りっぱ）な苹果（りんご）は」<br />
青年はつくづく見ながら言（い）いました。<br />
「この辺（あたり）ではもちろん農業（のうぎょう）はいたしますけれどもたいていひとりでにいいものができるような約束（やくそく）になっております。農業（のうぎょう）だってそんなにほねはおれはしません。たいてい自分の望（のぞ）む種子（たね）さえ播（ま）けばひとりでにどんどんできます。米だってパシフィック辺（へん）のように殻（から）もないし十倍（ばい）も大きくてにおいもいいのです。けれどもあなたがたのいらっしゃる方なら農業（のうぎょう）はもうありません。苹果（りんご）だってお菓子（かし）だって、かすが少しもありませんから、みんなそのひとそのひとによってちがった、わずかのいいかおりになって毛あなからちらけてしまうのです」<br />
にわかに男の子がばっちり眼（め）をあいて言（い）いました。<br />
「ああぼくいまお母（っか）さんの夢（ゆめ）をみていたよ。お母（っか）さんがね、立派（りっぱ）な戸棚（とだな）や本のあるとこにいてね、ぼくの方を見て手をだしてにこにこにこにこわらったよ。ぼく、おっかさん。りんごをひろってきてあげましょうか、と言（い）ったら眼（め）がさめちゃった。ああここ、さっきの汽車のなかだねえ」<br />
「その苹果（りんご）がそこにあります。このおじさんにいただいたのですよ」青年が言（い）いました。<br />
「ありがとうおじさん。おや、かほるねえさんまだねてるねえ、ぼくおこしてやろう。ねえさん。ごらん、りんごをもらったよ。おきてごらん」<br />
姉はわらって眼をさまし、まぶしそうに両手を眼にあてて、それから苹果（りんご）を見ました。</p>
<p><strong> </strong></p>
<p><em>Many thanks for the text :<br />
<a href="http://www.aozora.gr.jp/">Aozora-Bunko</a> (http://www.aozora.gr.jp)<br />
Original text <a href="http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/card43737.html">here</a> (http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/card43737.html )</em><strong> </strong></p>
<p><strong>Without music , Public Domain</strong><a href="http://jclab.files.wordpress.com/2009/05/09d_gingatetsudo.mp3">09d_gingatetsudo</a><br />
<a rel="license" href="http://creativecommons.org/licenses/publicdomain/"><img style="border-width:0;" src="http://i.creativecommons.org/l/publicdomain/88x31.png" alt="Creative Commons License" /></a><br />
This work is dedicated to the <a rel="license" href="http://creativecommons.org/licenses/publicdomain/">Public Domain</a>.</p>
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		</media:content>

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	</item>
		<item>
		<title>CBC Radio &#8220;Ideas&#8221; features The Tale of Genji</title>
		<link>http://jclab.wordpress.com/2009/05/05/cbc-radio-ideas-features-genji/</link>
		<comments>http://jclab.wordpress.com/2009/05/05/cbc-radio-ideas-features-genji/#comments</comments>
		<pubDate>Mon, 04 May 2009 16:02:59 +0000</pubDate>
		<dc:creator>kaseumin</dc:creator>
				<category><![CDATA[The Tale of Genji]]></category>
		<category><![CDATA[What's New?]]></category>

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		<description><![CDATA[For those who is interested in &#8220;The Tale of Genji&#8221;;
IDEAS   Schedule &#8211; May 2009 at 9pm
Tuesday, May 5
THE TALE OF GENJI 
It is considered the world’s first novel, written in the 11th century by a 30 year-old Japanese woman. The Tale of Genji has been interpreted in hand scrolls, woodcuts, operas, manga and anime. There’s [...]<img alt="" border="0" src="http://stats.wordpress.com/b.gif?host=jclab.wordpress.com&blog=4872065&post=857&subd=jclab&ref=&feed=1" />]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div class='snap_preview'><br /><p>For those who is interested in &#8220;The Tale of Genji&#8221;;</p>
<blockquote><p><strong>IDEAS   Schedule &#8211; May 2009</strong> at 9pm<br />
<span class="body"><span style="font-family:Arial,Helvetica,sans-serif;font-size:x-small;">Tuesday, May 5<br />
</span></span><a href="http://www.cbc.ca/ideas/features/tale-of-genji/index.html"><strong>THE TALE OF GENJI</strong> </a><span class="body"><span style="font-family:Arial,Helvetica,sans-serif;font-size:x-small;"><br />
</span></span>It is considered the world’s first novel, written in the 11th century by a 30 year-old Japanese woman. The Tale of Genji has been interpreted in hand scrolls, woodcuts, operas, manga and anime. There’s even a PlayStation 2 videogame. Broadcaster <strong>Teresa Goff</strong> considers why the novel continues to fascinate.</p></blockquote>
<p><span id="more-857"></span>I&#8217;m thrilled to here it.</p>
<div>You can listen online at <a href="http://www.cbc.ca/ideas/" target="_blank">http://www.cbc.ca/ideas/features/tale-of-genji/index.html<br />
</a></div>
<p><span class="body">カナダのラジオ局の番組、&#8221;<a href="http://www.cbc.ca/ideas/index.html">Ideas</a>&#8220;が、<a href="http://www.cbc.ca/ideas/features/tale-of-genji/index.html">源氏物語の特集</a>を放送します。</span><span class="body">先日、アップロードした<a href="http://jclab.wordpress.com/2009/04/09/awa-to-miru-waka-from-the-tale-of-genji-chapter-13-akashi/">和歌の朗読</a>や、<a href="http://jclab.wordpress.com/2007/05/11/the-tale-of-genji-audiobooks/">源氏物語の朗読</a>がところどころに使われています。</span></p>
<p><span class="body">いまパリを旅行中のため、ご紹介が当日となってしまいました…。5月6日以降に、アーカイブされた放送が聴けるようです。ご興味のある方はぜひ。（放送は英語です。）</span><strong><a href="http://www.cbc.ca/ideas/" target="_blank"><br />
</a></strong></p>
<p><span class="body"><em>5月9日追記：放送が聴けるようになっています</em></span></p>
<p><span class="body"><em><a href="http://www.cbc.ca/ideas/features/tale-of-genji/index.html"><img class="alignnone size-full wp-image-908" title="ideas-tale-of-genji" src="http://jclab.files.wordpress.com/2009/05/ideas-tale-of-genji.jpg?w=500&#038;h=559" alt="ideas-tale-of-genji" width="500" height="559" /></a><br />
</em></span></p>
  <a rel="nofollow" href="http://feeds.wordpress.com/1.0/gocomments/jclab.wordpress.com/857/"><img alt="" border="0" src="http://feeds.wordpress.com/1.0/comments/jclab.wordpress.com/857/" /></a> <a rel="nofollow" href="http://feeds.wordpress.com/1.0/godelicious/jclab.wordpress.com/857/"><img alt="" border="0" src="http://feeds.wordpress.com/1.0/delicious/jclab.wordpress.com/857/" /></a> <a rel="nofollow" href="http://feeds.wordpress.com/1.0/gostumble/jclab.wordpress.com/857/"><img alt="" border="0" src="http://feeds.wordpress.com/1.0/stumble/jclab.wordpress.com/857/" /></a> <a rel="nofollow" href="http://feeds.wordpress.com/1.0/godigg/jclab.wordpress.com/857/"><img alt="" border="0" src="http://feeds.wordpress.com/1.0/digg/jclab.wordpress.com/857/" /></a> <a rel="nofollow" href="http://feeds.wordpress.com/1.0/goreddit/jclab.wordpress.com/857/"><img alt="" border="0" src="http://feeds.wordpress.com/1.0/reddit/jclab.wordpress.com/857/" /></a> <img alt="" border="0" src="http://stats.wordpress.com/b.gif?host=jclab.wordpress.com&blog=4872065&post=857&subd=jclab&ref=&feed=1" /></div>]]></content:encoded>
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	</item>
		<item>
		<title>The Pillow Book &#8211; No.43 &#8220;Mushi ha&#8221;</title>
		<link>http://jclab.wordpress.com/2009/04/10/pillowbook-no43/</link>
		<comments>http://jclab.wordpress.com/2009/04/10/pillowbook-no43/#comments</comments>
		<pubDate>Fri, 10 Apr 2009 13:03:01 +0000</pubDate>
		<dc:creator>kaseumin</dc:creator>
				<category><![CDATA[Public Domain]]></category>
		<category><![CDATA[Sei Shonagon 966-1017]]></category>

		<guid isPermaLink="false">http://jclab.wordpress.com/?p=847</guid>
		<description><![CDATA[
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pillowbook_43mushi
text
『枕草子』　岩波文庫　池田亀鑑校訂
e-text can be found at University of Virginia Electronic Text Center
*a little bit different from above text.
this recording is requested by NicT 
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			<content:encoded><![CDATA[<div class='snap_preview'><br /><p><span style='text-align:left;display:block;'><p><object type='application/x-shockwave-flash' data='http://jclab.wordpress.com/wp-content/plugins/audio-player/player.swf' width='290' height='24' id='audioplayer1'><param name='movie' value='http://jclab.wordpress.com/wp-content/plugins/audio-player/player.swf' /><param name='FlashVars' value='&amp;bg=0xf8f8f8&amp;leftbg=0xeeeeee&amp;lefticon=0x666666&amp;rightbg=0xcccccc&amp;rightbghover=0x999999&amp;righticon=0x666666&amp;righticonhover=0xffffff&amp;text=0x666666&amp;slider=0x666666&amp;track=0xFFFFFF&amp;border=0x666666&amp;loader=0x9FFFB8&amp;soundFile=http%3A%2F%2Fjclab.files.wordpress.com%2F2009%2F04%2Fpillowbook_43mushi.mp3' /><param name='quality' value='high' /><param name='menu' value='false' /><param name='bgcolor' value='#FFFFFF' /></object></p></span></p>
<p>download<br />
<a href="http://jclab.files.wordpress.com/2009/04/pillowbook_43mushi.mp3">pillowbook_43mushi</a></p>
<p>text<br />
『枕草子』　岩波文庫　池田亀鑑校訂</p>
<p>e-text can be found at<a href="http://etext.lib.virginia.edu/japanese/sei/makura/SeiMaku.html"> University of Virginia Electronic Text Center</a><br />
*a little bit different from above text.</p>
<p><em>this recording is </em><em>requested by NicT </em></p>
  <a rel="nofollow" href="http://feeds.wordpress.com/1.0/gocomments/jclab.wordpress.com/847/"><img alt="" border="0" src="http://feeds.wordpress.com/1.0/comments/jclab.wordpress.com/847/" /></a> <a rel="nofollow" href="http://feeds.wordpress.com/1.0/godelicious/jclab.wordpress.com/847/"><img alt="" border="0" src="http://feeds.wordpress.com/1.0/delicious/jclab.wordpress.com/847/" /></a> <a rel="nofollow" href="http://feeds.wordpress.com/1.0/gostumble/jclab.wordpress.com/847/"><img alt="" border="0" src="http://feeds.wordpress.com/1.0/stumble/jclab.wordpress.com/847/" /></a> <a rel="nofollow" href="http://feeds.wordpress.com/1.0/godigg/jclab.wordpress.com/847/"><img alt="" border="0" src="http://feeds.wordpress.com/1.0/digg/jclab.wordpress.com/847/" /></a> <a rel="nofollow" href="http://feeds.wordpress.com/1.0/goreddit/jclab.wordpress.com/847/"><img alt="" border="0" src="http://feeds.wordpress.com/1.0/reddit/jclab.wordpress.com/847/" /></a> <img alt="" border="0" src="http://stats.wordpress.com/b.gif?host=jclab.wordpress.com&blog=4872065&post=847&subd=jclab&ref=&feed=1" /></div>]]></content:encoded>
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		<media:content url="http://0.gravatar.com/avatar/20450400fd484480a85b0c6ddfb916ee?s=96&#38;d=identicon&#38;r=G" medium="image">
			<media:title type="html">kaseumin</media:title>
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	</item>
		<item>
		<title>Awa to miru&#8230;  Waka from The Tale of Genji, chapter 13 &#8220;Akashi&#8221;</title>
		<link>http://jclab.wordpress.com/2009/04/09/awa-to-miru-waka-from-the-tale-of-genji-chapter-13-akashi/</link>
		<comments>http://jclab.wordpress.com/2009/04/09/awa-to-miru-waka-from-the-tale-of-genji-chapter-13-akashi/#comments</comments>
		<pubDate>Thu, 09 Apr 2009 12:05:04 +0000</pubDate>
		<dc:creator>kaseumin</dc:creator>
				<category><![CDATA[Public Domain]]></category>
		<category><![CDATA[The Tale of Genji]]></category>
		<category><![CDATA[Waka]]></category>

		<guid isPermaLink="false">http://jclab.wordpress.com/?p=821</guid>
		<description><![CDATA[
Awa to miru
Awaji no shima no
aware sae
Nokuru kumanaku
sumeru yo no tsuki
泡と見る
淡路の島の
あはれさへ
残るくまなく
澄める夜の月
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genji-13-awa1
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			<content:encoded><![CDATA[<div class='snap_preview'><br /><div class="im"><span style='text-align:left;display:block;'><p><object type='application/x-shockwave-flash' data='http://jclab.wordpress.com/wp-content/plugins/audio-player/player.swf' width='290' height='24' id='audioplayer1'><param name='movie' value='http://jclab.wordpress.com/wp-content/plugins/audio-player/player.swf' /><param name='FlashVars' value='&amp;bg=0xf8f8f8&amp;leftbg=0xeeeeee&amp;lefticon=0x666666&amp;rightbg=0xcccccc&amp;rightbghover=0x999999&amp;righticon=0x666666&amp;righticonhover=0xffffff&amp;text=0x666666&amp;slider=0x666666&amp;track=0xFFFFFF&amp;border=0x666666&amp;loader=0x9FFFB8&amp;soundFile=http%3A%2F%2Fjclab.files.wordpress.com%2F2009%2F04%2Fgenji-13-awa1.mp3' /><param name='quality' value='high' /><param name='menu' value='false' /><param name='bgcolor' value='#FFFFFF' /></object></p></span></div>
<div class="im">Awa to miru<br />
Awaji no shima no<br />
aware sae<br />
Nokuru kumanaku<br />
sumeru yo no tsuki</p>
<p>泡と見る<br />
淡路の島の<br />
あはれさへ<br />
残るくまなく<br />
澄める夜の月</p>
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		<title>Night of the Milky Way Railway &#8211; 9 Giovanni’s Ticket (3)</title>
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		<comments>http://jclab.wordpress.com/2009/03/22/milky-way-railway-9c/#comments</comments>
		<pubDate>Sun, 22 Mar 2009 03:47:43 +0000</pubDate>
		<dc:creator>kaseumin</dc:creator>
				<category><![CDATA[Kenji MIYAZAWA 1896-1933]]></category>
		<category><![CDATA[Public Domain]]></category>
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		<description><![CDATA[
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Music
Artist: Daniel-Ben Pienaar
Album: JS Bach &#8211; Book 1 CD1 Well-Tempered Clavie
 19- Prelude And Fugue No. 10 In E Minor, BWV 855: Praeludium

This work is licenced under a Creative Commons Licence.
transcript
「あら、ここどこでしょう。まあ、きれいだわ」青年のうしろに、もひとり、十二ばかりの眼（め）の茶いろな可愛（かわい）らしい女の子が、黒い外套（がいとう）を着（き）て青年の腕（うで）にすがって不思議（ふしぎ）そうに窓（まど）の外を見ているのでした。
「ああ、ここはランカシャイヤだ。いや、コンネクテカット州（しゅう）だ。いや、ああ、ぼくたちはそらへ来たのだ。わたしたちは天へ行くのです。ごらんなさい。あのしるしは天上のしるしです。もうなんにもこわいことありません。わたくしたちは神（かみ）さまに召（め）されているのです」黒服（くろふく）の青年はよろこびにかがやいてその女の子に言（い）いました。けれどもなぜかまた額（ひたい）に深（ふか）く皺（しわ）を刻（きざ）んで、それにたいへんつかれているらしく、無理（むり）に笑（わら）いながら男の子をジョバンニのとなりにすわらせました。それから女の子にやさしくカムパネルラのとなりの席（せき）を指（ゆび）さしました。女の子はすなおにそこへすわって、きちんと両手（りょうて）を組み合わせました。
「ぼく、おおねえさんのとこへ行くんだよう」腰掛（こしか）けたばかりの男の子は顔を変（へん）にして燈台看守（とうだいかんしゅ）の向（む）こうの席（せき）にすわったばかりの青年に言（い）いました。青年はなんとも言（い）えず悲（かな）しそうな顔をして、じっとその子の、ちぢれたぬれた頭を見ました。女の子は、いきなり両手（りょうて）を顔にあててしくしく泣（な）いてしまいました。
「お父さんやきくよねえさんはまだいろいろお仕事（しごと）があるのです。けれどももうすぐあとからいらっしゃいます。それよりも、おっかさんはどんなに永（なが）く待（ま）っていらっしゃったでしょう。わたしの大事（だいじ）なタダシはいまどんな歌をうたっているだろう、雪（ゆき）の降（ふ）る朝にみんなと手をつないで、ぐるぐるにわとこのやぶをまわってあそんでいるだろうかと考えたり、ほんとうに待（ま）って心配（しんぱい）していらっしゃるんですから、早く行って、おっかさんにお目にかかりましょうね」
「うん、だけど僕（ぼく）、船に乗（の）らなけぁよかったなあ」
「ええ、けれど、ごらんなさい、そら、どうです、あの立派（りっぱ）な川、ね、あすこはあの夏じゅう、ツィンクル、ツィンクル、リトル、スターをうたってやすむとき、いつも窓（まど）からぼんやり白く見えていたでしょう。あすこですよ。ね、きれいでしょう、あんなに光っています」
泣（な）いていた姉（あね）もハンケチで眼（め）をふいて外を見ました。青年は教えるようにそっと姉弟（きょうだい）にまた言（い）いました。
「わたしたちはもう、なんにもかなしいことないのです。わたしたちはこんないいとこを旅（たび）して、じき神（かみ）さまのとこへ行きます。そこならもう、ほんとうに明るくてにおいがよくて立派（りっぱ）な人たちでいっぱいです。そしてわたしたちの代（か）わりにボートへ乗（の）れた人たちは、きっとみんな助（たす）けられて、心配（しんぱい）して待（ま）っているめいめいのお父さんやお母さんや自分のお家へやら行くのです。さあ、もうじきですから元気を出しておもしろくうたって行きましょう」青年は男の子のぬれたような黒い髪（かみ）をなで、みんなを慰（なぐさ）めながら、自分もだんだん顔いろがかがやいてきました。
「あなた方はどちらからいらっしゃったのですか。どうなすったのですか」
さっきの燈台看守（とうだいかんしゅ）がやっと少しわかったように青年にたずねました。青年はかすかにわらいました。
「いえ、氷山にぶっつかって船が沈みましてね、わたしたちはこちらのお父さんが急な用で二か月前、一足さきに本国へお帰りになったので、あとから発ったのです。私は大学へはいっていて、家庭教師にやとわれていたのです。ところがちょうど十二日目、今日か昨日のあたりです、船が氷山（ひょうざん）にぶっつかって一ぺんに傾（かたむ）きもう沈みかけました。月のあかりはどこかぼんやりありましたが、霧（きり）が非常（ひじょう）に深（ふか）かったのです。ところがボートは左舷（さげん）の方半分はもうだめになっていましたから、とてもみんなは乗り切らないのです。もうそのうちにも船は沈みますし、私は必死となって、どうか小さな人たちを乗せてくださいと叫びました。近くの人たちはすぐみちを開いて、そして子供たちのために祈（いの）ってくれました。けれどもそこからボートまでのところには、まだまだ小さな子どもたちや親たちやなんかいて、とても押しのける勇気（ゆうき）がなかったのです。それでもわたくしはどうしてもこの方たちをお助けするのが私の義務（ぎむ）だと思いましたから前にいる子供らを押（お）しのけようとしました。けれどもまた、そんなにして助けてあげるよりはこのまま神の御前にみんなで行く方が、ほんとうにこの方たちの幸福だとも思いました。それからまた、その神（かみ）にそむく罪（つみ）はわたくしひとりでしょってぜひとも助（たす）けてあげようと思いました。けれども、どうしても見ているとそれができないのでした。子どもらばかりのボートの中へはなしてやって、お母さんが狂気（きょうき）のようにキスを送（おく）りお父さんがかなしいのをじっとこらえてまっすぐに立っているなど、とてももう腸（はらわた）もちぎれるようでした。そのうち船はもうずんずん沈（しず）みますから、私たちはかたまって、もうすっかり覚悟（かくご）して、この人たち二人を抱（だ）いて、浮（う）かべるだけは浮（う）かぼうと船の沈（しず）むのを待（ま）っていました。誰（だれ）が投（な）げたかライフヴイが一つ飛（と）んで来ましたけれどもすべってずうっと向（む）こうへ行ってしまいました。私は一生けん命で甲板の格子になったとこをはなして、三人それにしっかりとりつきました。どこからともなく三〇六番の声があがりました。たちまちみんなはいろいろな国語で一ぺんにそれをうたいました。そのときにわかに大きな音がして私たちは水に落（お）ち、もう渦（うず）にはいったと思いながらしっかりこの人たちをだいて、それからぼうっとしたと思ったらもうここへ来ていたのです。この方たちのお母さんは一昨年歿（な）くなられました。ええ、ボートはきっと助（たす）かったにちがいありません、なにせよほど熟練（じゅくれん）な水夫（すいふ）たちが漕（こ）いで、すばやく船からはなれていましたから」
そこらから小さな嘆息（たんそく）やいのりの声が聞こえジョバンニもカムパネルラもいままで忘（わす）れていたいろいろのことをぼんやり思い出して眼が熱くなりました。
（ああ、その大きな海はパシフィックというのではなかったろうか。その氷山（ひょうざん）の流（なが）れる北のはての海で、小さな船に乗って、風や凍りつく潮水や、はげしい寒（さむ）さとたたかって、たれかが一生けんめいはたらいている。ぼくはそのひとにほんとうにきのどくでそしてすまないような気がする。ぼくはそのひとのさいわいのためにいったいどうしたらいいのだろう）
ジョバンニは首をたれて、すっかりふさぎ込んでしまいました。
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09c_gingatetsudo

This work is dedicated to the Public Domain.
Many thanks for the text :
Aozora-Bunko (http://www.aozora.gr.jp)
Original text here (http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/card43737.html )
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<p><strong>Music</strong><br />
Artist: <a href="http://magnatune.com/artists/pienaar">Daniel-Ben Pienaar</a></p>
<p>Album: <a href="http://magnatune.com/artists/albums/dbp-wtc1a/">JS Bach &#8211; Book 1 CD1 Well-Tempered Clavie<br />
</a> 19- Prelude And Fugue No. 10 In E Minor, BWV 855: Praeludium<br />
<a rel="license" href="http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/us/"><img style="border-width:0;" src="http://i.creativecommons.org/l/by-nc-nd/3.0/us/88x31.png" alt="Creative Commons License" /></a><br />
This work is licenced under a <a rel="license" href="http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/us/">Creative Commons Licence</a>.</p>
<p><strong></strong><span id="more-771"></span><strong><em>transcript</em></strong></p>
<p>「あら、ここどこでしょう。まあ、きれいだわ」青年のうしろに、もひとり、十二ばかりの眼（め）の茶いろな可愛（かわい）らしい女の子が、黒い外套（がいとう）を着（き）て青年の腕（うで）にすがって不思議（ふしぎ）そうに窓（まど）の外を見ているのでした。<br />
「ああ、ここはランカシャイヤだ。いや、コンネクテカット州（しゅう）だ。いや、ああ、ぼくたちはそらへ来たのだ。わたしたちは天へ行くのです。ごらんなさい。あのしるしは天上のしるしです。もうなんにもこわいことありません。わたくしたちは神（かみ）さまに召（め）されているのです」黒服（くろふく）の青年はよろこびにかがやいてその女の子に言（い）いました。けれどもなぜかまた額（ひたい）に深（ふか）く皺（しわ）を刻（きざ）んで、それにたいへんつかれているらしく、無理（むり）に笑（わら）いながら男の子をジョバンニのとなりにすわらせました。それから女の子にやさしくカムパネルラのとなりの席（せき）を指（ゆび）さしました。女の子はすなおにそこへすわって、きちんと両手（りょうて）を組み合わせました。<br />
「ぼく、おおねえさんのとこへ行くんだよう」腰掛（こしか）けたばかりの男の子は顔を変（へん）にして燈台看守（とうだいかんしゅ）の向（む）こうの席（せき）にすわったばかりの青年に言（い）いました。青年はなんとも言（い）えず悲（かな）しそうな顔をして、じっとその子の、ちぢれたぬれた頭を見ました。女の子は、いきなり両手（りょうて）を顔にあててしくしく泣（な）いてしまいました。<br />
「お父さんやきくよねえさんはまだいろいろお仕事（しごと）があるのです。けれどももうすぐあとからいらっしゃいます。それよりも、おっかさんはどんなに永（なが）く待（ま）っていらっしゃったでしょう。わたしの大事（だいじ）なタダシはいまどんな歌をうたっているだろう、雪（ゆき）の降（ふ）る朝にみんなと手をつないで、ぐるぐるにわとこのやぶをまわってあそんでいるだろうかと考えたり、ほんとうに待（ま）って心配（しんぱい）していらっしゃるんですから、早く行って、おっかさんにお目にかかりましょうね」<br />
「うん、だけど僕（ぼく）、船に乗（の）らなけぁよかったなあ」<br />
「ええ、けれど、ごらんなさい、そら、どうです、あの立派（りっぱ）な川、ね、あすこはあの夏じゅう、ツィンクル、ツィンクル、リトル、スターをうたってやすむとき、いつも窓（まど）からぼんやり白く見えていたでしょう。あすこですよ。ね、きれいでしょう、あんなに光っています」<br />
泣（な）いていた姉（あね）もハンケチで眼（め）をふいて外を見ました。青年は教えるようにそっと姉弟（きょうだい）にまた言（い）いました。<br />
「わたしたちはもう、なんにもかなしいことないのです。わたしたちはこんないいとこを旅（たび）して、じき神（かみ）さまのとこへ行きます。そこならもう、ほんとうに明るくてにおいがよくて立派（りっぱ）な人たちでいっぱいです。そしてわたしたちの代（か）わりにボートへ乗（の）れた人たちは、きっとみんな助（たす）けられて、心配（しんぱい）して待（ま）っているめいめいのお父さんやお母さんや自分のお家へやら行くのです。さあ、もうじきですから元気を出しておもしろくうたって行きましょう」青年は男の子のぬれたような黒い髪（かみ）をなで、みんなを慰（なぐさ）めながら、自分もだんだん顔いろがかがやいてきました。<br />
「あなた方はどちらからいらっしゃったのですか。どうなすったのですか」<br />
さっきの燈台看守（とうだいかんしゅ）がやっと少しわかったように青年にたずねました。青年はかすかにわらいました。</p>
<p>「いえ、氷山にぶっつかって船が沈みましてね、わたしたちはこちらのお父さんが急な用で二か月前、一足さきに本国へお帰りになったので、あとから発ったのです。私は大学へはいっていて、家庭教師にやとわれていたのです。ところがちょうど十二日目、今日か昨日のあたりです、船が氷山（ひょうざん）にぶっつかって一ぺんに傾（かたむ）きもう沈みかけました。月のあかりはどこかぼんやりありましたが、霧（きり）が非常（ひじょう）に深（ふか）かったのです。ところがボートは左舷（さげん）の方半分はもうだめになっていましたから、とてもみんなは乗り切らないのです。もうそのうちにも船は沈みますし、私は必死となって、どうか小さな人たちを乗せてくださいと叫びました。近くの人たちはすぐみちを開いて、そして子供たちのために祈（いの）ってくれました。けれどもそこからボートまでのところには、まだまだ小さな子どもたちや親たちやなんかいて、とても押しのける勇気（ゆうき）がなかったのです。それでもわたくしはどうしてもこの方たちをお助けするのが私の義務（ぎむ）だと思いましたから前にいる子供らを押（お）しのけようとしました。けれどもまた、そんなにして助けてあげるよりはこのまま神の御前にみんなで行く方が、ほんとうにこの方たちの幸福だとも思いました。それからまた、その神（かみ）にそむく罪（つみ）はわたくしひとりでしょってぜひとも助（たす）けてあげようと思いました。けれども、どうしても見ているとそれができないのでした。子どもらばかりのボートの中へはなしてやって、お母さんが狂気（きょうき）のようにキスを送（おく）りお父さんがかなしいのをじっとこらえてまっすぐに立っているなど、とてももう腸（はらわた）もちぎれるようでした。そのうち船はもうずんずん沈（しず）みますから、私たちはかたまって、もうすっかり覚悟（かくご）して、この人たち二人を抱（だ）いて、浮（う）かべるだけは浮（う）かぼうと船の沈（しず）むのを待（ま）っていました。誰（だれ）が投（な）げたかライフヴイが一つ飛（と）んで来ましたけれどもすべってずうっと向（む）こうへ行ってしまいました。私は一生けん命で甲板の格子になったとこをはなして、三人それにしっかりとりつきました。どこからともなく三〇六番の声があがりました。たちまちみんなはいろいろな国語で一ぺんにそれをうたいました。そのときにわかに大きな音がして私たちは水に落（お）ち、もう渦（うず）にはいったと思いながらしっかりこの人たちをだいて、それからぼうっとしたと思ったらもうここへ来ていたのです。この方たちのお母さんは一昨年歿（な）くなられました。ええ、ボートはきっと助（たす）かったにちがいありません、なにせよほど熟練（じゅくれん）な水夫（すいふ）たちが漕（こ）いで、すばやく船からはなれていましたから」<br />
そこらから小さな嘆息（たんそく）やいのりの声が聞こえジョバンニもカムパネルラもいままで忘（わす）れていたいろいろのことをぼんやり思い出して眼が熱くなりました。<br />
（ああ、その大きな海はパシフィックというのではなかったろうか。その氷山（ひょうざん）の流（なが）れる北のはての海で、小さな船に乗って、風や凍りつく潮水や、はげしい寒（さむ）さとたたかって、たれかが一生けんめいはたらいている。ぼくはそのひとにほんとうにきのどくでそしてすまないような気がする。ぼくはそのひとのさいわいのためにいったいどうしたらいいのだろう）<br />
ジョバンニは首をたれて、すっかりふさぎ込んでしまいました。</p>
<p><strong>Without music , Public Domain</strong><br />
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		<item>
		<title>Night of the Milky Way Railway &#8211; 9 Giovanni’s Ticket (2)</title>
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		<pubDate>Mon, 02 Mar 2009 12:31:37 +0000</pubDate>
		<dc:creator>kaseumin</dc:creator>
				<category><![CDATA[Kenji MIYAZAWA 1896-1933]]></category>
		<category><![CDATA[Public Domain]]></category>
		<category><![CDATA[with Music]]></category>

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		<description><![CDATA[
Music
Artist: Robert F. Trucios
Album: From the Lobby of the Cooper Arms
14-Prelude (1913) (Maurice Ravel)

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transcript
ジョバンニはなんだかわけもわからずに、にわかにとなりの鳥捕りが気の毒でたまらなくなりました。鷺（さぎ）をつかまえてせいせいしたとよろこんだり、白いきれでそれをくるくる包んだり、ひとの切符をびっくりしたように横目で見てあわててほめだしたり、そんなことを一々考えていると、もうその見ず知らずの鳥捕りのために、ジョバンニの持っているものでも食べるものでもなんでもやってしまいたい、もうこの人のほんとうの幸（さいわい）になるなら、自分があの光る天の川の河原に立って百年つづけて立って鳥をとってやってもいいというような気がして、どうしてももう黙（だま）っていられなくなりました。ほんとうにあなたのほしいものはいったい何ですかと訊こうとして、それではあんまり出し抜けだから、どうしようかと考えてふり返（かえ）って見ましたら、そこにはもうあの鳥捕りがいませんでした。網棚（あみだな）の上には白い荷物も見えなかったのです。また窓の外で足をふんばってそらを見上げて鷺を捕るしたくをしているのかと思って、急いでそっちを見ましたが、外はいちめんのうつくしい砂子と白いすすきの波ばかり、あの鳥捕りの広いせなかもとがった帽子も見えませんでした。
「あの人どこへ行ったろう」カムパネルラもぼんやりそう言っていました。
「どこへ行ったろう。いったいどこでまたあうのだろう。僕はどうしても少しあの人に物を言わなかったろう」
「ああ、僕もそう思っているよ」
「僕はあの人が邪魔（じゃま）なような気がしたんだ。だから僕はたいへんつらい」ジョバンニはこんなへんてこな気もちは、ほんとうにはじめてだし、こんなこと今まで言ったこともないと思いました。
「なんだか苹果（りんご）のにおいがする。僕いま苹果のことを考えたためだろうか」カムパネルラが不思議そうにあたりを見まわしました。
「ほんとうに苹果のにおいだよ。それから野茨（のいばら）のにおいもする」
ジョバンニもそこらを見ましたがやっぱりそれは窓（まど）からでもはいって来るらしいのでした。いま秋だから野茨の花のにおいのするはずはないとジョバンニは思いました。
そしたらにわかにそこに、つやつやした黒い髪の六つばかりの男の子が赤いジャケツのぼたんもかけず、ひどくびっくりしたような顔をして、がたがたふるえてはだしで立っていました。隣りには黒い洋服をきちんと着たせいの高い青年がいっぱいに風に吹かれているけやきの木のような姿勢で、男の子の手をしっかりひいて立っていました。
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Aozora-Bunko (http://www.aozora.gr.jp)
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       <img alt="" border="0" src="http://stats.wordpress.com/b.gif?host=jclab.wordpress.com&blog=4872065&post=741&subd=jclab&ref=&feed=1" />]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div class='snap_preview'><br /><p><span style='text-align:left;display:block;'><p><object type='application/x-shockwave-flash' data='http://jclab.wordpress.com/wp-content/plugins/audio-player/player.swf' width='290' height='24' id='audioplayer1'><param name='movie' value='http://jclab.wordpress.com/wp-content/plugins/audio-player/player.swf' /><param name='FlashVars' value='&amp;bg=0xf8f8f8&amp;leftbg=0xeeeeee&amp;lefticon=0x666666&amp;rightbg=0xcccccc&amp;rightbghover=0x999999&amp;righticon=0x666666&amp;righticonhover=0xffffff&amp;text=0x666666&amp;slider=0x666666&amp;track=0xFFFFFF&amp;border=0x666666&amp;loader=0x9FFFB8&amp;soundFile=http%3A%2F%2Fjclab.files.wordpress.com%2F2009%2F03%2F09b_gingatetsudo_trucios_t14.mp3' /><param name='quality' value='high' /><param name='menu' value='false' /><param name='bgcolor' value='#FFFFFF' /></object></p></span></p>
<p><strong>Music<br />
</strong>Artist: <a href="http://www.magnatune.com/artists/trucios">Robert F. Trucios</a><br />
Album: <a href="http://www.magnatune.com/artists/albums/trucios-cooperarms/">From the Lobby of the Cooper Arms</a><br />
14-Prelude (1913) (Maurice Ravel)</p>
<p><a rel="license" href="http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/us/"><img style="border-width:0;" src="http://i.creativecommons.org/l/by-nc-nd/3.0/us/88x31.png" alt="Creative Commons License" /></a><br />
This <span>work</span> is licenced under a <a rel="license" href="http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/us/">Creative Commons Licence</a>.</p>
<p><strong>Without music , Public Domain</strong><a><br />
</a><a href="http://jclab.files.wordpress.com/2009/03/09b_gingatetsudo.mp3">09b_gingatetsudo</a><br />
<a rel="license" href="http://creativecommons.org/licenses/publicdomain/"><img style="border-width:0;" src="http://i.creativecommons.org/l/publicdomain/88x31.png" alt="Creative Commons License" /></a><br />
This work is dedicated to the <a rel="license" href="http://creativecommons.org/licenses/publicdomain/">Public Domain</a>.<br />
<span id="more-741"></span><strong><em>transcript</em></strong></p>
<p>ジョバンニはなんだかわけもわからずに、にわかにとなりの鳥捕りが気の毒でたまらなくなりました。鷺（さぎ）をつかまえてせいせいしたとよろこんだり、白いきれでそれをくるくる包んだり、ひとの切符をびっくりしたように横目で見てあわててほめだしたり、そんなことを一々考えていると、もうその見ず知らずの鳥捕りのために、ジョバンニの持っているものでも食べるものでもなんでもやってしまいたい、もうこの人のほんとうの幸（さいわい）になるなら、自分があの光る天の川の河原に立って百年つづけて立って鳥をとってやってもいいというような気がして、どうしてももう黙（だま）っていられなくなりました。ほんとうにあなたのほしいものはいったい何ですかと訊こうとして、それではあんまり出し抜けだから、どうしようかと考えてふり返（かえ）って見ましたら、そこにはもうあの鳥捕りがいませんでした。網棚（あみだな）の上には白い荷物も見えなかったのです。また窓の外で足をふんばってそらを見上げて鷺を捕るしたくをしているのかと思って、急いでそっちを見ましたが、外はいちめんのうつくしい砂子と白いすすきの波ばかり、あの鳥捕りの広いせなかもとがった帽子も見えませんでした。<br />
「あの人どこへ行ったろう」カムパネルラもぼんやりそう言っていました。<br />
「どこへ行ったろう。いったいどこでまたあうのだろう。僕はどうしても少しあの人に物を言わなかったろう」<br />
「ああ、僕もそう思っているよ」<br />
「僕はあの人が邪魔（じゃま）なような気がしたんだ。だから僕はたいへんつらい」ジョバンニはこんなへんてこな気もちは、ほんとうにはじめてだし、こんなこと今まで言ったこともないと思いました。<br />
「なんだか苹果（りんご）のにおいがする。僕いま苹果のことを考えたためだろうか」カムパネルラが不思議そうにあたりを見まわしました。<br />
「ほんとうに苹果のにおいだよ。それから野茨（のいばら）のにおいもする」<br />
ジョバンニもそこらを見ましたがやっぱりそれは窓（まど）からでもはいって来るらしいのでした。いま秋だから野茨の花のにおいのするはずはないとジョバンニは思いました。<br />
そしたらにわかにそこに、つやつやした黒い髪の六つばかりの男の子が赤いジャケツのぼたんもかけず、ひどくびっくりしたような顔をして、がたがたふるえてはだしで立っていました。隣りには黒い洋服をきちんと着たせいの高い青年がいっぱいに風に吹かれているけやきの木のような姿勢で、男の子の手をしっかりひいて立っていました。</p>
<p><em>Many thanks for the text :<br />
<a>Aozora-Bunko</a> (http://www.aozora.gr.jp)<br />
Original text <a>here</a> (http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/card43737.html )</em></p>
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			<media:title type="html">kaseumin</media:title>
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		<media:content url="http://i.creativecommons.org/l/by-nc-nd/3.0/us/88x31.png" medium="image">
			<media:title type="html">Creative Commons License</media:title>
		</media:content>

		<media:content url="http://i.creativecommons.org/l/publicdomain/88x31.png" medium="image">
			<media:title type="html">Creative Commons License</media:title>
		</media:content>

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	</item>
		<item>
		<title>Night of the Milky Way Railway &#8211; 9 Giovanni&#8217;s Ticket (1)</title>
		<link>http://jclab.wordpress.com/2009/01/12/milky-way-railway-9/</link>
		<comments>http://jclab.wordpress.com/2009/01/12/milky-way-railway-9/#comments</comments>
		<pubDate>Mon, 12 Jan 2009 08:56:16 +0000</pubDate>
		<dc:creator>kaseumin</dc:creator>
				<category><![CDATA[Kenji MIYAZAWA 1896-1933]]></category>
		<category><![CDATA[Public Domain]]></category>

		<guid isPermaLink="false">http://jclab.wordpress.com/?p=708</guid>
		<description><![CDATA[
09a_gingatetsudo-schumann-op15n2
09a_gingatetsudo *without music

九　ジョバンニの切符（きっぷ）
「もうここらは白鳥区（く）のおしまいです。ごらんなさい。あれが名高いアルビレオの観測所（かんそくじょ）です」
窓（まど）の外の、まるで花火でいっぱいのような、あまの川のまん中に、黒い大きな建物（たてもの）が四棟（むね）ばかり立って、その一つの平屋根（ひらやね）の上に、眼（め）もさめるような、青宝玉（サファイア）と黄玉（トパーズ）の大きな二つのすきとおった球（たま）が、輪（わ）になってしずかにくるくるとまわっていました。黄いろのがだんだん向（む）こうへまわって行って、青い小さいのがこっちへ進（すす）んで来、まもなく二つのはじは、重（かさ）なり合って、きれいな緑（みどり）いろの両面凸（りょうめんとつ）レンズのかたちをつくり、それもだんだん、まん中がふくらみだして、とうとう青いのは、すっかりトパーズの正面（しょうめん）に来ましたので、緑（みどり）の中心と黄いろな明るい環（わ）とができました。それがまただんだん横（よこ）へ外（そ）れて、前のレンズの形を逆（ぎゃく）にくり返（かえ）し、とうとうすっとはなれて、サファイアは向（む）こうへめぐり、黄いろのはこっちへ進（すす）み、またちょうどさっきのようなふうになりました。銀河（ぎんが）の、かたちもなく音もない水にかこまれて、ほんとうにその黒い測候所（そっこうじょ）が、睡（ねむ）っているように、しずかによこたわったのです。
「あれは、水の速（はや）さをはかる器械（きかい）です。水も……」鳥捕（とりと）りが言（い）いかけたとき、
「切符（きっぷ）を拝見（はいけん）いたします」三人の席（せき）の横（よこ）に、赤い帽子（ぼうし）をかぶったせいの高い車掌（しゃしょう）が、いつかまっすぐに立っていて言（い）いました。鳥捕（とりと）りは、だまってかくしから、小さな紙きれを出しました。車掌（しゃしょう）はちょっと見て、すぐ眼（め）をそらして（あなた方のは？）というように、指（ゆび）をうごかしながら、手をジョバンニたちの方へ出しました。
「さあ」ジョバンニは困（こま）って、もじもじしていましたら、カムパネルラはわけもないというふうで、小さな鼠（ねずみ）いろの切符（きっぷ）を出しました。ジョバンニは、すっかりあわててしまって、もしか上着（うわぎ）のポケットにでも、はいっていたかとおもいながら、手を入れてみましたら、何か大きなたたんだ紙きれにあたりました。こんなものはいっていたろうかと思って、急（いそ）いで出してみましたら、それは四つに折（お）ったはがきぐらいの大さ［＃「大さ」はママ］の緑（みどり）いろの紙でした。車掌（しゃしょう）が手を出しているもんですからなんでもかまわない、やっちまえと思って渡（わた）しましたら、車掌（しゃしょう）はまっすぐに立ち直（なお）ってていねいにそれを開いて見ていました。そして読みながら上着（うわぎ）のぼたんやなんかしきりに直（なお）したりしていましたし燈台看守（とうだいかんしゅ）も下からそれを熱心（ねっしん）にのぞいていましたから、ジョバンニはたしかにあれは証明書（しょうめいしょ）か何かだったと考えて少し胸（むね）が熱（あつ）くなるような気がしました。
「これは三次空間（じくうかん）の方からお持（も）ちになったのですか」車掌（しゃしょう）がたずねました。
「なんだかわかりません」もう大丈夫（だいじょうぶ）だと安心しながらジョバンニはそっちを見あげてくつくつ笑（わら）いました。
「よろしゅうございます。南十字（サウザンクロス）へ着（つ）きますのは、次（つぎ）の第（だい）三時ころになります」車掌（しゃしょう）は紙をジョバンニに渡（わた）して向（む）こうへ行きました。
カムパネルラは、その紙切れが何だったか待（ま）ちかねたというように急（いそ）いでのぞきこみました。ジョバンニも全（まった）く早く見たかったのです。ところがそれはいちめん黒い唐草（からくさ）のような模様（もよう）の中に、おかしな十ばかりの字を印刷（いんさつ）したもので、だまって見ているとなんだかその中へ吸（す）い込（こ）まれてしまうような気がするのでした。すると鳥捕（とりと）りが横からちらっとそれを見てあわてたように言（い）いました。
「おや、こいつはたいしたもんですぜ。こいつはもう、ほんとうの天上へさえ行ける切符（きっぷ）だ。天上どこじゃない、どこでもかってにあるける通行券（つうこうけん）です。こいつをお持（も）ちになれぁ、なるほど、こんな不完全（ふかんぜん）な幻想第四次（げんそうだいよじ）の銀河鉄道（ぎんがてつどう）なんか、どこまででも行けるはずでさあ、あなた方たいしたもんですね」
「なんだかわかりません」ジョバンニが赤くなって答えながら、それをまたたたんでかくしに入れました。そしてきまりが悪（わる）いのでカムパネルラと二人（ふたり）、また窓（まど）の外をながめていましたが、その鳥捕（とりと）りの時々たいしたもんだというように、ちらちらこっちを見ているのがぼんやりわかりました。
「もうじき鷲（わし）の停車場（ていしゃじょう）だよ」カムパネルラが向（む）こう岸（ぎし）の、三つならんだ小さな青じろい三角標（さんかくひょう）と、地図とを見くらべて言（い）いました。

Many thanks for the text :
Aozora-Bunko (http://www.aozora.gr.jp)
Original text here (http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/card43737.html )
Music :
Kinderscenen  No 1. Von fremden Ländern und Menschen by R. Schumann (1810-1856)
Sheet music available at Mutopia (http://www.mutopiaproject.org/)
Piano sheet (http://www.mutopiaproject.org/cgibin/piece-info.cgi?id=354)
Piano by kaseumin


       <img alt="" border="0" src="http://stats.wordpress.com/b.gif?host=jclab.wordpress.com&blog=4872065&post=708&subd=jclab&ref=&feed=1" />]]></description>
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<p><a href="http://jclab.files.wordpress.com/2009/01/09a_gingatetsudo-schumann-op15n2.mp3">09a_gingatetsudo-schumann-op15n2</a></p>
<p><a href="http://jclab.files.wordpress.com/2009/01/09a_gingatetsudo.mp3">09a_gingatetsudo</a> *without music</p>
<p><span id="more-708"></span><a href="http://jclab.files.wordpress.com/2009/01/09a_gingatetsudo.mp3"></a></p>
<p>九　ジョバンニの切符（きっぷ）</p>
<p>「もうここらは白鳥区（く）のおしまいです。ごらんなさい。あれが名高いアルビレオの観測所（かんそくじょ）です」<br />
窓（まど）の外の、まるで花火でいっぱいのような、あまの川のまん中に、黒い大きな建物（たてもの）が四棟（むね）ばかり立って、その一つの平屋根（ひらやね）の上に、眼（め）もさめるような、青宝玉（サファイア）と黄玉（トパーズ）の大きな二つのすきとおった球（たま）が、輪（わ）になってしずかにくるくるとまわっていました。黄いろのがだんだん向（む）こうへまわって行って、青い小さいのがこっちへ進（すす）んで来、まもなく二つのはじは、重（かさ）なり合って、きれいな緑（みどり）いろの両面凸（りょうめんとつ）レンズのかたちをつくり、それもだんだん、まん中がふくらみだして、とうとう青いのは、すっかりトパーズの正面（しょうめん）に来ましたので、緑（みどり）の中心と黄いろな明るい環（わ）とができました。それがまただんだん横（よこ）へ外（そ）れて、前のレンズの形を逆（ぎゃく）にくり返（かえ）し、とうとうすっとはなれて、サファイアは向（む）こうへめぐり、黄いろのはこっちへ進（すす）み、またちょうどさっきのようなふうになりました。銀河（ぎんが）の、かたちもなく音もない水にかこまれて、ほんとうにその黒い測候所（そっこうじょ）が、睡（ねむ）っているように、しずかによこたわったのです。<br />
「あれは、水の速（はや）さをはかる器械（きかい）です。水も……」鳥捕（とりと）りが言（い）いかけたとき、<br />
「切符（きっぷ）を拝見（はいけん）いたします」三人の席（せき）の横（よこ）に、赤い帽子（ぼうし）をかぶったせいの高い車掌（しゃしょう）が、いつかまっすぐに立っていて言（い）いました。鳥捕（とりと）りは、だまってかくしから、小さな紙きれを出しました。車掌（しゃしょう）はちょっと見て、すぐ眼（め）をそらして（あなた方のは？）というように、指（ゆび）をうごかしながら、手をジョバンニたちの方へ出しました。<br />
「さあ」ジョバンニは困（こま）って、もじもじしていましたら、カムパネルラはわけもないというふうで、小さな鼠（ねずみ）いろの切符（きっぷ）を出しました。ジョバンニは、すっかりあわててしまって、もしか上着（うわぎ）のポケットにでも、はいっていたかとおもいながら、手を入れてみましたら、何か大きなたたんだ紙きれにあたりました。こんなものはいっていたろうかと思って、急（いそ）いで出してみましたら、それは四つに折（お）ったはがきぐらいの大さ<span class="notes">［＃「大さ」はママ］</span>の緑（みどり）いろの紙でした。車掌（しゃしょう）が手を出しているもんですからなんでもかまわない、やっちまえと思って渡（わた）しましたら、車掌（しゃしょう）はまっすぐに立ち直（なお）ってていねいにそれを開いて見ていました。そして読みながら上着（うわぎ）のぼたんやなんかしきりに直（なお）したりしていましたし燈台看守（とうだいかんしゅ）も下からそれを熱心（ねっしん）にのぞいていましたから、ジョバンニはたしかにあれは証明書（しょうめいしょ）か何かだったと考えて少し胸（むね）が熱（あつ）くなるような気がしました。<br />
「これは三次空間（じくうかん）の方からお持（も）ちになったのですか」車掌（しゃしょう）がたずねました。<br />
「なんだかわかりません」もう大丈夫（だいじょうぶ）だと安心しながらジョバンニはそっちを見あげてくつくつ笑（わら）いました。<br />
「よろしゅうございます。南十字（サウザンクロス）へ着（つ）きますのは、次（つぎ）の第（だい）三時ころになります」車掌（しゃしょう）は紙をジョバンニに渡（わた）して向（む）こうへ行きました。<br />
カムパネルラは、その紙切れが何だったか待（ま）ちかねたというように急（いそ）いでのぞきこみました。ジョバンニも全（まった）く早く見たかったのです。ところがそれはいちめん黒い唐草（からくさ）のような模様（もよう）の中に、おかしな十ばかりの字を印刷（いんさつ）したもので、だまって見ているとなんだかその中へ吸（す）い込（こ）まれてしまうような気がするのでした。すると鳥捕（とりと）りが横からちらっとそれを見てあわてたように言（い）いました。<br />
「おや、こいつはたいしたもんですぜ。こいつはもう、ほんとうの天上へさえ行ける切符（きっぷ）だ。天上どこじゃない、どこでもかってにあるける通行券（つうこうけん）です。こいつをお持（も）ちになれぁ、なるほど、こんな不完全（ふかんぜん）な幻想第四次（げんそうだいよじ）の銀河鉄道（ぎんがてつどう）なんか、どこまででも行けるはずでさあ、あなた方たいしたもんですね」<br />
「なんだかわかりません」ジョバンニが赤くなって答えながら、それをまたたたんでかくしに入れました。そしてきまりが悪（わる）いのでカムパネルラと二人（ふたり）、また窓（まど）の外をながめていましたが、その鳥捕（とりと）りの時々たいしたもんだというように、ちらちらこっちを見ているのがぼんやりわかりました。<br />
「もうじき鷲（わし）の停車場（ていしゃじょう）だよ」カムパネルラが向（む）こう岸（ぎし）の、三つならんだ小さな青じろい三角標（さんかくひょう）と、地図とを見くらべて言（い）いました。</p>
<p><strong><a href="http://jclab.files.wordpress.com/2009/01/09a_gingatetsudo.mp3"></a></strong></p>
<p><em>Many thanks for the text :<br />
<a href="http://www.aozora.gr.jp/">Aozora-Bunko</a> (http://www.aozora.gr.jp)<br />
Original text <a href="http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/card43737.html">here</a> (http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/card43737.html )</em></p>
<p><em>Music :<br />
Kinderscenen  No 1. Von fremden Ländern und Menschen by R. Schumann </em><em>(1810-1856)<br />
Sheet music available at <a href="http://www.mutopiaproject.org/">Mutopia</a> </em><em>(http://www.mutopiaproject.org/)<br />
<a href="//www.mutopiaproject.org/cgibin/piece-info.cgi?id=354)">Piano sheet </a>(</em><em>http://www.mutopiaproject.org/cgibin/piece-info.cgi?id=354)</em><em><br />
Piano by kaseumin</em></p>
<p><a href="http://jclab.files.wordpress.com/2009/01/09a_gingatetsudo.mp3"><br />
</a></p>
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			<media:title type="html">kaseumin</media:title>
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	</item>
		<item>
		<title>Happy New Year 2009 ! 謹賀新年</title>
		<link>http://jclab.wordpress.com/2008/12/31/happy-new-year-2009/</link>
		<comments>http://jclab.wordpress.com/2008/12/31/happy-new-year-2009/#comments</comments>
		<pubDate>Wed, 31 Dec 2008 15:01:28 +0000</pubDate>
		<dc:creator>kaseumin</dc:creator>
				<category><![CDATA[What's New?]]></category>

		<guid isPermaLink="false">http://jclab.wordpress.com/?p=687</guid>
		<description><![CDATA[Wishing you a wonderful New Year !
Je vous souhaite une bonne année !
あけましておめでとうとざいます。
旧年中は、朗読を聴いてくださってありがとうございました。
コメントや、サイトでのご紹介等・・・本当に励みになります。
本年もどうぞ宜しくお願いします。
皆様のご多幸をお祈りいたします。
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			<content:encoded><![CDATA[<div class='snap_preview'><br /><p>Wishing you a wonderful New Year !</p>
<p>Je vous souhaite une bonne année !</p>
<p>あけましておめでとうとざいます。<br />
旧年中は、朗読を聴いてくださってありがとうございました。<br />
コメントや、サイトでのご紹介等・・・本当に励みになります。<br />
本年もどうぞ宜しくお願いします。<br />
皆様のご多幸をお祈りいたします。</p>
  <a rel="nofollow" href="http://feeds.wordpress.com/1.0/gocomments/jclab.wordpress.com/687/"><img alt="" border="0" src="http://feeds.wordpress.com/1.0/comments/jclab.wordpress.com/687/" /></a> <a rel="nofollow" href="http://feeds.wordpress.com/1.0/godelicious/jclab.wordpress.com/687/"><img alt="" border="0" src="http://feeds.wordpress.com/1.0/delicious/jclab.wordpress.com/687/" /></a> <a rel="nofollow" href="http://feeds.wordpress.com/1.0/gostumble/jclab.wordpress.com/687/"><img alt="" border="0" src="http://feeds.wordpress.com/1.0/stumble/jclab.wordpress.com/687/" /></a> <a rel="nofollow" href="http://feeds.wordpress.com/1.0/godigg/jclab.wordpress.com/687/"><img alt="" border="0" src="http://feeds.wordpress.com/1.0/digg/jclab.wordpress.com/687/" /></a> <a rel="nofollow" href="http://feeds.wordpress.com/1.0/goreddit/jclab.wordpress.com/687/"><img alt="" border="0" src="http://feeds.wordpress.com/1.0/reddit/jclab.wordpress.com/687/" /></a> <img alt="" border="0" src="http://stats.wordpress.com/b.gif?host=jclab.wordpress.com&blog=4872065&post=687&subd=jclab&ref=&feed=1" /></div>]]></content:encoded>
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			<media:title type="html">kaseumin</media:title>
		</media:content>
	</item>
		<item>
		<title>Night of the Milky Way Railway &#8211; 8 The Bird Catcher (2/2)</title>
		<link>http://jclab.wordpress.com/2008/12/23/milky-way-railway-8b/</link>
		<comments>http://jclab.wordpress.com/2008/12/23/milky-way-railway-8b/#comments</comments>
		<pubDate>Tue, 23 Dec 2008 11:48:21 +0000</pubDate>
		<dc:creator>kaseumin</dc:creator>
				<category><![CDATA[Kenji MIYAZAWA 1896-1933]]></category>
		<category><![CDATA[Public Domain]]></category>

		<guid isPermaLink="false">http://jclab.wordpress.com/?p=678</guid>
		<description><![CDATA[
08b_gingatetsudo
transcript
「眼（め）をつぶってるね」カムパネルラは、指（ゆび）でそっと、鷺（さぎ）の三日月（みかづき）がたの白いつぶった眼（め）にさわりました。頭の上の槍（やり）のような白い毛もちゃんとついていました。
「ね、そうでしょう」鳥捕（とりと）りは風呂敷（ふろしき）を重（かさ）ねて、またくるくると包（つつ）んで紐（ひも）でくくりました。誰（だれ）がいったいここらで鷺（さぎ）なんぞたべるだろうとジョバンニは思いながら訊（き）きました。
「鷺（さぎ）はおいしいんですか」
「ええ、毎日注文（ちゅうもん）があります。しかし雁（がん）の方が、もっと売れます。雁（がん）の方がずっと柄（がら）がいいし、第一（だいいち）手数（てすう）がありませんからな。そら」鳥捕（とりと）りは、また別（べつ）の方の包（つつ）みを解（と）きました。すると黄と青じろとまだらになって、なにかのあかりのようにひかる雁（がん）が、ちょうどさっきの鷺（さぎ）のように、くちばしをそろえて、少しひらべったくなって、ならんでいました。
「こっちはすぐたべられます。どうです、少しおあがりなさい」鳥捕（とりと）りは、黄いろの雁（がん）の足を、軽（かる）くひっぱりました。するとそれは、チョコレートででもできているように、すっときれいにはなれました。
「どうです。すこしたべてごらんなさい」鳥捕（とりと）りは、それを二つにちぎってわたしました。ジョバンニは、ちょっとたべてみて、
（なんだ、やっぱりこいつはお菓子（かし）だ。チョコレートよりも、もっとおいしいけれども、こんな雁（がん）が飛（と）んでいるもんか。この男は、どこかそこらの野原の菓子屋（かしや）だ。けれどもぼくは、このひとをばかにしながら、この人のお菓子（かし）をたべているのは、たいへんきのどくだ）とおもいながら、やっぱりぽくぽくそれをたべていました。
「も少しおあがりなさい」鳥捕（とりと）りがまた包（つつ）みを出しました。ジョバンニは、もっとたべたかったのですけれども、
「ええ、ありがとう」といって遠慮（えんりょ）しましたら、鳥捕（とりと）りは、こんどは向（む）こうの席（せき）の、鍵（かぎ）をもった人に出しました。
「いや、商売（しょうばい）ものをもらっちゃすみませんな」その人は、帽子（ぼうし）をとりました。
「いいえ、どういたしまして。どうです、今年の渡（わた）り鳥（どり）の景気（けいき）は」
「いや、すてきなもんですよ。一昨日（おととい）の第二限（だいにげん）ころなんか、なぜ燈台（とうだい）の灯（ひ）を、規則以外（きそくいがい）に間（一時空白）させるかって、あっちからもこっちからも、電話で故障（こしょう）が来ましたが、なあに、こっちがやるんじゃなくて、渡（わた）り鳥（どり）どもが、まっ黒にかたまって、あかしの前を通るのですからしかたありませんや、わたしぁ、べらぼうめ、そんな苦情（くじょう）は、おれのとこへ持（も）って来たってしかたがねえや、ばさばさのマントを着（き）て脚（あし）と口との途方（とほう）もなく細（ほそ）い大将（たいしょう）へやれって、こう言（い）ってやりましたがね、はっは」
すすきがなくなったために、向（む）こうの野原から、ぱっとあかりが射（さ）して来ました。
「鷺（さぎ）の方はなぜ手数（てすう）なんですか」カムパネルラは、さっきから、訊（き）こうと思っていたのです。
「それはね、鷺（さぎ）をたべるには」鳥捕（とりと）りは、こっちに向（む）き直（なお）りました。「天の川の水あかりに、十日もつるしておくかね、そうでなけぁ、砂（すな）に三、四日うずめなけぁいけないんだ。そうすると、水銀（すいぎん）がみんな蒸発（じょうはつ）して、たべられるようになるよ」
「こいつは鳥じゃない。ただのお菓子（かし）でしょう」やっぱりおなじことを考えていたとみえて、カムパネルラが、思い切ったというように、尋（たず）ねました。鳥捕（とりと）りは、何かたいへんあわてたふうで、
「そうそう、ここで降（お）りなけぁ」と言（い）いながら、立って荷物（にもつ）をとったと思うと、もう見えなくなっていました。
「どこへ行ったんだろう」二人（ふたり）は顔を見合わせましたら、燈台守（とうだいもり）は、にやにや笑（わら）って、少し伸（の）びあがるようにしながら、二人の横（よこ）の窓（まど）の外をのぞきました。二人（ふたり）もそっちを見ましたら、たったいまの鳥捕（とりと）りが、黄いろと青じろの、うつくしい燐光（りんこう）を出す、いちめんのかわらははこぐさの上に立って、まじめな顔をして両手（りょうて）をひろげて、じっとそらを見ていたのです。
「あすこへ行ってる。ずいぶん奇体（きたい）だねえ。きっとまた鳥をつかまえるとこだねえ。汽車が走って行かないうちに、早く鳥がおりるといいな」と言（い）ったとたん、がらんとした桔梗（ききょう）いろの空から、さっき見たような鷺（さぎ）が、まるで雪の降（ふ）るように、ぎゃあぎゃあ叫（さけ）びながら、いっぱいに舞（ま）いおりて来ました。するとあの鳥捕（とりと）りは、すっかり注文（ちゅうもん）通りだというようにほくほくして、両足（りょうあし）をかっきり六十度（ど）に開いて立って、鷺（さぎ）のちぢめて降（お）りて来る黒い脚（あし）を両手（りょうて）で片（かた）っぱしから押（おさ）えて、布（ぬの）の袋（ふくろ）の中に入れるのでした。すると鷺（さぎ）は、蛍（ほたる）のように、袋（ふくろ）の中でしばらく、青くぺかぺか光ったり消（き）えたりしていましたが、おしまいとうとう、みんなぼんやり白くなって、眼（め）をつぶるのでした。ところが、つかまえられる鳥よりは、つかまえられないで無事（ぶじ）に天の川の砂（すな）の上に降（お）りるものの方が多（おお）かったのです。それは見ていると、足が砂（すな）へつくや否（いな）や、まるで雪（ゆき）の解（と）けるように、縮（ちぢ）まってひらべったくなって、まもなく溶鉱炉（ようこうろ）から出た銅（どう）の汁（しる）のように、砂（すな）や砂利（じゃり）の上にひろがり、しばらくは鳥の形が、砂（すな）についているのでしたが、それも二、三度（ど）明るくなったり暗（くら）くなったりしているうちに、もうすっかりまわりと同じいろになってしまうのでした。
鳥捕（とりと）りは、二十疋（ぴき）ばかり、袋（ふくろ）に入れてしまうと、急（きゅう）に両手（りょうて）をあげて、兵隊（へいたい）が鉄砲弾（てっぽうだま）にあたって、死（し）ぬときのような形をしました。と思ったら、もうそこに鳥捕（とりと）りの形はなくなって、かえって、
「ああせいせいした。どうもからだにちょうど合うほど稼（かせ）いでいるくらい、いいことはありませんな」というききおぼえのある声が、ジョバンニの隣（とな）りにしました。見ると鳥捕（とりと）りは、もうそこでとって来た鷺（さぎ）を、きちんとそろえて、一つずつ重（かさ）ね直（なお）しているのでした。
「どうして、あすこから、いっぺんにここへ来たんですか」ジョバンニが、なんだかあたりまえのような、あたりまえでないような、おかしな気がして問（と）いました。
「どうしてって、来ようとしたから来たんです。ぜんたいあなた方は、どちらからおいでですか」
ジョバンニは、すぐ返事（へんじ）をしようと思いましたけれども、さあ、ぜんたいどこから来たのか、もうどうしても考えつきませんでした。カムパネルラも、顔をまっ赤にして何か思い出そうとしているのでした。
「ああ、遠くからですね」鳥捕（とりと）りは、わかったというように雑作（ぞうさ）なくうなずきました。
Many thanks for the text :
Aozora-Bunko (http://www.aozora.gr.jp)
Original text here (http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/card43737.html )
       <img alt="" border="0" src="http://stats.wordpress.com/b.gif?host=jclab.wordpress.com&blog=4872065&post=678&subd=jclab&ref=&feed=1" />]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div class='snap_preview'><br /><p><span style='text-align:left;display:block;'><p><object type='application/x-shockwave-flash' data='http://jclab.wordpress.com/wp-content/plugins/audio-player/player.swf' width='290' height='24' id='audioplayer1'><param name='movie' value='http://jclab.wordpress.com/wp-content/plugins/audio-player/player.swf' /><param name='FlashVars' value='&amp;bg=0xf8f8f8&amp;leftbg=0xeeeeee&amp;lefticon=0x666666&amp;rightbg=0xcccccc&amp;rightbghover=0x999999&amp;righticon=0x666666&amp;righticonhover=0xffffff&amp;text=0x666666&amp;slider=0x666666&amp;track=0xFFFFFF&amp;border=0x666666&amp;loader=0x9FFFB8&amp;soundFile=http%3A%2F%2Fjclab.files.wordpress.com%2F2008%2F12%2F08b_gingatetsudo.mp3' /><param name='quality' value='high' /><param name='menu' value='false' /><param name='bgcolor' value='#FFFFFF' /></object></p></span></p>
<p><a href="http://jclab.files.wordpress.com/2008/12/08b_gingatetsudo.mp3">08b_gingatetsudo</a></p>
<p><span id="more-678"></span><em><strong>transcript</strong></em></p>
<p>「眼（め）をつぶってるね」カムパネルラは、指（ゆび）でそっと、鷺（さぎ）の三日月（みかづき）がたの白いつぶった眼（め）にさわりました。頭の上の槍（やり）のような白い毛もちゃんとついていました。<br />
「ね、そうでしょう」鳥捕（とりと）りは風呂敷（ふろしき）を重（かさ）ねて、またくるくると包（つつ）んで紐（ひも）でくくりました。誰（だれ）がいったいここらで鷺（さぎ）なんぞたべるだろうとジョバンニは思いながら訊（き）きました。<br />
「鷺（さぎ）はおいしいんですか」<br />
「ええ、毎日注文（ちゅうもん）があります。しかし雁（がん）の方が、もっと売れます。雁（がん）の方がずっと柄（がら）がいいし、第一（だいいち）手数（てすう）がありませんからな。そら」鳥捕（とりと）りは、また別（べつ）の方の包（つつ）みを解（と）きました。すると黄と青じろとまだらになって、なにかのあかりのようにひかる雁（がん）が、ちょうどさっきの鷺（さぎ）のように、くちばしをそろえて、少しひらべったくなって、ならんでいました。<br />
「こっちはすぐたべられます。どうです、少しおあがりなさい」鳥捕（とりと）りは、黄いろの雁（がん）の足を、軽（かる）くひっぱりました。するとそれは、チョコレートででもできているように、すっときれいにはなれました。<br />
「どうです。すこしたべてごらんなさい」鳥捕（とりと）りは、それを二つにちぎってわたしました。ジョバンニは、ちょっとたべてみて、<br />
（なんだ、やっぱりこいつはお菓子（かし）だ。チョコレートよりも、もっとおいしいけれども、こんな雁（がん）が飛（と）んでいるもんか。この男は、どこかそこらの野原の菓子屋（かしや）だ。けれどもぼくは、このひとをばかにしながら、この人のお菓子（かし）をたべているのは、たいへんきのどくだ）とおもいながら、やっぱりぽくぽくそれをたべていました。<br />
「も少しおあがりなさい」鳥捕（とりと）りがまた包（つつ）みを出しました。ジョバンニは、もっとたべたかったのですけれども、<br />
「ええ、ありがとう」といって遠慮（えんりょ）しましたら、鳥捕（とりと）りは、こんどは向（む）こうの席（せき）の、鍵（かぎ）をもった人に出しました。<br />
「いや、商売（しょうばい）ものをもらっちゃすみませんな」その人は、帽子（ぼうし）をとりました。<br />
「いいえ、どういたしまして。どうです、今年の渡（わた）り鳥（どり）の景気（けいき）は」<br />
「いや、すてきなもんですよ。一昨日（おととい）の第二限（だいにげん）ころなんか、なぜ燈台（とうだい）の灯（ひ）を、規則以外（きそくいがい）に間（一時空白）させるかって、あっちからもこっちからも、電話で故障（こしょう）が来ましたが、なあに、こっちがやるんじゃなくて、渡（わた）り鳥（どり）どもが、まっ黒にかたまって、あかしの前を通るのですからしかたありませんや、わたしぁ、べらぼうめ、そんな苦情（くじょう）は、おれのとこへ持（も）って来たってしかたがねえや、ばさばさのマントを着（き）て脚（あし）と口との途方（とほう）もなく細（ほそ）い大将（たいしょう）へやれって、こう言（い）ってやりましたがね、はっは」<br />
すすきがなくなったために、向（む）こうの野原から、ぱっとあかりが射（さ）して来ました。<br />
「鷺（さぎ）の方はなぜ手数（てすう）なんですか」カムパネルラは、さっきから、訊（き）こうと思っていたのです。<br />
「それはね、鷺（さぎ）をたべるには」鳥捕（とりと）りは、こっちに向（む）き直（なお）りました。「天の川の水あかりに、十日もつるしておくかね、そうでなけぁ、砂（すな）に三、四日うずめなけぁいけないんだ。そうすると、水銀（すいぎん）がみんな蒸発（じょうはつ）して、たべられるようになるよ」<br />
「こいつは鳥じゃない。ただのお菓子（かし）でしょう」やっぱりおなじことを考えていたとみえて、カムパネルラが、思い切ったというように、尋（たず）ねました。鳥捕（とりと）りは、何かたいへんあわてたふうで、<br />
「そうそう、ここで降（お）りなけぁ」と言（い）いながら、立って荷物（にもつ）をとったと思うと、もう見えなくなっていました。<br />
「どこへ行ったんだろう」二人（ふたり）は顔を見合わせましたら、燈台守（とうだいもり）は、にやにや笑（わら）って、少し伸（の）びあがるようにしながら、二人の横（よこ）の窓（まど）の外をのぞきました。二人（ふたり）もそっちを見ましたら、たったいまの鳥捕（とりと）りが、黄いろと青じろの、うつくしい燐光（りんこう）を出す、いちめんのかわらははこぐさの上に立って、まじめな顔をして両手（りょうて）をひろげて、じっとそらを見ていたのです。<br />
「あすこへ行ってる。ずいぶん奇体（きたい）だねえ。きっとまた鳥をつかまえるとこだねえ。汽車が走って行かないうちに、早く鳥がおりるといいな」と言（い）ったとたん、がらんとした桔梗（ききょう）いろの空から、さっき見たような鷺（さぎ）が、まるで雪の降（ふ）るように、ぎゃあぎゃあ叫（さけ）びながら、いっぱいに舞（ま）いおりて来ました。するとあの鳥捕（とりと）りは、すっかり注文（ちゅうもん）通りだというようにほくほくして、両足（りょうあし）をかっきり六十度（ど）に開いて立って、鷺（さぎ）のちぢめて降（お）りて来る黒い脚（あし）を両手（りょうて）で片（かた）っぱしから押（おさ）えて、布（ぬの）の袋（ふくろ）の中に入れるのでした。すると鷺（さぎ）は、蛍（ほたる）のように、袋（ふくろ）の中でしばらく、青くぺかぺか光ったり消（き）えたりしていましたが、おしまいとうとう、みんなぼんやり白くなって、眼（め）をつぶるのでした。ところが、つかまえられる鳥よりは、つかまえられないで無事（ぶじ）に天の川の砂（すな）の上に降（お）りるものの方が多（おお）かったのです。それは見ていると、足が砂（すな）へつくや否（いな）や、まるで雪（ゆき）の解（と）けるように、縮（ちぢ）まってひらべったくなって、まもなく溶鉱炉（ようこうろ）から出た銅（どう）の汁（しる）のように、砂（すな）や砂利（じゃり）の上にひろがり、しばらくは鳥の形が、砂（すな）についているのでしたが、それも二、三度（ど）明るくなったり暗（くら）くなったりしているうちに、もうすっかりまわりと同じいろになってしまうのでした。<br />
鳥捕（とりと）りは、二十疋（ぴき）ばかり、袋（ふくろ）に入れてしまうと、急（きゅう）に両手（りょうて）をあげて、兵隊（へいたい）が鉄砲弾（てっぽうだま）にあたって、死（し）ぬときのような形をしました。と思ったら、もうそこに鳥捕（とりと）りの形はなくなって、かえって、<br />
「ああせいせいした。どうもからだにちょうど合うほど稼（かせ）いでいるくらい、いいことはありませんな」というききおぼえのある声が、ジョバンニの隣（とな）りにしました。見ると鳥捕（とりと）りは、もうそこでとって来た鷺（さぎ）を、きちんとそろえて、一つずつ重（かさ）ね直（なお）しているのでした。<br />
「どうして、あすこから、いっぺんにここへ来たんですか」ジョバンニが、なんだかあたりまえのような、あたりまえでないような、おかしな気がして問（と）いました。<br />
「どうしてって、来ようとしたから来たんです。ぜんたいあなた方は、どちらからおいでですか」<br />
ジョバンニは、すぐ返事（へんじ）をしようと思いましたけれども、さあ、ぜんたいどこから来たのか、もうどうしても考えつきませんでした。カムパネルラも、顔をまっ赤にして何か思い出そうとしているのでした。<br />
「ああ、遠くからですね」鳥捕（とりと）りは、わかったというように雑作（ぞうさ）なくうなずきました。</p>
<p><em>Many thanks for the text :<br />
<a href="http://www.aozora.gr.jp/">Aozora-Bunko</a> (http://www.aozora.gr.jp)<br />
Original text <a href="http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/card43737.html">here</a> (http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/card43737.html )</em></p>
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		<item>
		<title>Night of the Milky Way Railway &#8211; 8 The Bird Catcher (1/2)</title>
		<link>http://jclab.wordpress.com/2008/12/11/milky-way-railway-8a/</link>
		<comments>http://jclab.wordpress.com/2008/12/11/milky-way-railway-8a/#comments</comments>
		<pubDate>Thu, 11 Dec 2008 11:51:05 +0000</pubDate>
		<dc:creator>kaseumin</dc:creator>
				<category><![CDATA[Kenji MIYAZAWA 1896-1933]]></category>
		<category><![CDATA[Public Domain]]></category>

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		<description><![CDATA[
08a_gingatetsudo
 transcript
八　鳥を捕（と）る人
「ここへかけてもようございますか」
がさがさした、けれども親切そうな、大人（おとな）の声が、二人のうしろで聞こえました。
それは、茶いろの少しぼろぼろの外套（がいとう）を着（き）て、白い巾（きれ）でつつんだ荷物を、二つに分けて肩（かた）に掛（か）けた、赤髯（あかひげ）のせなかのかがんだ人でした。
「ええ、いいんです」ジョバンニは、少し肩（かた）をすぼめてあいさつしました。その人は、ひげの中でかすかに微笑（わら）いながら荷物（にもつ）をゆっくり網棚（あみだな）にのせました。ジョバンニは、なにかたいへんさびしいようなかなしいような気がして、だまって正面（しょうめん）の時計（とけい）を見ていましたら、ずうっと前の方で、硝子（ガラス）の笛（ふえ）のようなものが鳴りました。汽車はもう、しずかにうごいていたのです。カムパネルラは、車室の天井（てんじょう）を、あちこち見ていました。その一つのあかりに黒い甲虫（かぶとむし）がとまって、その影（かげ）が大きく天井にうつっていたのです。赤ひげの人は、なにかなつかしそうにわらいながら、ジョバンニやカムパネルラのようすを見ていました。汽車はもうだんだん早くなって、すすきと川と、かわるがわる窓（まど）の外から光りました。
赤ひげの人が、少しおずおずしながら、二人に訊（き）きました。
「あなた方は、どちらへいらっしゃるんですか」
「どこまでも行くんです」ジョバンニは、少しきまり悪（わる）そうに答えました。
「それはいいね。この汽車は、じっさい、どこまででも行きますぜ」
「あなたはどこへ行くんです」カムパネルラが、いきなり、喧嘩（けんか）のようにたずねましたので、ジョバンニは思わずわらいました。すると、向（む）こうの席（せき）にいた、とがった帽子（ぼうし）をかぶり、大きな鍵（かぎ）を腰（こし）に下げた人も、ちらっとこっちを見てわらいましたので、カムパネルラも、つい顔を赤くして笑（わら）いだしてしまいました。ところがその人は別（べつ）におこったでもなく、頬（ほお）をぴくぴくしながら返事（へんじ）しました。
「わっしはすぐそこで降（お）ります。わっしは、鳥をつかまえる商売（しょうばい）でね」
「何鳥ですか」
「鶴（つる）や雁（がん）です。さぎも白鳥もです」
「鶴（つる）はたくさんいますか」
「いますとも、さっきから鳴いてまさあ。聞かなかったのですか」
「いいえ」
「いまでも聞こえるじゃありませんか。そら、耳をすまして聴（き）いてごらんなさい」
二人（ふたり）は眼（め）を挙（あ）げ、耳をすましました。ごとごと鳴る汽車のひびきと、すすきの風との間から、ころんころんと水の湧（わ）くような音が聞こえて来るのでした。
「鶴（つる）、どうしてとるんですか」
「鶴（つる）ですか、それとも鷺（さぎ）ですか」
「鷺（さぎ）です」ジョバンニは、どっちでもいいと思いながら答えました。
「そいつはな、雑作（ぞうさ）ない。さぎというものは、みんな天の川の砂（すな）が凝（かたま）って、ぼおっとできるもんですからね、そして始終（しじゅう）川へ帰りますからね、川原で待（ま）っていて、鷺（さぎ）がみんな、脚（あし）をこういうふうにしておりてくるとこを、そいつが地べたへつくかつかないうちに、ぴたっと押（おさ）えちまうんです。するともう鷺（さぎ）は、かたまって安心して死んじまいます。あとはもう、わかり切ってまさあ。押（お）し葉（ば）にするだけです」
「鷺（さぎ）を押（お）し葉（ば）にするんですか。標本（ひょうほん）ですか」
「標本（ひょうほん）じゃありません。みんなたべるじゃありませんか」
「おかしいねえ」カムパネルラが首（くび）をかしげました。
「おかしいも不審（ふしん）もありませんや。そら」その男は立って、網棚（あみだな）から包（つつ）みをおろして、手ばやくくるくると解（と）きました。
「さあ、ごらんなさい。いまとって来たばかりです」
「ほんとうに鷺（さぎ）だねえ」二人は思わず叫（さけ）びました。まっ白な、あのさっきの北の十字架（じゅうじか）のように光る鷺（さぎ）のからだが、十ばかり、少しひらべったくなって、黒い脚（あし）をちぢめて、浮彫（うきぼ）りのようにならんでいたのです。
Many thanks for the text :
Aozora-Bunko (http://www.aozora.gr.jp)
Original text here (http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/card43737.html )
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			<content:encoded><![CDATA[<div class='snap_preview'><br /><p><span style='text-align:left;display:block;'><p><object type='application/x-shockwave-flash' data='http://jclab.wordpress.com/wp-content/plugins/audio-player/player.swf' width='290' height='24' id='audioplayer1'><param name='movie' value='http://jclab.wordpress.com/wp-content/plugins/audio-player/player.swf' /><param name='FlashVars' value='&amp;bg=0xf8f8f8&amp;leftbg=0xeeeeee&amp;lefticon=0x666666&amp;rightbg=0xcccccc&amp;rightbghover=0x999999&amp;righticon=0x666666&amp;righticonhover=0xffffff&amp;text=0x666666&amp;slider=0x666666&amp;track=0xFFFFFF&amp;border=0x666666&amp;loader=0x9FFFB8&amp;soundFile=http%3A%2F%2Fjclab.files.wordpress.com%2F2008%2F12%2F08a_gingatetsudo.mp3' /><param name='quality' value='high' /><param name='menu' value='false' /><param name='bgcolor' value='#FFFFFF' /></object></p></span></p>
<p><a href="http://jclab.files.wordpress.com/2008/12/08a_gingatetsudo.mp3">08a_gingatetsudo</a></p>
<p><span id="more-667"></span> <strong><em>transcript</em></strong></p>
<p>八　鳥を捕（と）る人</p>
<p>「ここへかけてもようございますか」<br />
がさがさした、けれども親切そうな、大人（おとな）の声が、二人のうしろで聞こえました。<br />
それは、茶いろの少しぼろぼろの外套（がいとう）を着（き）て、白い巾（きれ）でつつんだ荷物を、二つに分けて肩（かた）に掛（か）けた、赤髯（あかひげ）のせなかのかがんだ人でした。<br />
「ええ、いいんです」ジョバンニは、少し肩（かた）をすぼめてあいさつしました。その人は、ひげの中でかすかに微笑（わら）いながら荷物（にもつ）をゆっくり網棚（あみだな）にのせました。ジョバンニは、なにかたいへんさびしいようなかなしいような気がして、だまって正面（しょうめん）の時計（とけい）を見ていましたら、ずうっと前の方で、硝子（ガラス）の笛（ふえ）のようなものが鳴りました。汽車はもう、しずかにうごいていたのです。カムパネルラは、車室の天井（てんじょう）を、あちこち見ていました。その一つのあかりに黒い甲虫（かぶとむし）がとまって、その影（かげ）が大きく天井にうつっていたのです。赤ひげの人は、なにかなつかしそうにわらいながら、ジョバンニやカムパネルラのようすを見ていました。汽車はもうだんだん早くなって、すすきと川と、かわるがわる窓（まど）の外から光りました。<br />
赤ひげの人が、少しおずおずしながら、二人に訊（き）きました。<br />
「あなた方は、どちらへいらっしゃるんですか」<br />
「どこまでも行くんです」ジョバンニは、少しきまり悪（わる）そうに答えました。<br />
「それはいいね。この汽車は、じっさい、どこまででも行きますぜ」<br />
「あなたはどこへ行くんです」カムパネルラが、いきなり、喧嘩（けんか）のようにたずねましたので、ジョバンニは思わずわらいました。すると、向（む）こうの席（せき）にいた、とがった帽子（ぼうし）をかぶり、大きな鍵（かぎ）を腰（こし）に下げた人も、ちらっとこっちを見てわらいましたので、カムパネルラも、つい顔を赤くして笑（わら）いだしてしまいました。ところがその人は別（べつ）におこったでもなく、頬（ほお）をぴくぴくしながら返事（へんじ）しました。<br />
「わっしはすぐそこで降（お）ります。わっしは、鳥をつかまえる商売（しょうばい）でね」<br />
「何鳥ですか」<br />
「鶴（つる）や雁（がん）です。さぎも白鳥もです」<br />
「鶴（つる）はたくさんいますか」<br />
「いますとも、さっきから鳴いてまさあ。聞かなかったのですか」<br />
「いいえ」<br />
「いまでも聞こえるじゃありませんか。そら、耳をすまして聴（き）いてごらんなさい」<br />
二人（ふたり）は眼（め）を挙（あ）げ、耳をすましました。ごとごと鳴る汽車のひびきと、すすきの風との間から、ころんころんと水の湧（わ）くような音が聞こえて来るのでした。<br />
「鶴（つる）、どうしてとるんですか」<br />
「鶴（つる）ですか、それとも鷺（さぎ）ですか」<br />
「鷺（さぎ）です」ジョバンニは、どっちでもいいと思いながら答えました。<br />
「そいつはな、雑作（ぞうさ）ない。さぎというものは、みんな天の川の砂（すな）が凝（かたま）って、ぼおっとできるもんですからね、そして始終（しじゅう）川へ帰りますからね、川原で待（ま）っていて、鷺（さぎ）がみんな、脚（あし）をこういうふうにしておりてくるとこを、そいつが地べたへつくかつかないうちに、ぴたっと押（おさ）えちまうんです。するともう鷺（さぎ）は、かたまって安心して死んじまいます。あとはもう、わかり切ってまさあ。押（お）し葉（ば）にするだけです」<br />
「鷺（さぎ）を押（お）し葉（ば）にするんですか。標本（ひょうほん）ですか」<br />
「標本（ひょうほん）じゃありません。みんなたべるじゃありませんか」<br />
「おかしいねえ」カムパネルラが首（くび）をかしげました。<br />
「おかしいも不審（ふしん）もありませんや。そら」その男は立って、網棚（あみだな）から包（つつ）みをおろして、手ばやくくるくると解（と）きました。<br />
「さあ、ごらんなさい。いまとって来たばかりです」<br />
「ほんとうに鷺（さぎ）だねえ」二人は思わず叫（さけ）びました。まっ白な、あのさっきの北の十字架（じゅうじか）のように光る鷺（さぎ）のからだが、十ばかり、少しひらべったくなって、黒い脚（あし）をちぢめて、浮彫（うきぼ）りのようにならんでいたのです。</p>
<p><em>Many thanks for the text :<br />
<a href="http://www.aozora.gr.jp/">Aozora-Bunko</a> (http://www.aozora.gr.jp)<br />
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	</item>
		<item>
		<title>Night of the Milky Way Railway &#8211; 7 The Northern Cross and the Pliocene Coast (3/3)</title>
		<link>http://jclab.wordpress.com/2008/12/03/milky-way-railway-7-c/</link>
		<comments>http://jclab.wordpress.com/2008/12/03/milky-way-railway-7-c/#comments</comments>
		<pubDate>Wed, 03 Dec 2008 12:31:01 +0000</pubDate>
		<dc:creator>kaseumin</dc:creator>
				<category><![CDATA[Kenji MIYAZAWA 1896-1933]]></category>
		<category><![CDATA[Public Domain]]></category>

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		<description><![CDATA[
07c_gingatetsudo

transcript
だんだん近づいて見ると、一人のせいの高い、ひどい近眼鏡（きんがんきょう）をかけ、長靴（ながぐつ）をはいた学者らしい人が、手帳（てちょう）に何かせわしそうに書きつけながら、つるはしをふりあげたり、スコップをつかったりしている、三人の助手（じょしゅ）らしい人たちに夢中（むちゅう）でいろいろ指図（さしず）をしていました。
「そこのその突起（とっき）をこわさないように、スコップを使いたまえ、スコップを。おっと、も少し遠くから掘（ほ）って。いけない、いけない、なぜそんな乱暴（らんぼう）をするんだ」
見ると、その白い柔（やわ）らかな岩（いわ）の中から、大きな大きな青じろい獣（けもの）の骨（ほね）が、横に倒（たお）れてつぶれたというふうになって、半分以上（はんぶんいじょう）掘（ほ）り出されていました。そして気をつけて見ると、そこらには、蹄（ひづめ）の二つある足跡（あしあと）のついた岩（いわ）が、四角（しかく）に十ばかり、きれいに切り取られて番号（ばんごう）がつけられてありました。
「君たちは参観かね」その大学士（だいがくし）らしい人が、眼鏡（めがね）をきらっとさせて、こっちを見て話しかけました。
「くるみがたくさんあったろう。それはまあ、ざっと百二十万年（まんねん）ぐらい前のくるみだよ。ごく新しい方さ。ここは百二十万年前（まんねんまえ）、第三紀（だいさんき）のあとのころは海岸（かいがん）でね、この下からは貝（かい）がらも出る。いま川の流れているとこに、そっくり塩水（しおみず）が寄（よ）せたり引いたりもしていたのだ。このけものかね、これはボスといってね、おいおい、そこ、つるはしはよしたまえ。ていねいに鑿（のみ）でやってくれたまえ。ボスといってね、いまの牛（うし）の先祖（せんぞ）で、昔（むかし）はたくさんいたのさ」
「標本（ひょうほん）にするんですか」
「いや、証明（しょうめい）するに要（い）るんだ。ぼくらからみると、ここは厚（あつ）い立派（りっぱ）な地層（ちそう）で、百二十万年（まんねん）ぐらい前にできたという証拠（しょうこ）もいろいろあがるけれども、ぼくらとちがったやつからみてもやっぱりこんな地層（ちそう）に見えるかどうか、あるいは風か水や、がらんとした空かに見えやしないかということなのだ。わかったかい。けれども、おいおい、そこもスコップではいけない。そのすぐ下に肋骨（ろっこつ）が埋（う）もれてるはずじゃないか」
大学士（だいがくし）はあわてて走って行きました。
「もう時間だよ。行こう」カムパネルラが地図と腕時計（うでどけい）とをくらべながら言（い）いました。
「ああ、ではわたくしどもは失礼（しつれい）いたします」ジョバンニは、ていねいに大学士（だいがくし）におじぎしました。
「そうですか。いや、さよなら」大学士は、また忙（いそが）しそうに、あちこち歩きまわって監督（かんとく）をはじめました。
二人（ふたり）は、その白い岩（いわ）の上を、一生けん命汽車におくれないように走りました。そしてほんとうに、風のように走れたのです。息も切れず膝もあつくなりませんでした。
こんなにしてかけるなら、もう世界じゅうだってかけれると、ジョバンニは思いました。
そして二人は、前のあの河原を通り、改札口の電燈がだんだん大きくなって、まもなく二人（ふたり）は、もとの車室の席にすわっていま行って来た方を、窓から見ていました。
Many thanks for the text :
Aozora-Bunko (http://www.aozora.gr.jp)
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<p><a href="http://jclab.files.wordpress.com/2008/12/07c_gingatetsudo.mp3">07c_gingatetsudo</a></p>
<p><span id="more-656"></span></p>
<p><em><strong>transcript</strong></em></p>
<p>だんだん近づいて見ると、一人のせいの高い、ひどい近眼鏡（きんがんきょう）をかけ、長靴（ながぐつ）をはいた学者らしい人が、手帳（てちょう）に何かせわしそうに書きつけながら、つるはしをふりあげたり、スコップをつかったりしている、三人の助手（じょしゅ）らしい人たちに夢中（むちゅう）でいろいろ指図（さしず）をしていました。<br />
「そこのその突起（とっき）をこわさないように、スコップを使いたまえ、スコップを。おっと、も少し遠くから掘（ほ）って。いけない、いけない、なぜそんな乱暴（らんぼう）をするんだ」<br />
見ると、その白い柔（やわ）らかな岩（いわ）の中から、大きな大きな青じろい獣（けもの）の骨（ほね）が、横に倒（たお）れてつぶれたというふうになって、半分以上（はんぶんいじょう）掘（ほ）り出されていました。そして気をつけて見ると、そこらには、蹄（ひづめ）の二つある足跡（あしあと）のついた岩（いわ）が、四角（しかく）に十ばかり、きれいに切り取られて番号（ばんごう）がつけられてありました。<br />
「君たちは参観かね」その大学士（だいがくし）らしい人が、眼鏡（めがね）をきらっとさせて、こっちを見て話しかけました。<br />
「くるみがたくさんあったろう。それはまあ、ざっと百二十万年（まんねん）ぐらい前のくるみだよ。ごく新しい方さ。ここは百二十万年前（まんねんまえ）、第三紀（だいさんき）のあとのころは海岸（かいがん）でね、この下からは貝（かい）がらも出る。いま川の流れているとこに、そっくり塩水（しおみず）が寄（よ）せたり引いたりもしていたのだ。このけものかね、これはボスといってね、おいおい、そこ、つるはしはよしたまえ。ていねいに鑿（のみ）でやってくれたまえ。ボスといってね、いまの牛（うし）の先祖（せんぞ）で、昔（むかし）はたくさんいたのさ」<br />
「標本（ひょうほん）にするんですか」<br />
「いや、証明（しょうめい）するに要（い）るんだ。ぼくらからみると、ここは厚（あつ）い立派（りっぱ）な地層（ちそう）で、百二十万年（まんねん）ぐらい前にできたという証拠（しょうこ）もいろいろあがるけれども、ぼくらとちがったやつからみてもやっぱりこんな地層（ちそう）に見えるかどうか、あるいは風か水や、がらんとした空かに見えやしないかということなのだ。わかったかい。けれども、おいおい、そこもスコップではいけない。そのすぐ下に肋骨（ろっこつ）が埋（う）もれてるはずじゃないか」<br />
大学士（だいがくし）はあわてて走って行きました。<br />
「もう時間だよ。行こう」カムパネルラが地図と腕時計（うでどけい）とをくらべながら言（い）いました。<br />
「ああ、ではわたくしどもは失礼（しつれい）いたします」ジョバンニは、ていねいに大学士（だいがくし）におじぎしました。<br />
「そうですか。いや、さよなら」大学士は、また忙（いそが）しそうに、あちこち歩きまわって監督（かんとく）をはじめました。<br />
二人（ふたり）は、その白い岩（いわ）の上を、一生けん命汽車におくれないように走りました。そしてほんとうに、風のように走れたのです。息も切れず膝もあつくなりませんでした。<br />
こんなにしてかけるなら、もう世界じゅうだってかけれると、ジョバンニは思いました。<br />
そして二人は、前のあの河原を通り、改札口の電燈がだんだん大きくなって、まもなく二人（ふたり）は、もとの車室の席にすわっていま行って来た方を、窓から見ていました。</p>
<p><em>Many thanks for the text :<br />
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Original text <a href="http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/card43737.html">here</a> (http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/card43737.html )</em></p>
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		</media:content>

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	</item>
		<item>
		<title>Night of the Milky Way Railway &#8211; 7 The Northern Cross and the Pliocene Coast (2/3)</title>
		<link>http://jclab.wordpress.com/2008/11/17/milky-way-railway-7-b/</link>
		<comments>http://jclab.wordpress.com/2008/11/17/milky-way-railway-7-b/#comments</comments>
		<pubDate>Mon, 17 Nov 2008 11:31:54 +0000</pubDate>
		<dc:creator>kaseumin</dc:creator>
				<category><![CDATA[Kenji MIYAZAWA 1896-1933]]></category>
		<category><![CDATA[Public Domain]]></category>

		<guid isPermaLink="false">http://jclab.wordpress.com/?p=645</guid>
		<description><![CDATA[
07b_gingatetsudo
transcript
「もうじき白鳥の停車場（ていしゃば）だねえ」
「ああ、十一時かっきりには着（つ）くんだよ」
早くも、シグナルの緑（みどり）の燈と、ぼんやり白い柱（はしら）とが、ちらっと窓（まど）のそとを過（す）ぎ、それから硫黄（いおう）のほのおのようなくらいぼんやりした転（てん）てつ機（き）の前のあかりが窓（まど）の下を通り、汽車はだんだんゆるやかになって、まもなくプラットホームの一列（れつ）の電燈（でんとう）が、うつくしく規則（きそく）正しくあらわれ、それがだんだん大きくなってひろがって、二人はちょうど白鳥停車場の、大きな時計（とけい）の前に来てとまりました。
さわやかな秋の時計（とけい）の盤面（ばんめん）には、青く灼（や）かれたはがねの二本の針（はり）が、くっきり十一時を指（さ）しました。みんなは、一ぺんにおりて、車室の中はがらんとなってしまいました。
〔二十分停車〕と時計（とけい）の下に書いてありました。
「ぼくたちも降（お）りて見ようか」ジョバンニが言（い）いました。
「降（お）りよう」二人（ふたり）は一度（ど）にはねあがってドアを飛（と）び出して改札口（かいさつぐち）へかけて行きました。ところが改札口には、明るい紫がかった電燈が、一つ点（つ）いているばかり、誰（だれ）もいませんでした。そこらじゅうを見ても、駅長（えきちょう）や赤帽らしい人の、影（かげ）もなかったのです。
二人（ふたり）は、停車場の前の、水晶細工（すいしょうざいく）のように見える銀杏（いちょう）の木に囲（かこ）まれた、小さな広場に出ました。
そこから幅（はば）の広いみちが、まっすぐに銀河（ぎんが）の青光（あおびかり）の中へ通っていました。
さきに降（お）りた人たちは、もうどこへ行ったか一人（ひとり）も見えませんでした。二人（ふたり）がその白い道を、肩（かた）をならべて行きますと、二人（ふたり）の影（かげ）は、ちょうど四方に窓のある室の中の、二本の柱（はしら）の影（かげ）のように、また二つの車輪（しゃりん）の輻（や）のように幾本（いくほん）も幾本（いくほん）も四方へ出るのでした。そしてまもなく、あの汽車から見えたきれいな河原（かわら）に来ました。
カムパネルラは、そのきれいな砂（すな）を一つまみ、掌（てのひら）にひろげ、指（ゆび）できしきしさせながら、夢（ゆめ）のように言（い）っているのでした。
「この砂（すな）はみんな水晶（すいしょう）だ。中で小さな火が燃えている」
「そうだ」どこでぼくは、そんなことを習（なら）ったろうと思いながら、ジョバンニもぼんやり答えていました。
河原（かわら）の礫（こいし）は、みんなすきとおって、たしかに水晶（すいしょう）や黄玉（トパーズ）や、またくしゃくしゃの皺曲（しゅうきょく）をあらわしたのや、また稜（かど）から霧（きり）のような青白い光を出す鋼玉（コランダム）やらでした。ジョバンニは、走ってその渚（なぎさ）に行って、水に手をひたしました。けれどもあやしいその銀河（ぎんが）の水は、水素（すいそ）よりももっとすきとおっていたのです。それでもたしかに流（なが）れていたことは、二人（ふたり）の手首（てくび）の、水にひたったとこが、少し水銀（すいぎん）いろに浮（う）いたように見え、その手首（てくび）にぶっつかってできた波は、うつくしい燐光（りんこう）をあげて、ちらちらと燃（も）えるように見えたのでもわかりました。
川上の方を見ると、すすきのいっぱいにはえている崖（がけ）の下に、白い岩（いわ）が、まるで運動場（うんどうじょう）のように平（たい）らに川に沿（そ）って出ているのでした。そこに小さな五、六人の人かげが、何か掘（ほ）り出すか埋（う）めるかしているらしく、立ったりかがんだり、時々なにかの道具（どうぐ）が、ピカッと光ったりしました。
「行ってみよう」二人（ふたり）は、まるで一度（ど）に叫（さけ）んで、そっちの方へ走りました。その白い岩（いわ）になったところの入口に、〔プリオシン海岸〕という、瀬戸物（せともの）のつるつるした標札（ひょうさつ）が立って、向こうの渚（なぎさ）には、ところどころ、細（ほそ）い鉄（てつ）の欄干（らんかん）も植（う）えられ、木製（もくせい）のきれいなベンチも置（お）いてありました。
「おや、変（へん）なものがあるよ」カムパネルラが、不思議（ふしぎ）そうに立ちどまって、岩（いわ）から黒い細長（ほそなが）いさきのとがったくるみの実（み）のようなものをひろいました。
「くるみの実（み）だよ。そら、たくさんある。流（なが）れて来たんじゃない。岩（いわ）の中にはいってるんだ」
「大きいね、このくるみ、倍（ばい）あるね。こいつはすこしもいたんでない」
「早くあすこへ行って見よう。きっと何か掘（ほ）ってるから」
二人（ふたり）は、ぎざぎざの黒いくるみの実（み）を持（も）ちながら、またさっきの方へ近よって行きました。左手の渚（なぎさ）には、波（なみ）がやさしい稲妻（いなずま）のように燃（も）えて寄（よ）せ、右手の崖（がけ）には、いちめん銀（ぎん）や貝殻（かいがら）でこさえたようなすすきの穂（ほ）がゆれたのです。
Many thanks for the text :
Aozora-Bunko (http://www.aozora.gr.jp)
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			<content:encoded><![CDATA[<div class='snap_preview'><br /><p><span style='text-align:left;display:block;'><p><object type='application/x-shockwave-flash' data='http://jclab.wordpress.com/wp-content/plugins/audio-player/player.swf' width='290' height='24' id='audioplayer1'><param name='movie' value='http://jclab.wordpress.com/wp-content/plugins/audio-player/player.swf' /><param name='FlashVars' value='&amp;bg=0xf8f8f8&amp;leftbg=0xeeeeee&amp;lefticon=0x666666&amp;rightbg=0xcccccc&amp;rightbghover=0x999999&amp;righticon=0x666666&amp;righticonhover=0xffffff&amp;text=0x666666&amp;slider=0x666666&amp;track=0xFFFFFF&amp;border=0x666666&amp;loader=0x9FFFB8&amp;soundFile=http%3A%2F%2Fjclab.files.wordpress.com%2F2008%2F11%2F07b_gingatetsudo.mp3' /><param name='quality' value='high' /><param name='menu' value='false' /><param name='bgcolor' value='#FFFFFF' /></object></p></span></p>
<p><a href="http://jclab.files.wordpress.com/2008/11/07b_gingatetsudo.mp3">07b_gingatetsudo</a><span id="more-645"></span></p>
<p><em><strong>transcript</strong></em></p>
<p>「もうじき白鳥の停車場（ていしゃば）だねえ」<br />
「ああ、十一時かっきりには着（つ）くんだよ」<br />
早くも、シグナルの緑（みどり）の燈と、ぼんやり白い柱（はしら）とが、ちらっと窓（まど）のそとを過（す）ぎ、それから硫黄（いおう）のほのおのようなくらいぼんやりした転（てん）てつ機（き）の前のあかりが窓（まど）の下を通り、汽車はだんだんゆるやかになって、まもなくプラットホームの一列（れつ）の電燈（でんとう）が、うつくしく規則（きそく）正しくあらわれ、それがだんだん大きくなってひろがって、二人はちょうど白鳥停車場の、大きな時計（とけい）の前に来てとまりました。<br />
さわやかな秋の時計（とけい）の盤面（ばんめん）には、青く灼（や）かれたはがねの二本の針（はり）が、くっきり十一時を指（さ）しました。みんなは、一ぺんにおりて、車室の中はがらんとなってしまいました。<br />
〔二十分停車〕と時計（とけい）の下に書いてありました。<br />
「ぼくたちも降（お）りて見ようか」ジョバンニが言（い）いました。<br />
「降（お）りよう」二人（ふたり）は一度（ど）にはねあがってドアを飛（と）び出して改札口（かいさつぐち）へかけて行きました。ところが改札口には、明るい紫がかった電燈が、一つ点（つ）いているばかり、誰（だれ）もいませんでした。そこらじゅうを見ても、駅長（えきちょう）や赤帽らしい人の、影（かげ）もなかったのです。<br />
二人（ふたり）は、停車場の前の、水晶細工（すいしょうざいく）のように見える銀杏（いちょう）の木に囲（かこ）まれた、小さな広場に出ました。<br />
そこから幅（はば）の広いみちが、まっすぐに銀河（ぎんが）の青光（あおびかり）の中へ通っていました。<br />
さきに降（お）りた人たちは、もうどこへ行ったか一人（ひとり）も見えませんでした。二人（ふたり）がその白い道を、肩（かた）をならべて行きますと、二人（ふたり）の影（かげ）は、ちょうど四方に窓のある室の中の、二本の柱（はしら）の影（かげ）のように、また二つの車輪（しゃりん）の輻（や）のように幾本（いくほん）も幾本（いくほん）も四方へ出るのでした。そしてまもなく、あの汽車から見えたきれいな河原（かわら）に来ました。<br />
カムパネルラは、そのきれいな砂（すな）を一つまみ、掌（てのひら）にひろげ、指（ゆび）できしきしさせながら、夢（ゆめ）のように言（い）っているのでした。<br />
「この砂（すな）はみんな水晶（すいしょう）だ。中で小さな火が燃えている」<br />
「そうだ」どこでぼくは、そんなことを習（なら）ったろうと思いながら、ジョバンニもぼんやり答えていました。<br />
河原（かわら）の礫（こいし）は、みんなすきとおって、たしかに水晶（すいしょう）や黄玉（トパーズ）や、またくしゃくしゃの皺曲（しゅうきょく）をあらわしたのや、また稜（かど）から霧（きり）のような青白い光を出す鋼玉（コランダム）やらでした。ジョバンニは、走ってその渚（なぎさ）に行って、水に手をひたしました。けれどもあやしいその銀河（ぎんが）の水は、水素（すいそ）よりももっとすきとおっていたのです。それでもたしかに流（なが）れていたことは、二人（ふたり）の手首（てくび）の、水にひたったとこが、少し水銀（すいぎん）いろに浮（う）いたように見え、その手首（てくび）にぶっつかってできた波は、うつくしい燐光（りんこう）をあげて、ちらちらと燃（も）えるように見えたのでもわかりました。<br />
川上の方を見ると、すすきのいっぱいにはえている崖（がけ）の下に、白い岩（いわ）が、まるで運動場（うんどうじょう）のように平（たい）らに川に沿（そ）って出ているのでした。そこに小さな五、六人の人かげが、何か掘（ほ）り出すか埋（う）めるかしているらしく、立ったりかがんだり、時々なにかの道具（どうぐ）が、ピカッと光ったりしました。<br />
「行ってみよう」二人（ふたり）は、まるで一度（ど）に叫（さけ）んで、そっちの方へ走りました。その白い岩（いわ）になったところの入口に、〔プリオシン海岸〕という、瀬戸物（せともの）のつるつるした標札（ひょうさつ）が立って、向こうの渚（なぎさ）には、ところどころ、細（ほそ）い鉄（てつ）の欄干（らんかん）も植（う）えられ、木製（もくせい）のきれいなベンチも置（お）いてありました。<br />
「おや、変（へん）なものがあるよ」カムパネルラが、不思議（ふしぎ）そうに立ちどまって、岩（いわ）から黒い細長（ほそなが）いさきのとがったくるみの実（み）のようなものをひろいました。<br />
「くるみの実（み）だよ。そら、たくさんある。流（なが）れて来たんじゃない。岩（いわ）の中にはいってるんだ」<br />
「大きいね、このくるみ、倍（ばい）あるね。こいつはすこしもいたんでない」<br />
「早くあすこへ行って見よう。きっと何か掘（ほ）ってるから」<br />
二人（ふたり）は、ぎざぎざの黒いくるみの実（み）を持（も）ちながら、またさっきの方へ近よって行きました。左手の渚（なぎさ）には、波（なみ）がやさしい稲妻（いなずま）のように燃（も）えて寄（よ）せ、右手の崖（がけ）には、いちめん銀（ぎん）や貝殻（かいがら）でこさえたようなすすきの穂（ほ）がゆれたのです。</p>
<p><em>Many thanks for the text :<br />
<a href="http://www.aozora.gr.jp/">Aozora-Bunko</a> (http://www.aozora.gr.jp)<br />
Original text <a href="http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/card43737.html">here</a> (http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/card43737.html )</em></p>
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	</item>
		<item>
		<title>Night of the Milky Way Railway &#8211; 7 The Northern Cross and the Pliocene Coast (1/3)</title>
		<link>http://jclab.wordpress.com/2008/11/13/milky-way-railway-7-a/</link>
		<comments>http://jclab.wordpress.com/2008/11/13/milky-way-railway-7-a/#comments</comments>
		<pubDate>Thu, 13 Nov 2008 11:20:28 +0000</pubDate>
		<dc:creator>kaseumin</dc:creator>
				<category><![CDATA[Kenji MIYAZAWA 1896-1933]]></category>
		<category><![CDATA[Public Domain]]></category>

		<guid isPermaLink="false">http://jclab.wordpress.com/?p=633</guid>
		<description><![CDATA[
07a_gingatetsudo

transcript
七　北十字（きたじゅうじ）とプリオシン海岸（かいがん）
「おっかさんは、ぼくをゆるしてくださるだろうか」
いきなり、カムパネルラが、思い切ったというように、少しどもりながら、せきこんで言（い）いました。
ジョバンニは、
（ああ、そうだ、ぼくのおっかさんは、あの遠い一つのちりのように見える橙（だいだい）いろの三角標（さんかくひょう）のあたりにいらっしゃって、いまぼくのことを考えているんだった）と思いながら、ぼんやりしてだまっていました。
「ぼくはおっかさんが、ほんとうに幸（さいわい）になるなら、どんなことでもする。けれども、いったいどんなことが、おっかさんのいちばんの幸（さいわい）なんだろう」カムパネルラは、なんだか、泣（な）きだしたいのを、一生けん命（めい）こらえているようでした。
「きみのおっかさんは、なんにもひどいことないじゃないの」ジョバンニはびっくりして叫（さけ）びました。
「ぼくわからない。けれども、誰（だれ）だって、ほんとうにいいことをしたら、いちばん幸（さいわい）なんだねえ。だから、おっかさんは、ぼくをゆるしてくださると思う」カムパネルラは、なにかほんとうに決心（けっしん）しているように見えました。
にわかに、車のなかが、ぱっと白く明るくなりました。見ると、もうじつに、金剛石（こんごうせき）や草の露（つゆ）やあらゆる立派（りっぱ）さをあつめたような、きらびやかな銀河（ぎんが）の河床（かわどこ）の上を、水は声もなくかたちもなく流（なが）れ、その流（なが）れのまん中に、ぼうっと青白く後光（ごこう）の射（さ）した一つの島（しま）が見えるのでした。その島（しま）の平（たい）らないただきに、立派（りっぱ）な眼（め）もさめるような、白い十字架（じゅうじか）がたって、それはもう、凍（こお）った北極（ほっきょく）の雲で鋳（い）たといったらいいか、すきっとした金いろの円光をいただいて、しずかに永久（えいきゅう）に立っているのでした。
「ハレルヤ、ハレルヤ」前からもうしろからも声が起（お）こりました。ふりかえって見ると、車室の中の旅人（たびびと）たちは、みなまっすぐにきもののひだを垂（た）れ、黒いバイブルを胸（むね）にあてたり、水晶（すいしょう）の数珠（じゅず）をかけたり、どの人もつつましく指（ゆび）を組み合わせて、そっちに祈（いの）っているのでした。思わず二人（ふたり）ともまっすぐに立ちあがりました。カムパネルラの頬（ほお）は、まるで熟（じゅく）した苹果（りんご）のあかしのようにうつくしくかがやいて見えました。
そして島（しま）と十字架（じゅうじか）とは、だんだんうしろの方へうつって行きました。
向（む）こう岸（ぎし）も、青じろくぼうっと光ってけむり、時々、やっぱりすすきが風にひるがえるらしく、さっとその銀（ぎん）いろがけむって、息（いき）でもかけたように見え、また、たくさんのりんどうの花が、草をかくれたり出たりするのは、やさしい狐火（きつねび）のように思われました。
それもほんのちょっとの間、川と汽車との間は、すすきの列（れつ）でさえぎられ、白鳥の島（しま）は、二度（ど）ばかり、うしろの方に見えましたが、じきもうずうっと遠く小さく、絵（え）のようになってしまい、またすすきがざわざわ鳴って、とうとうすっかり見えなくなってしまいました。ジョバンニのうしろには、いつから乗（の）っていたのか、せいの高い、黒いかつぎをしたカトリックふうの尼（あま）さんが、まん円な緑の瞳（ひとみ）を、じっとまっすぐに落（お）として、まだ何かことばか声かが、そっちから伝（つた）わって来るのを、虔（つつし）んで聞いているというように見えました。旅人（たびびと）たちはしずかに席（せき）に戻（もど）り、二人（ふたり）も胸（むね）いっぱいのかなしみに似（に）た新しい気持（きも）ちを、何気なくちがった語（ことば）で、そっと談（はな）し合ったのです。
Many thanks for the text :
Aozora-Bunko (http://www.aozora.gr.jp)
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<p><span id="more-633"></span></p>
<p><em><strong>transcript</strong></em><br />
七　北十字（きたじゅうじ）とプリオシン海岸（かいがん）</p>
<p>「おっかさんは、ぼくをゆるしてくださるだろうか」<br />
いきなり、カムパネルラが、思い切ったというように、少しどもりながら、せきこんで言（い）いました。<br />
ジョバンニは、<br />
（ああ、そうだ、ぼくのおっかさんは、あの遠い一つのちりのように見える橙（だいだい）いろの三角標（さんかくひょう）のあたりにいらっしゃって、いまぼくのことを考えているんだった）と思いながら、ぼんやりしてだまっていました。<br />
「ぼくはおっかさんが、ほんとうに幸（さいわい）になるなら、どんなことでもする。けれども、いったいどんなことが、おっかさんのいちばんの幸（さいわい）なんだろう」カムパネルラは、なんだか、泣（な）きだしたいのを、一生けん命（めい）こらえているようでした。<br />
「きみのおっかさんは、なんにもひどいことないじゃないの」ジョバンニはびっくりして叫（さけ）びました。<br />
「ぼくわからない。けれども、誰（だれ）だって、ほんとうにいいことをしたら、いちばん幸（さいわい）なんだねえ。だから、おっかさんは、ぼくをゆるしてくださると思う」カムパネルラは、なにかほんとうに決心（けっしん）しているように見えました。<br />
にわかに、車のなかが、ぱっと白く明るくなりました。見ると、もうじつに、金剛石（こんごうせき）や草の露（つゆ）やあらゆる立派（りっぱ）さをあつめたような、きらびやかな銀河（ぎんが）の河床（かわどこ）の上を、水は声もなくかたちもなく流（なが）れ、その流（なが）れのまん中に、ぼうっと青白く後光（ごこう）の射（さ）した一つの島（しま）が見えるのでした。その島（しま）の平（たい）らないただきに、立派（りっぱ）な眼（め）もさめるような、白い十字架（じゅうじか）がたって、それはもう、凍（こお）った北極（ほっきょく）の雲で鋳（い）たといったらいいか、すきっとした金いろの円光をいただいて、しずかに永久（えいきゅう）に立っているのでした。<br />
「ハレルヤ、ハレルヤ」前からもうしろからも声が起（お）こりました。ふりかえって見ると、車室の中の旅人（たびびと）たちは、みなまっすぐにきもののひだを垂（た）れ、黒いバイブルを胸（むね）にあてたり、水晶（すいしょう）の数珠（じゅず）をかけたり、どの人もつつましく指（ゆび）を組み合わせて、そっちに祈（いの）っているのでした。思わず二人（ふたり）ともまっすぐに立ちあがりました。カムパネルラの頬（ほお）は、まるで熟（じゅく）した苹果（りんご）のあかしのようにうつくしくかがやいて見えました。<br />
そして島（しま）と十字架（じゅうじか）とは、だんだんうしろの方へうつって行きました。<br />
向（む）こう岸（ぎし）も、青じろくぼうっと光ってけむり、時々、やっぱりすすきが風にひるがえるらしく、さっとその銀（ぎん）いろがけむって、息（いき）でもかけたように見え、また、たくさんのりんどうの花が、草をかくれたり出たりするのは、やさしい狐火（きつねび）のように思われました。<br />
それもほんのちょっとの間、川と汽車との間は、すすきの列（れつ）でさえぎられ、白鳥の島（しま）は、二度（ど）ばかり、うしろの方に見えましたが、じきもうずうっと遠く小さく、絵（え）のようになってしまい、またすすきがざわざわ鳴って、とうとうすっかり見えなくなってしまいました。ジョバンニのうしろには、いつから乗（の）っていたのか、せいの高い、黒いかつぎをしたカトリックふうの尼（あま）さんが、まん円な緑の瞳（ひとみ）を、じっとまっすぐに落（お）として、まだ何かことばか声かが、そっちから伝（つた）わって来るのを、虔（つつし）んで聞いているというように見えました。旅人（たびびと）たちはしずかに席（せき）に戻（もど）り、二人（ふたり）も胸（むね）いっぱいのかなしみに似（に）た新しい気持（きも）ちを、何気なくちがった語（ことば）で、そっと談（はな）し合ったのです。</p>
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		<item>
		<title>Night of the Milky Way Railway &#8211; 6 The Milky Way Station</title>
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		<comments>http://jclab.wordpress.com/2008/11/01/milky-way-railway-6/#comments</comments>
		<pubDate>Sat, 01 Nov 2008 05:52:54 +0000</pubDate>
		<dc:creator>kaseumin</dc:creator>
				<category><![CDATA[Kenji MIYAZAWA 1896-1933]]></category>
		<category><![CDATA[Public Domain]]></category>

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		<description><![CDATA[
06_gingatetsudo

Transcript
六　銀河（ぎんが）ステーション
そしてジョバンニはすぐうしろの天気輪（てんきりん）の柱（はしら）がいつかぼんやりした三角標（さんかくひょう）の形になって、しばらく蛍（ほたる）のように、ぺかぺか消（き）えたりともったりしているのを見ました。それはだんだんはっきりして、とうとうりんとうごかないようになり、濃い鋼青（こうせい）のそらの野原にたちました。いま新しく灼（や）いたばかりの青い鋼（はがね）の板（いた）のような、そらの野原に、まっすぐにすきっと立ったのです。
するとどこかで、ふしぎな声が、銀河（ぎんが）ステーション、銀河（ぎんが）ステーションと言（い）う声がしたと思うと、いきなり眼（め）の前が、ぱっと明るくなって、まるで億万（おくまん）の蛍烏賊（ほたるいか）の火を一ぺんに化石（かせき）させて、そらじゅうに沈（しず）めたというぐあい、またダイアモンド会社で、ねだんがやすくならないために、わざと穫（と）れないふりをして、かくしておいた金剛石（こんごうせき）を、誰（だれ）かがいきなりひっくりかえして、ばらまいたというふうに、眼（め）の前がさあっと明るくなって、ジョバンニは、思わず何べんも眼（め）をこすってしまいました。
気がついてみると、さっきから、ごとごとごとごと、ジョバンニの乗（の）っている小さな列車（れっしゃ）が走りつづけていたのでした。ほんとうにジョバンニは、夜の軽便鉄道（けいべんてつどう）の、小さな黄いろの電燈（でんとう）のならんだ車室に、窓（まど）から外を見ながらすわっていたのです。車室の中は、青い天鵞絨（ビロード）を張（は）った腰掛（こしか）けが、まるでがらあきで、向（む）こうの鼠（ねずみ）いろのワニスを塗（ぬ）った壁（かべ）には、真鍮（しんちゅう）の大きなぼたんが二つ光っているのでした。
すぐ前の席（せき）に、ぬれたようにまっ黒な上着（うわぎ）を着た、せいの高い子供（こども）が、窓から頭を出して外を見ているのに気がつきました。そしてそのこどもの肩（かた）のあたりが、どうも見たことのあるような気がして、そう思うと、もうどうしても誰（だれ）だかわかりたくて、たまらなくなりました。いきなりこっちも窓（まど）から顔を出そうとしたとき、にわかにその子供（こども）が頭を引っ込（こ）めて、こっちを見ました。
それはカムパネルラだったのです。ジョバンニが、
カムパネルラ、きみは前からここにいたの、と言（い）おうと思ったとき、カムパネルラが、
「みんなはね、ずいぶん走ったけれども遅（おく）れてしまったよ。ザネリもね、ずいぶん走ったけれども追（お）いつかなかった」と言（い）いました。
ジョバンニは、
（そうだ、ぼくたちはいま、いっしょにさそって出かけたのだ）とおもいながら、
「どこかで待（ま）っていようか」と言（い）いました。するとカムパネルラは、
「ザネリはもう帰ったよ。お父さんが迎（むか）いにきたんだ」
カムパネルラは、なぜかそう言（い）いながら、少し顔いろが青ざめて、どこか苦（くる）しいというふうでした。するとジョバンニも、なんだかどこかに、何か忘（わす）れたものがあるというような、おかしな気持（きも）ちがしてだまってしまいました。
ところがカムパネルラは、窓（まど）から外をのぞきながら、もうすっかり元気が直（なお）って、勢（いきお）いよく言（い）いました。
「ああしまった。ぼく、水筒（すいとう）を忘（わす）れてきた。スケッチ帳（ちょう）も忘（わす）れてきた。けれどかまわない。もうじき白鳥の停車場（ていしゃば）だから。ぼく、白鳥を見るなら、ほんとうにすきだ。川の遠くを飛（と）んでいたって、ぼくはきっと見える」
そして、カムパネルラは、まるい板（いた）のようになった地図（ちず）を、しきりにぐるぐるまわして見ていました。まったく、その中に、白くあらわされた天の川の左の岸（きし）に沿（そ）って一条（じょう）の鉄道線路（てつどうせんろ）が、南へ南へとたどって行くのでした。そしてその地図の立派（りっぱ）なことは、夜のようにまっ黒な盤（ばん）の上に、一々の停車場（ていしゃば）や三角標（さんかくひょう）、泉水（せんすい）や森が、青や橙（だいだい）や緑（みどり）や、うつくしい光でちりばめられてありました。
ジョバンニはなんだかその地図をどこかで見たようにおもいました。
「この地図（ちず）はどこで買ったの。黒曜石（こくようせき）でできてるねえ」
ジョバンニが言（い）いました。
「銀河（ぎんが）ステーションで、もらったんだ。君（きみ）もらわなかったの」
「ああ、ぼく銀河（ぎんが）ステーションを通ったろうか。いまぼくたちのいるとこ、ここだろう」
ジョバンニは、白鳥と書いてある停車場（ていしゃば）のしるしの、すぐ北を指（さ）しました。
「そうだ。おや、あの河原（かわら）は月夜だろうか」そっちを見ますと、青白く光る銀河（ぎんが）の岸（きし）に、銀（ぎん）いろの空のすすきが、もうまるでいちめん、風にさらさらさらさら、ゆられてうごいて、波（なみ）を立てているのでした。
「月夜でないよ。銀河（ぎんが）だから光るんだよ」ジョバンニは言（い）いながら、まるではね上がりたいくらい愉快（ゆかい）になって、足をこつこつ鳴らし、窓（まど）から顔を出して、高く高く星めぐりの口笛（くちぶえ）を吹（ふ）きながら一生けん命（めい）延（の）びあがって、その天の川の水を、見きわめようとしましたが、はじめはどうしてもそれが、はっきりしませんでした。けれどもだんだん気をつけて見ると、そのきれいな水は、ガラスよりも水素（すいそ）よりもすきとおって、ときどき眼（め）のかげんか、ちらちら紫（むらさき）いろのこまかな波（なみ）をたてたり、虹（にじ）のようにぎらっと光ったりしながら、声もなくどんどん流（なが）れて行き、野原にはあっちにもこっちにも、燐光（りんこう）の三角標（さんかくひょう）が、うつくしく立っていたのです。遠いものは小さく、近いものは大きく、遠いものは橙（だいだい）や黄いろではっきりし、近いものは青白く少しかすんで、あるいは三角形（さんかくけい）、あるいは四辺形（しへんけい）、あるいは電（いなずま）や鎖（くさり）の形、さまざまにならんで、野原いっぱいに光っているのでした。ジョバンニは、まるでどきどきして、頭をやけに振（ふ）りました。するとほんとうに、そのきれいな野原（のはら）じゅうの青や橙（だいだい）や、いろいろかがやく三角標（さんかくひょう）も、てんでに息をつくように、ちらちらゆれたり顫（ふる）えたりしました。
「ぼくはもう、すっかり天の野原に来た」ジョバンニは言（い）いました。
「それに、この汽車石炭（せきたん）をたいていないねえ」ジョバンニが左手をつき出して窓（まど）から前の方を見ながら言（い）いました。
「アルコールか電気だろう」カムパネルラが言（い）いました。
するとちょうど、それに返事（へんじ）するように、どこか遠くの遠くのもやのもやの中から、セロのようなごうごうした声がきこえて来ました。
「ここの汽車は、スティームや電気でうごいていない。ただうごくようにきまっているからうごいているのだ。ごとごと音をたてていると、そうおまえたちは思っているけれども、それはいままで音をたてる汽車にばかりなれているためなのだ」
「あの声、ぼくなんべんもどこかできいた」
「ぼくだって、林の中や川で、何べんも聞いた」
ごとごとごとごと、その小さなきれいな汽車は、そらのすすきの風にひるがえる中を、天の川の水や、三角点（さんかくてん）の青じろい微光（びこう）の中を、どこまでもどこまでもと、走って行くのでした。
「ああ、りんどうの花が咲（さ）いている。もうすっかり秋だねえ」カムパネルラが、窓（まど）の外を指（ゆび）さして言（い）いました。
線路（せんろ）のへりになったみじかい芝草（しばくさ）の中に、月長石（げっちょうせき）ででも刻（きざ）まれたような、すばらしい紫（むらさき）のりんどうの花が咲（さ）いていました。
「ぼく飛（と）びおりて、あいつをとって、また飛（と）び乗（の）ってみせようか」ジョバンニは胸（むね）をおどらせて言（い）いました。
「もうだめだ。あんなにうしろへ行ってしまったから」
カムパネルラが、そう言（い）ってしまうかしまわないうち、次（つぎ）のりんどうの花が、いっぱいに光って過（す）ぎて行きました。
と思ったら、もう次（つぎ）から次（つぎ）から、たくさんのきいろな底（そこ）をもったりんどうの花のコップが、湧（わ）くように、雨のように、眼（め）の前を通り、三角標（さんかくひょう）の列（れつ）は、けむるように燃（も）えるように、いよいよ光って立ったのです。
Many thanks for the text :
Aozora-Bunko (http://www.aozora.gr.jp)
Original text here (http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/card43737.html )


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			<content:encoded><![CDATA[<div class='snap_preview'><br /><p><span style='text-align:left;display:block;'><p><object type='application/x-shockwave-flash' data='http://jclab.wordpress.com/wp-content/plugins/audio-player/player.swf' width='290' height='24' id='audioplayer1'><param name='movie' value='http://jclab.wordpress.com/wp-content/plugins/audio-player/player.swf' /><param name='FlashVars' value='&amp;bg=0xf8f8f8&amp;leftbg=0xeeeeee&amp;lefticon=0x666666&amp;rightbg=0xcccccc&amp;rightbghover=0x999999&amp;righticon=0x666666&amp;righticonhover=0xffffff&amp;text=0x666666&amp;slider=0x666666&amp;track=0xFFFFFF&amp;border=0x666666&amp;loader=0x9FFFB8&amp;soundFile=http%3A%2F%2Fjclab.files.wordpress.com%2F2008%2F11%2F06_gingatetsudo.mp3' /><param name='quality' value='high' /><param name='menu' value='false' /><param name='bgcolor' value='#FFFFFF' /></object></p></span></p>
<p><a href="http://jclab.files.wordpress.com/2008/11/06_gingatetsudo.mp3">06_gingatetsudo</a></p>
<p><span id="more-617"></span></p>
<p><em><strong>Transcript</strong></em></p>
<p><em><strong></strong></em>六　銀河（ぎんが）ステーション</p>
<p>そしてジョバンニはすぐうしろの天気輪（てんきりん）の柱（はしら）がいつかぼんやりした三角標（さんかくひょう）の形になって、しばらく蛍（ほたる）のように、ぺかぺか消（き）えたりともったりしているのを見ました。それはだんだんはっきりして、とうとうりんとうごかないようになり、濃い鋼青（こうせい）のそらの野原にたちました。いま新しく灼（や）いたばかりの青い鋼（はがね）の板（いた）のような、そらの野原に、まっすぐにすきっと立ったのです。<br />
するとどこかで、ふしぎな声が、銀河（ぎんが）ステーション、銀河（ぎんが）ステーションと言（い）う声がしたと思うと、いきなり眼（め）の前が、ぱっと明るくなって、まるで億万（おくまん）の蛍烏賊（ほたるいか）の火を一ぺんに化石（かせき）させて、そらじゅうに沈（しず）めたというぐあい、またダイアモンド会社で、ねだんがやすくならないために、わざと穫（と）れないふりをして、かくしておいた金剛石（こんごうせき）を、誰（だれ）かがいきなりひっくりかえして、ばらまいたというふうに、眼（め）の前がさあっと明るくなって、ジョバンニは、思わず何べんも眼（め）をこすってしまいました。<br />
気がついてみると、さっきから、ごとごとごとごと、ジョバンニの乗（の）っている小さな列車（れっしゃ）が走りつづけていたのでした。ほんとうにジョバンニは、夜の軽便鉄道（けいべんてつどう）の、小さな黄いろの電燈（でんとう）のならんだ車室に、窓（まど）から外を見ながらすわっていたのです。車室の中は、青い天鵞絨（ビロード）を張（は）った腰掛（こしか）けが、まるでがらあきで、向（む）こうの鼠（ねずみ）いろのワニスを塗（ぬ）った壁（かべ）には、真鍮（しんちゅう）の大きなぼたんが二つ光っているのでした。<br />
すぐ前の席（せき）に、ぬれたようにまっ黒な上着（うわぎ）を着た、せいの高い子供（こども）が、窓から頭を出して外を見ているのに気がつきました。そしてそのこどもの肩（かた）のあたりが、どうも見たことのあるような気がして、そう思うと、もうどうしても誰（だれ）だかわかりたくて、たまらなくなりました。いきなりこっちも窓（まど）から顔を出そうとしたとき、にわかにその子供（こども）が頭を引っ込（こ）めて、こっちを見ました。<br />
それはカムパネルラだったのです。ジョバンニが、<br />
カムパネルラ、きみは前からここにいたの、と言（い）おうと思ったとき、カムパネルラが、<br />
「みんなはね、ずいぶん走ったけれども遅（おく）れてしまったよ。ザネリもね、ずいぶん走ったけれども追（お）いつかなかった」と言（い）いました。<br />
ジョバンニは、<br />
（そうだ、ぼくたちはいま、いっしょにさそって出かけたのだ）とおもいながら、<br />
「どこかで待（ま）っていようか」と言（い）いました。するとカムパネルラは、<br />
「ザネリはもう帰ったよ。お父さんが迎（むか）いにきたんだ」<br />
カムパネルラは、なぜかそう言（い）いながら、少し顔いろが青ざめて、どこか苦（くる）しいというふうでした。するとジョバンニも、なんだかどこかに、何か忘（わす）れたものがあるというような、おかしな気持（きも）ちがしてだまってしまいました。<br />
ところがカムパネルラは、窓（まど）から外をのぞきながら、もうすっかり元気が直（なお）って、勢（いきお）いよく言（い）いました。<br />
「ああしまった。ぼく、水筒（すいとう）を忘（わす）れてきた。スケッチ帳（ちょう）も忘（わす）れてきた。けれどかまわない。もうじき白鳥の停車場（ていしゃば）だから。ぼく、白鳥を見るなら、ほんとうにすきだ。川の遠くを飛（と）んでいたって、ぼくはきっと見える」<br />
そして、カムパネルラは、まるい板（いた）のようになった地図（ちず）を、しきりにぐるぐるまわして見ていました。まったく、その中に、白くあらわされた天の川の左の岸（きし）に沿（そ）って一条（じょう）の鉄道線路（てつどうせんろ）が、南へ南へとたどって行くのでした。そしてその地図の立派（りっぱ）なことは、夜のようにまっ黒な盤（ばん）の上に、一々の停車場（ていしゃば）や三角標（さんかくひょう）、泉水（せんすい）や森が、青や橙（だいだい）や緑（みどり）や、うつくしい光でちりばめられてありました。<br />
ジョバンニはなんだかその地図をどこかで見たようにおもいました。<br />
「この地図（ちず）はどこで買ったの。黒曜石（こくようせき）でできてるねえ」<br />
ジョバンニが言（い）いました。<br />
「銀河（ぎんが）ステーションで、もらったんだ。君（きみ）もらわなかったの」<br />
「ああ、ぼく銀河（ぎんが）ステーションを通ったろうか。いまぼくたちのいるとこ、ここだろう」<br />
ジョバンニは、白鳥と書いてある停車場（ていしゃば）のしるしの、すぐ北を指（さ）しました。<br />
「そうだ。おや、あの河原（かわら）は月夜だろうか」そっちを見ますと、青白く光る銀河（ぎんが）の岸（きし）に、銀（ぎん）いろの空のすすきが、もうまるでいちめん、風にさらさらさらさら、ゆられてうごいて、波（なみ）を立てているのでした。<br />
「月夜でないよ。銀河（ぎんが）だから光るんだよ」ジョバンニは言（い）いながら、まるではね上がりたいくらい愉快（ゆかい）になって、足をこつこつ鳴らし、窓（まど）から顔を出して、高く高く星めぐりの口笛（くちぶえ）を吹（ふ）きながら一生けん命（めい）延（の）びあがって、その天の川の水を、見きわめようとしましたが、はじめはどうしてもそれが、はっきりしませんでした。けれどもだんだん気をつけて見ると、そのきれいな水は、ガラスよりも水素（すいそ）よりもすきとおって、ときどき眼（め）のかげんか、ちらちら紫（むらさき）いろのこまかな波（なみ）をたてたり、虹（にじ）のようにぎらっと光ったりしながら、声もなくどんどん流（なが）れて行き、野原にはあっちにもこっちにも、燐光（りんこう）の三角標（さんかくひょう）が、うつくしく立っていたのです。遠いものは小さく、近いものは大きく、遠いものは橙（だいだい）や黄いろではっきりし、近いものは青白く少しかすんで、あるいは三角形（さんかくけい）、あるいは四辺形（しへんけい）、あるいは電（いなずま）や鎖（くさり）の形、さまざまにならんで、野原いっぱいに光っているのでした。ジョバンニは、まるでどきどきして、頭をやけに振（ふ）りました。するとほんとうに、そのきれいな野原（のはら）じゅうの青や橙（だいだい）や、いろいろかがやく三角標（さんかくひょう）も、てんでに息をつくように、ちらちらゆれたり顫（ふる）えたりしました。<br />
「ぼくはもう、すっかり天の野原に来た」ジョバンニは言（い）いました。<br />
「それに、この汽車石炭（せきたん）をたいていないねえ」ジョバンニが左手をつき出して窓（まど）から前の方を見ながら言（い）いました。<br />
「アルコールか電気だろう」カムパネルラが言（い）いました。<br />
するとちょうど、それに返事（へんじ）するように、どこか遠くの遠くのもやのもやの中から、セロのようなごうごうした声がきこえて来ました。<br />
「ここの汽車は、スティームや電気でうごいていない。ただうごくようにきまっているからうごいているのだ。ごとごと音をたてていると、そうおまえたちは思っているけれども、それはいままで音をたてる汽車にばかりなれているためなのだ」<br />
「あの声、ぼくなんべんもどこかできいた」<br />
「ぼくだって、林の中や川で、何べんも聞いた」<br />
ごとごとごとごと、その小さなきれいな汽車は、そらのすすきの風にひるがえる中を、天の川の水や、三角点（さんかくてん）の青じろい微光（びこう）の中を、どこまでもどこまでもと、走って行くのでした。<br />
「ああ、りんどうの花が咲（さ）いている。もうすっかり秋だねえ」カムパネルラが、窓（まど）の外を指（ゆび）さして言（い）いました。<br />
線路（せんろ）のへりになったみじかい芝草（しばくさ）の中に、月長石（げっちょうせき）ででも刻（きざ）まれたような、すばらしい紫（むらさき）のりんどうの花が咲（さ）いていました。<br />
「ぼく飛（と）びおりて、あいつをとって、また飛（と）び乗（の）ってみせようか」ジョバンニは胸（むね）をおどらせて言（い）いました。<br />
「もうだめだ。あんなにうしろへ行ってしまったから」<br />
カムパネルラが、そう言（い）ってしまうかしまわないうち、次（つぎ）のりんどうの花が、いっぱいに光って過（す）ぎて行きました。<br />
と思ったら、もう次（つぎ）から次（つぎ）から、たくさんのきいろな底（そこ）をもったりんどうの花のコップが、湧（わ）くように、雨のように、眼（め）の前を通り、三角標（さんかくひょう）の列（れつ）は、けむるように燃（も）えるように、いよいよ光って立ったのです。</p>
<p style="margin-bottom:0;"><em>Many thanks for the text :<br />
<a href="http://www.aozora.gr.jp/">Aozora-Bunko</a> (http://www.aozora.gr.jp)<br />
Original text <a href="http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/card43737.html">here</a> (http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/card43737.html )</em></p>
<p style="margin-bottom:0;"><em><br />
</em></p>
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		<title>Night of the Milky Way Railway &#8211; 5 The Pillar of the Weather Wheel</title>
		<link>http://jclab.wordpress.com/2008/10/21/milky-way-railway-5/</link>
		<comments>http://jclab.wordpress.com/2008/10/21/milky-way-railway-5/#comments</comments>
		<pubDate>Tue, 21 Oct 2008 11:22:48 +0000</pubDate>
		<dc:creator>kaseumin</dc:creator>
				<category><![CDATA[Kenji MIYAZAWA 1896-1933]]></category>
		<category><![CDATA[Public Domain]]></category>

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		<description><![CDATA[
05_gingatetsudo

Transcript
五　天気輪（てんきりん）の柱（はしら）
牧場（ぼくじょう）のうしろはゆるい丘（おか）になって、その黒い平（たい）らな頂上（ちょうじょう）は、北の大熊星（おおくまぼし）の下に、ぼんやりふだんよりも低（ひく）く連（つら）なって見えました。
ジョバンニは、もう露（つゆ）の降（お）りかかった小さな林のこみちを、どんどんのぼって行きました。まっくらな草や、いろいろな形に見えるやぶのしげみの間を、その小さなみちが、一すじ白く星あかりに照（て）らしだされてあったのです。草の中には、ぴかぴか青びかりを出す小さな虫もいて、ある葉（は）は青くすかし出され、ジョバンニは、さっきみんなの持（も）って行った烏瓜（からすうり）のあかりのようだとも思いました。
そのまっ黒な、松（まつ）や楢（なら）の林を越（こ）えると、にわかにがらんと空がひらけて、天の川がしらしらと南から北へわたっているのが見え、また頂（いただき）の、天気輪（てんきりん）の柱（はしら）も見わけられたのでした。つりがねそうか野ぎくかの花が、そこらいちめんに、夢（ゆめ）の中からでもかおりだしたというように咲（さ）き、鳥が一疋（ぴき）、丘（おか）の上を鳴き続（つづ）けながら通って行きました。
ジョバンニは、頂（いただき）の天気輪（てんきりん）の柱（はしら）の下に来て、どかどかするからだを、つめたい草に投（な）げました。
町の灯は、暗（やみ）の中をまるで海の底（そこ）のお宮（みや）のけしきのようにともり、子供（こども）らの歌う声や口笛（くちぶえ）、きれぎれの叫（さけ）び声もかすかに聞こえて来るのでした。風が遠くで鳴り、丘（おか）の草もしずかにそよぎ、ジョバンニの汗（あせ）でぬれたシャツもつめたく冷（ひ）やされました。
野原から汽車の音が聞こえてきました。その小さな列車（れっしゃ）の窓（まど）は一列（いちれつ）小さく赤く見え、その中にはたくさんの旅人（たびびと）が、苹果（りんご）をむいたり、わらったり、いろいろなふうにしていると考えますと、ジョバンニは、もうなんとも言（い）えずかなしくなって、また眼（め）をそらに挙（あ）げました。
（この間原稿（げんこう）五枚分（まいぶん）なし）
ところがいくら見ていても、そのそらは、ひる先生の言（い）ったような、がらんとした冷（つめ）たいとこだとは思われませんでした。それどころでなく、見れば見るほど、そこは小さな林や牧場（ぼくじょう）やらある野原（のはら）のように考えられてしかたなかったのです。そしてジョバンニは青い琴（こと）の星が、三つにも四つにもなって、ちらちらまたたき、脚（あし）が何べんも出たり引っ込（こ）んだりして、とうとう蕈（きのこ）のように長く延（の）びるのを見ました。またすぐ眼（め）の下のまちまでが、やっぱりぼんやりしたたくさんの星の集（あつ）まりか一つの大きなけむりかのように見えるように思いました。

Many thanks for the text :
Aozora-Bunko
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			<content:encoded><![CDATA[<div class='snap_preview'><br /><p><span style='text-align:left;display:block;'><p><object type='application/x-shockwave-flash' data='http://jclab.wordpress.com/wp-content/plugins/audio-player/player.swf' width='290' height='24' id='audioplayer1'><param name='movie' value='http://jclab.wordpress.com/wp-content/plugins/audio-player/player.swf' /><param name='FlashVars' value='&amp;bg=0xf8f8f8&amp;leftbg=0xeeeeee&amp;lefticon=0x666666&amp;rightbg=0xcccccc&amp;rightbghover=0x999999&amp;righticon=0x666666&amp;righticonhover=0xffffff&amp;text=0x666666&amp;slider=0x666666&amp;track=0xFFFFFF&amp;border=0x666666&amp;loader=0x9FFFB8&amp;soundFile=http%3A%2F%2Fjclab.files.wordpress.com%2F2008%2F10%2F05_gingatetsudo2.mp3' /><param name='quality' value='high' /><param name='menu' value='false' /><param name='bgcolor' value='#FFFFFF' /></object></p></span></p>
<p><a href="http://jclab.files.wordpress.com/2008/10/05_gingatetsudo2.mp3">05_gingatetsudo</a></p>
<p><span id="more-582"></span></p>
<p><em><strong>Transcript</strong></em></p>
<p>五　天気輪（てんきりん）の柱（はしら）</p>
<p>牧場（ぼくじょう）のうしろはゆるい丘（おか）になって、その黒い平（たい）らな頂上（ちょうじょう）は、北の大熊星（おおくまぼし）の下に、ぼんやりふだんよりも低（ひく）く連（つら）なって見えました。<br />
ジョバンニは、もう露（つゆ）の降（お）りかかった小さな林のこみちを、どんどんのぼって行きました。まっくらな草や、いろいろな形に見えるやぶのしげみの間を、その小さなみちが、一すじ白く星あかりに照（て）らしだされてあったのです。草の中には、ぴかぴか青びかりを出す小さな虫もいて、ある葉（は）は青くすかし出され、ジョバンニは、さっきみんなの持（も）って行った烏瓜（からすうり）のあかりのようだとも思いました。<br />
そのまっ黒な、松（まつ）や楢（なら）の林を越（こ）えると、にわかにがらんと空がひらけて、天の川がしらしらと南から北へわたっているのが見え、また頂（いただき）の、天気輪（てんきりん）の柱（はしら）も見わけられたのでした。つりがねそうか野ぎくかの花が、そこらいちめんに、夢（ゆめ）の中からでもかおりだしたというように咲（さ）き、鳥が一疋（ぴき）、丘（おか）の上を鳴き続（つづ）けながら通って行きました。<br />
ジョバンニは、頂（いただき）の天気輪（てんきりん）の柱（はしら）の下に来て、どかどかするからだを、つめたい草に投（な）げました。<br />
町の灯は、暗（やみ）の中をまるで海の底（そこ）のお宮（みや）のけしきのようにともり、子供（こども）らの歌う声や口笛（くちぶえ）、きれぎれの叫（さけ）び声もかすかに聞こえて来るのでした。風が遠くで鳴り、丘（おか）の草もしずかにそよぎ、ジョバンニの汗（あせ）でぬれたシャツもつめたく冷（ひ）やされました。<br />
野原から汽車の音が聞こえてきました。その小さな列車（れっしゃ）の窓（まど）は一列（いちれつ）小さく赤く見え、その中にはたくさんの旅人（たびびと）が、苹果（りんご）をむいたり、わらったり、いろいろなふうにしていると考えますと、ジョバンニは、もうなんとも言（い）えずかなしくなって、また眼（め）をそらに挙（あ）げました。</p>
<div class="jisage_5" style="margin-left:5em;">（この間原稿（げんこう）五枚分（まいぶん）なし）</div>
<p>ところがいくら見ていても、そのそらは、ひる先生の言（い）ったような、がらんとした冷（つめ）たいとこだとは思われませんでした。それどころでなく、見れば見るほど、そこは小さな林や牧場（ぼくじょう）やらある野原（のはら）のように考えられてしかたなかったのです。そしてジョバンニは青い琴（こと）の星が、三つにも四つにもなって、ちらちらまたたき、脚（あし）が何べんも出たり引っ込（こ）んだりして、とうとう蕈（きのこ）のように長く延（の）びるのを見ました。またすぐ眼（め）の下のまちまでが、やっぱりぼんやりしたたくさんの星の集（あつ）まりか一つの大きなけむりかのように見えるように思いました。</p>
<p style="margin-bottom:0;">
<p style="margin-bottom:0;"><em>Many thanks for the text :<br />
<a href="http://www.aozora.gr.jp/">Aozora-Bunko</a></em><br />
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